第496話 「二人で見る世界」
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古い映像が、
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ゆっくりと始まった。
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画面の中にいるのは、
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幼いアルトとアキラ。
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二人は、
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古びた屋根の上に座っていた。
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# ◆アキラ
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「見て。」
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眼下には、
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夜の街。
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無数の光が、
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星のように輝いている。
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# ◆幼いアルト
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「すげえ……。」
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# ◆アキラ
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笑う。
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「ここから見ると。」
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「みんな幸せそうに見えるよね。」
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# ◆幼いアルト
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「そうか?」
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# ◆アキラ
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「うん。」
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「でも。」
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少しだけ表情が曇る。
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「きっと。」
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「見えないところで泣いてる人もいる。」
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# ◆幼いアルト
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「じゃあ、どうする?」
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# ◆アキラ
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しばらく考える。
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「……盗む。」
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# ◆幼いアルト
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「何を?」
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# ◆アキラ
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笑顔を浮かべる。
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「泣いてる人から。」
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「悲しい気持ちを。」
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# ◆幼いアルト
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「そんなの盗めるのか?」
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# ◆アキラ
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「分かんない。」
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「でも。」
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「怪盗ならできるかもしれない。」
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# ◆静寂
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映像を見ていたアルトの表情が、
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少しずつ変わっていく。
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# ◆アルト
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「……これ。」
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# ◆ゼロ
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黙っている。
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# ◆アルト
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「俺が今やってることと。」
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「同じじゃないか。」
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# ◆ゼロ
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「そうだ。」
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# ◆アルト
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映像を見つめる。
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「じゃあ。」
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「アキラが。」
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「俺に怪盗を教えたのか。」
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# ◆ゼロ
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静かに首を横に振る。
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「違う。」
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「怪盗という名前を与えたのは、君自身だ。」
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# ◆アルト
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「……俺が?」
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# ◆ゼロ
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「アキラは。」
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「ただ君に問いかけただけだ。」
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「もし。」
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「誰かの大切なものが奪われたら。」
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「君ならどうする、と。」
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# ◆回想
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幼いアルトが、
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真剣な顔で考えている。
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# ◆幼いアルト
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「取り返す。」
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# ◆アキラ
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「誰から?」
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# ◆幼いアルト
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「悪い奴から。」
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# ◆アキラ
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「じゃあ。」
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「悪い奴が。」
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「法律で悪い奴じゃなかったら?」
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# ◆幼いアルト
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少し悩む。
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「……それでも。」
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「盗む。」
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# ◆アキラ
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笑う。
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「じゃあ決まり。」
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「僕たち。」
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「怪盗になろう。」
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# ◆静寂
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映像が、
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そこで一度途切れる。
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アルトは、
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何も言わない。
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# ◆クロ
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『アルト……。』
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# ◆アルト
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静かに口を開く。
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「俺。」
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「ずっと勘違いしてた。」
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# ◆ゼロ
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「何を?」
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# ◆アルト
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「怪盗になったのは。」
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「自分が何かを盗みたかったからだと思ってた。」
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胸元へ手を当てる。
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「違った。」
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「最初から。」
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「誰かに返すためだった。」
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# ◆怪盗狩り・クロノ
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静かに目を閉じる。
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# ◆クロノ
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「……だから。」
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「私は怖かった。」
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# ◆アルト
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「何が?」
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# ◆クロノ
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「怪盗が。」
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「いつか。」
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「自分の正義を信じすぎることが。」
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# ◆アルト
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少し考える。
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「それは。」
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「俺も怖い。」
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# ◆クロノ
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目を開く。
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# ◆アルト
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「だから。」
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「間違えたら。」
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「誰かに止めてもらう。」
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クロノを見る。
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「お前みたいな奴にな。」
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# ◆クロノ
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わずかに笑う。
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「……怪盗に頼まれるとは。」
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# ◆アルト
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「頼んだわけじゃない。」
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「勝手にやれ。」
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# ◆クロ
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『素直じゃないなぁ。』
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# ◆アルト
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「うるせえ。」
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# ◆異変
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その時。
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停止していた映像が、
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突然再生される。
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画面に映るアキラ。
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だが、
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先ほどとは違う。
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表情が、
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明らかに怯えている。
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# ◆アキラ
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「アルト。」
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「もし。」
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「この映像を見てるなら。」
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「お願いがある。」
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# ◆アルト
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息を止める。
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# ◆アキラ
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「僕を。」
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「探さないで。」
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# ◆アルト
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「……え?」
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# ◆アキラ
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画面の奥を何度も確認する。
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「僕は死んでない。」
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# ◆全員
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「……!」
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# ◆アキラ
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「でも。」
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「戻れない。」
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「だから。」
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「僕のことを探すより。」
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「君は君の怪盗を続けて。」
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映像のアキラが、
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最後に笑う。
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「それが。」
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「僕との約束だから。」
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# ◆ラスト
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映像が終了する。
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暗闇。
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誰も言葉を発しない。
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やがてアルトが、
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ゆっくりと顔を上げる。
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# ◆アルト
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「……生きてる。」
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その声には、
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確信があった。
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「アキラは。」
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「どこかで生きてる。」
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そして――
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地下施設の最深部。
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誰にも気づかれない場所で、
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一つの監視モニターが点灯する。
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そこに映っていたのは、
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一人の青年。
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黒い部屋。
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無数のモニター。
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そして、
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その青年の胸元には、
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幼い頃のアルトと同じ、
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怪盗の紋章が刻まれていた。
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# ◆???
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画面を見つめ、
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静かに笑う。
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「……やっと。」
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「思い出したか。」
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――続く。




