11話 女騎士の旅立ち生活
「閣下。シルド君レード君への剣術、盾術の基礎教授。終了しました。」
「『閣下』はやめてください。隠遁してかなり経つのです。今ではしがない田舎神父なのですから」
「いえ、師匠の愛弟子、私共の高位兄弟子なれば公式の場でなければ『閣下』と呼ばせてください。」
「…まあいいでしょう。であなたからみて二人はどうでしたか?」
「はい、二人とも素直で教えがいのある子供でした。特にシルド君の集中力は6歳とは思えぬものです。」
「そうですか…。ご苦労様でした。これから騎士団に戻るのですね。師匠によろしくお伝えください。」
「はい、閣下!」
リル姉さんから剣術、盾術を学ぶようになって10日ほどが過ぎた。
ちょうど農閑期だったこともあり、雑用に駆り出されることもなく集中して教えてもらうことができたのだった。
「これで基礎中の基礎は教えれたと思うわ。特にシルド君の剣盾術。これは極めたら最強よ。わたしがいなくなっても鍛錬は怠らないようにね。」
「リル姉さま、行っちゃうの?」
「レード君もそんな顔しないの。そうねえ。また1年後くらいに来ようかしら。」
リル姉さんには基礎を一通り教えてもらい、あとは自分たちで鍛えろと言われる段階にはなれた。
「シルド君も頑張ってね。あと、トイナ殿の言うことをよく聞くように。彼は他にも弓術、無手技、礼儀作法にも精通しているからね。今回私が教えられなかったことを彼からしっかり教えてもらうように」
「わかったよ、リル姉さん。」
「じゃあ行くわね。そうだ、出立ついでに私のとっておき見せるわね。」
リル姉さんは村入り口の大岩の前にクラウチングスタートの格好をしてしゃがみ
『イエローマギクセット、リプレッションフォースチャージ』
他のみんなが何を始めるんだろうとみているなか、神父様は[やれやれ…]と困り顔でみている。
詠唱と魔力の質から発射系の魔法なんだろうな。『とっておき』と言っていたからいつも慣れていると思うのだが、神父様の困り顔が気になった。
「では皆さん。『マギクキャノン!』おたっs………」
リル姉さんは飛んで行ってしまった。
みんながあっけにとられている中、俺は飛んで行った方向を見ていた。
あの方向には村も町も街道もなく、前に地図で見た記憶ても森林が延々と続いているはずだ。
着地ほか諸々、大丈夫なんだろうか。
ふと見上げると、神父様と目が合った。
同じことを考えてたんだなと思い、お互い苦笑するのであった。




