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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第494話 「約束の相手」

最終保管庫。


---


 映像が止まる。


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 画面に残った、


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 幼いアキラの笑顔。


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 アルトは、


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 その場から動けなかった。


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# ◆アルト


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「……アキラ。」


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 その名前を、


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 確かめるように口にする。


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 胸の奥が、


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 わずかに痛んだ。


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# ◆クロノ


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「知っているのか。」


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# ◆アルト


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「知らない。」


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---


「……でも。」


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 写真を握る。


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「知ってる気がする。」


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# ◆ゼロ


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 静かに答える。


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「君たちは。」


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「幼い頃から一緒だった。」


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# ◆アルト


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「だった?」


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# ◆ゼロ


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 一瞬、


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 言葉を選ぶ。


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「……アキラは。」


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「二十年前の事件で亡くなった。」


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# ◆静寂


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 アルトの指が止まる。


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# ◆アルト


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「……そうか。」


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 意外なほど、


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 声は静かだった。


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# ◆クロ


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『アルト……。』


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# ◆アルト


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 首を振る。


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「大丈夫だ。」


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「まだ全部思い出してない。」


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# ◆ゼロ


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「それでいい。」


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# ◆アルト


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「よくない。」


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 初めて、


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 強い声が響く。


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「俺は。」


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「何を忘れた?」


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# ◆ゼロ


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 答えない。


---


# ◆アルト


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「ゼロ。」


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---


「お前は俺から何を盗んだ。」


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# ◆ゼロ


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 長い沈黙。


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 そして、


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 懐から古い鍵を取り出す。


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# ◆ゼロ


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「記憶そのものではない。」


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「記憶へ辿り着くための鍵だ。」


---


# ◆アルト


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「……鍵?」


---


# ◆ゼロ


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 古びた鍵を、


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 アルトへ差し出す。


---


「二十年前。」


---


---


「君に託されたものだ。」


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# ◆アルト


---


 受け取る。


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---


 その瞬間。


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 頭の奥で、


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 何かが弾けた。


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# ◆回想


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 雨。


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 幼いアルト。


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 隣を走るアキラ。


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「早く!」


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「こっち!」


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# ◆幼いアルト


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「アキラ!」


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# ◆アキラ


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 笑いながら振り返る。


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「大丈夫!」


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---


「約束しただろ?」


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# ◆幼いアルト


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「何を?」


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# ◆アキラ


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「忘れたの?」


---


---


「二人で――」


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 そこで、


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 映像が途切れる。


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# ◆アルト


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「……くそ。」


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 頭を押さえる。


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「まただ。」


---


# ◆ゼロ


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「無理に思い出すな。」


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# ◆アルト


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 顔を上げる。


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---


「違う。」


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---


「思い出したくないんじゃない。」


---


---


「思い出さなきゃいけないんだ。」


---


# ◆異変


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 その時。


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 最終保管庫の奥から、


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 小さな機械音が響く。


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 壁に、


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 一つの鍵穴が浮かび上がった。


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# ◆レイン


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「鍵穴……?」


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# ◆アルト


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 手元の鍵を見る。


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---


「これか。」


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 鍵を差し込む。


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 カチッ。


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# ◆開錠


---


 壁が左右に開く。


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 その奥には、


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 小さな部屋。


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 中央に、


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 一台の古いビデオカメラが置かれていた。


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# ◆クロノ


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「まだ記録が残っていたのか。」


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# ◆ゼロ


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 顔色が変わる。


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「……違う。」


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# ◆アルト


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「何が違う。」


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# ◆ゼロ


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 カメラを見つめる。


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「これは。」


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---


「私が残したものじゃない。」


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# ◆静寂


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 カメラの電源が、


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 ひとりでに入る。


---


 画面にノイズが走る。


---


 そして、


---


 幼いアキラが映し出される。


---


# ◆アキラ


---


 カメラ越しに、


---


 まっすぐこちらを見る。


---


「アルト。」


---


---


「もしこれを見ているなら。」


---


 一拍。


---


「僕は、もう君の隣にはいない。」


---


# ◆アルト


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 息をのむ。


---


# ◆アキラ


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「でも。」


---


---


「約束は終わってない。」


---


 映像のアキラが、


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 少しだけ笑う。


---


「だって。」


---


---


「僕たちは二人で――」


---


 そこで映像が途切れる。


---


# ◆ラスト


---


 画面に、


---


 新しい文字が浮かび上がる。


---


> **第二記録を再生しますか?**


---


 アルトは、


---


 迷わずボタンへ手を伸ばした。


---


 だが――


---


 その手を、


---


 ゼロが掴む。


---


# ◆ゼロ


---


「待て。」


---


# ◆アルト


---


「なぜだ。」


---


# ◆ゼロ


---


 苦しそうに目を伏せる。


---


「その先にあるのは。」


---


---


「君が怪盗になった理由だ。」


---


 アルトは、


---


 静かにゼロの手を振り払う。


---


# ◆アルト


---


「だったら。」


---


---


「見るしかないだろ。」


---


 再生ボタンを押す。


---


 画面が、


---


 再び白く光った。


---


――続く。


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