9話 少年期の剣盾生活
剣術授業に今朝は、トイナ先生のほかに一人の女騎士がいた。
マント姿が熟練者のようでかっこいいな。
「私は リゥエル=ライセル。かっ…グロップ神父の知り合いだが、剣盾に興味を持つものがいると聞きこちらに寄らせてもらったのだが…君かな?」
「はい、シルドといいます。」
「では今日から数日、君の剣術を見ることになった。よろしく頼む。」
昨夜、教会に旅の女騎士が訪ねて来られたが、まさかその方が教えてくれるなんて。
「よろしくお願いします。」
「さて、シルド君はこちらで預かるのでトイナ殿は他の子をお願いします。」
「はい、ライセル卿。シルド君の事、よろしくお願いします。」
みなと別れ今は女騎士と二人だ。
「ライセル先生。『ゴッドブレイク』の使い方、というより『ゴッドブレイク』での戦い方を教えてくれるんですね。」
「ちょっと待ってシルド君。『ライセル先生』てのやめてもらえるかな。実をいうと私って騎士団では下っ端で『卿』とか畏まった呼び名なんて…」
「えっ?騎士団ってもしかしてルー…」
「しっ!!今回は『ゴッドブレイクの使い方をマスターさせるまで帰ってくるな。極秘ミッションじゃよ』っていう師匠命令でね…何で騎士団長でなくさぁ、師匠が命れ……あっ! シ…シルド君?…シルド君は何も聞いていなかった!何も聞いてないわよネ!ネ!」
凛々しい旅の女騎士が、今では可愛いドジっ子姉さんだ。
どうやら今回教えに来てくれたのは、騎士団の名は明かせない極秘任務らしい
せっかく教えてもらうんだ。秘密は黙っていてあげよう。
「はい、何も聞いてません。で、どう呼んだらいいの」
「リル姉さんと呼びなさい。」
呼び名がわかったところで
「しかし、展開なしの固定式だけどよくできているわね。材質は木?にしては固いし…」
「木くずを膠で固めたものだよ。」
「それにしては固すぎるわよ。」
「それよりも本物を見せてよ、リル姉さん。」
「わかったわ。よく見てなさいよ。ゴッドブレイク 改十式」
マントの下から現れたのは某ロボの右腕についているあれだ。
「まずは第1形態 ゴッドコウガン!」<シュバッ!>
名前は多少異なるが弓形態となった。
矢をつがえ、弦をはじくと近くの木に矢が突き刺さった。
某ロボでは左手装備だったものが盛り込まれていた。
「第2形態 ゴッドブーメラン!」<シャイン!>
プレートが翼上に展開
そして取り外せた!?
投げると回転し先ほど木に刺さった矢をへし折って帰ってきた。
「次行くわよ、第3形態 ゴッドブロック!」<ガッシン!>
プレートが扇状に展開され大きな半円盾に!
イメージとしては盾、といううより鉄扇に近い。
「最終形態 ゴッドブレイク!」<シャッキン!>
剣が伸び腕の固定剣となる。
変形する仕組みは大体わかった。
「この盾はこんな特殊仕様なんだけれど、ここまでの仕様をすべて使いこなせるものは少ないの。普通の剣なら剣だけを考えればいい。普通の盾なら盾だけを考えればいい。でもゴッドブレイクは、攻撃、防御、変形、重心移動を一瞬で切り替えなければならない。だから使い手を選ぶのよ。それにこんな装備を整えられるのはルー…私たちくらいなものだし。」
「なるほど。でリル姉さんはすべてを使いこなせる…と。」
「えっ…まあ…ね。[まだまだ先輩たちには敵わないけど…教えるくらいなら任せなさい。]……まずは、基礎中の基礎。剣と盾が一体となった武器形態、君の作った剣盾の使い方から教えて行こうと思うの。いい?」
「わかったよリル姉さん。」
「…今日はここまでにしましょう。」
「ありがとうございました。」
とりあえずは、小盾術の基礎から剣盾術への流れ、体捌きを教えてもらった。
「今日の締めくくりに、いい? 盾は身を守るだけの防具じゃないの。身を守りながら戦うための武器なの。だから盾使いは、守るだけでも、攻めるだけでも半人前。攻めと守りを一つにして初めて一人前なのよ。」
「今日1日でわかった気がします。」
「なに生言ってるの。1日でわかれば苦労はしないわよ。とはいえそんなに日数は取れないからね。盾術と剣盾術の入り口までは案内してあげるわ。」
「よろしくお願いします。リル姉さん。」
「ん、よろしい。」
その夜、レードの様子がおかしかった。
「レード、どうしたんだ浮かない顔して。」
「…その…ライセル卿との鍛錬…楽しかった?」
「ライセル卿?あぁリル姉さんか、楽しかったよ。いろいろ教えてもらえて。」
「シルドはその…(お姉さんが)…好きなの?」
「好きだな。」
《ガーン》
「新しい事覚えるのって、楽しいよね。だから好きだな。」
「へ?」
「あっ、僕だけ特別に教えてもらっていたんで拗ねていたんだな。よし、明日はレードも一緒に教えてもらえるようにリル姉さんに頼んでみよう。」
「えっ私は…」
「レードも一緒だともっと楽しいと思うな。」
「私も一緒だと…楽しい?」
「だから明日は一緒に鍛錬しよう。そうと分かればさっさと寝よう。お休み。」
「…おやすみなさい。」
レードは安心した顔で眠るのだった。




