第484話 「待ち続けた理由」
静寂。
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法廷のような地下施設。
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怪盗狩りは、
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ゆっくりと銀色のバッジを拾い上げた。
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# ◆アルト
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静かに問いかける。
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「二十年待っていた……。」
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「どういう意味だ。」
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# ◆怪盗狩り
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少しだけ目を伏せる。
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「私は、あなたを捕まえるために待っていたのではありません。」
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「あなたが"答え"へ辿り着く日を待っていました。」
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# ◆レイン
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「答え……?」
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# ◆怪盗狩り
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「怪盗は何のために存在するのか。」
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「その答えです。」
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# ◆アルト
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「そんなもの。」
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「俺が決めることじゃない。」
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# ◆怪盗狩り
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首を横に振る。
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「昔は、私もそう思っていました。」
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# ◆静寂
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男は壁へ歩み寄る。
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一枚の額縁を外す。
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そこには、
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一枚の色褪せた写真が隠されていた。
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# ◆写真
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若い頃の怪盗狩り。
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その隣には、
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黒いマントを羽織った人物。
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顔だけが、
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意図的に焼き消されている。
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# ◆クロ
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『誰……?』
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# ◆怪盗狩り
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写真を見つめながら語り始める。
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「私には、一人だけ親友がいました。」
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「誰よりも人を救おうとした怪盗です。」
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# ◆アルト
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黙って聞く。
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# ◆怪盗狩り
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「彼は宝石など興味がなかった。」
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「盗んでいたのは。」
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「権力者が隠した証拠。」
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「握り潰された真実。」
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「奪われた人々の未来。」
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# ◆静寂
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男はゆっくりと息を吐く。
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# ◆怪盗狩り
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「ですが、ある事件で……。」
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「彼は一人の子どもを救いました。」
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「その代わりに。」
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「別の五人を救えなかった。」
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# ◆レイン
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息をのむ。
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# ◆怪盗狩り
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「世間は彼を英雄と称えました。」
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「けれど彼は。」
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「自分を許せなかった。」
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# ◆アルト
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「……。」
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# ◆怪盗狩り
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「彼は私に言いました。」
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> 「怪盗は、人を選ぶ。」
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> 「だから、いつか俺を裁つ者が必要になる。」
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# ◆静寂
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写真を握る男の手が、
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わずかに震える。
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# ◆怪盗狩り
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「その翌日。」
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「彼は姿を消しました。」
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「遺体も。」
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「手掛かりも。」
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「何も残さずに。」
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# ◆アルト
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「だから。」
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「お前が怪盗狩りになったのか。」
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# ◆怪盗狩り
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静かにうなずく。
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「怪盗を憎んでいるわけではありません。」
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「怪盗が道を誤った時。」
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「止める者が必要だと思った。」
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「それが、私の役目です。」
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# ◆異変
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その時。
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施設全体の照明が、
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突然赤く点滅する。
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# ◆警報
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『警告。』
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『第一保管区、侵入者を確認。』
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『第二保管区、封印解除。』
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『最高危険度資料、流出。』
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# ◆クロ
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『侵入者!?』
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# ◆レイン
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端末を見て顔色を変える。
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「違う……!」
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「誰かが、この施設を狙っています!」
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# ◆怪盗狩り
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初めて表情が変わる。
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「まさか……。」
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「彼らが来たのか……!」
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# ◆ラスト
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地下通路の奥から、
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無数の足音が響く。
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重い鉄扉が、
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次々とこじ開けられていく。
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この施設に眠る、
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すべての「封印された事件」。
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それを狙う第三の勢力が、
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静かに姿を現そうとしていた。
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――続く。




