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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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632/688

第497話 「名を失った怪盗」

 暗い部屋。


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 無数のモニターが、


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 静かに光っている。


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 その中央に、


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 一人の青年が座っていた。


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 黒いコート。


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 白い手袋。


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 胸元には、


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 アルトと同じ怪盗の紋章。


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# ◆???


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 モニターに映る、


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 アルトの姿を見つめる。


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◆小さく


「……大きくなったな。」


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# ◆場面転換


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 地下施設。


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 アルトは、


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 停止した映像の前に立っている。


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# ◆アルト


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「ゼロ。」


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「お前は知ってたんだろ。」


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# ◆ゼロ


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 答えない。


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# ◆アルト


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「アキラが生きていること。」


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# ◆ゼロ


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 静かにうなずく。


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「知っていた。」


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# ◆クロノ


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「なら。」


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「なぜ私には言わなかった。」


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# ◆ゼロ


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「言えば。」


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「お前はアキラを探した。」


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# ◆クロノ


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「当然だ!」


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# ◆ゼロ


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「そして。」


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「彼の居場所を。」


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「敵にも知られる。」


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# ◆静寂


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 アルトが口を開く。


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# ◆アルト


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「敵って誰だ。」


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# ◆ゼロ


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 視線を落とす。


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「二十年前。」


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「私たちが盗もうとしたもの。」


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「それを今も守っている連中だ。」


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# ◆レイン


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「企業……?」


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# ◆ゼロ


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「企業だけではない。」


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「警察でもない。」


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「国でもない。」


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「もっと厄介なものだ。」


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# ◆アルト


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「何だよ。」


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# ◆ゼロ


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 一拍。


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「仕組みだ。」


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# ◆静寂


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「一人を消しても。」


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「別の人間が同じことをする。」


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「証拠を一つ盗んでも。」


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「別の場所で書き換えられる。」


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「二十年前。」


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「私たちは敵を一人だと思っていた。」


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「それが間違いだった。」


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# ◆アルト


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「だからアキラを隠した。」


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# ◆ゼロ


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「そうだ。」


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「彼は。」


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「その仕組みの中枢に近づきすぎた。」


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# ◆場面転換


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 青年。


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 アキラ。


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 モニターの前で、


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 一枚の写真を手にしている。


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 そこには、


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 幼いアルトとアキラが写っている。


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# ◆アキラ


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 写真を指でなぞる。


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「約束。」


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「覚えてるよ。」


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# ◆異変


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 背後の扉が開く。


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 一人の女が入ってくる。


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# ◆女


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「アルトが思い出しました。」


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# ◆アキラ


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「ああ。」


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# ◆女


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「どうしますか?」


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# ◆アキラ


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 少しだけ考える。


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「まだ。」


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「会わない。」


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# ◆女


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「なぜ?」


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# ◆アキラ


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 モニターを見る。


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 そこには、


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 怪盗アルトの姿。


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# ◆アキラ


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「今の僕が会えば。」


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「アルトは選ばなきゃいけなくなる。」


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# ◆女


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「何を?」


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# ◆アキラ


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 静かに答える。


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「怪盗でいるか。」


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「僕を選ぶか。」


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# ◆静寂


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 アキラは、


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 写真を伏せる。


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# ◆アキラ


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「だから。」


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「僕は。」


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「もう少しだけ。」


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---


「悪役でいる。」


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# ◆場面転換


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 地下施設。


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 アルトは、


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 古い予告状を見つめている。


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# ◆アルト


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「……ゼロ。」


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「アキラは。」


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「俺に何を盗ませようとしてる?」


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# ◆ゼロ


---


 静かに答える。


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---


「真実だ。」


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# ◆アルト


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「またそれか。」


---


# ◆ゼロ


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「違う。」


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---


「二十年前に盗めなかった真実。」


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---


「そして。」


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「アキラが今も隠している真実だ。」


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# ◆ラスト


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 アルトの手元にある、


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 古い予告状。


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 その裏側に、


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 今まで存在しなかった文字が浮かび上がる。


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> **第二予告状**

>

> **今夜、午前零時。**

>

> **月影美術館。**

>

> **展示品――「失われた記憶」。**

>

> **予告する。**

>

> **怪盗アキラ。**


---


 アルトは、


---


 その名前を見つめる。


---


 そして、


---


 小さく笑った。


---


「……そういうことか。」


---


「お前も。」


---


「怪盗なんだな。」


---


 月明かりの下。


---


 新たな予告状が、


---


 静かに揺れていた。


---


――続く。


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