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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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624/644

第482話 「封印された事件」

 地下へ続く階段。


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 アルトは静かに足を踏み入れる。


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 コツ……


---


 コツ……


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 靴音だけが、


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 暗い通路に反響する。


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# ◆レイン


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「地下深度、およそ三十メートル。」


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「人工施設です。」


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# ◆クロ


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『こんなの、地図に載ってないよ。』


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# ◆アルト


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「載せられない場所なんだろ。」


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# ◆最深部


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 やがて、


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 巨大な鉄扉が姿を現す。


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 扉には、


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 無数の新聞記事が貼り付けられていた。


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 銀行強盗。


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 美術品盗難。


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 誘拐事件。


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 横領事件。


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 その中に、


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 一枚だけ、


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 赤い糸で囲まれた記事がある。


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# ◆アルト


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 ゆっくりと近づく。


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 記事の日付は、


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 二十年前。


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> **"怪盗X、爆発事故で死亡か"**


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# ◆アルト


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 目を見開く。


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「……X?」


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# ◆オーサー


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 記事を見つめる。


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「これは……。」


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「怪盗アルトより前の時代です。」


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# ◆クロ


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『でも変だよ。』


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『新聞なのに写真が切り抜かれてる。』


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# ◆異変


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 その瞬間、


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 施設全体に放送が響く。


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# ◆怪盗狩り


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『ようこそ。』


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『最後の証拠保管庫へ。』


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# ◆アルト


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「ここは何だ。」


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# ◆怪盗狩り


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『怪盗が救った事件ではない。』


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『怪盗が壊した事件を保管する場所だ。』


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# ◆静寂


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 アルトは黙る。


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# ◆怪盗狩り


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『君は怪盗の美学を語る。』


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『希望を返すと語る。』


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『ならば見ろ。』


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『救えなかった者たちを。』


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# ◆異変


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 壁一面のモニターが点灯する。


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 ある事件では、


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 怪盗の介入によって犯人を取り逃がした。


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 ある事件では、


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 盗まれた証拠が裁判で使えなくなった。


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 ある事件では、


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 救われた一人の裏で、


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 別の誰かが犠牲になっていた。


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# ◆レイン


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「こんな記録……。」


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「誰も公開していません。」


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# ◆アルト


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 画面を見つめたまま、


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 一言も発しない。


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# ◆怪盗狩り


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『君は正義ではない。』


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『英雄でもない。』


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『君は選び続けた。』


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『だから、救われなかった者もいる。』


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# ◆静寂


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 その言葉は、


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 アルトの胸に重く響く。


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 怪盗である以上、


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 すべての人を救うことはできない。


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 その現実から、


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 目を背けることはできなかった。


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# ◆ラスト


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 暗闇の奥から、


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 一人の男がゆっくりと姿を現す。


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 黒いスーツ。


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 白い手袋。


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 胸には一枚の銀色のバッジ。


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 男はアルトを見据え、


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 静かに名乗った。


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「私は怪盗狩り。」


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「怪盗を憎んでいるのではない。」


---


「怪盗という存在を、終わらせるために来た。」


---


 アルトは帽子のつばに手を添えた。


---


 初めて、


---


 怪盗という生き方そのものが裁かれる戦いが始まる。


---


――続く。


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