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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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622/644

第480話 「赤い予告状」

 午前二時。


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 アルトの事務所。


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 窓から差し込む月明かりだけが、


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 部屋を照らしていた。


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# ◆クロ


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 机の上へ飛び乗る。


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『依頼が一件、終わったね。』


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# ◆アルト


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 コーヒーを一口飲む。


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◆小さく


「依頼人が満足したなら、それでいい。」


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# ◆レイン


---


 端末を操作していた手が止まる。


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◆低く


「アルト。」


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「妙なものが届きました。」


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# ◆アルト


---


「請求書なら捨てとけ。」


---


# ◆クロ


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『払ってから言って。』


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# ◆レイン


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 首を横に振る。


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「予告状です。」


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# ◆静寂


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 部屋の空気が変わる。


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# ◆アルト


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 封筒を受け取る。


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 封蝋は赤。


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 紙も赤。


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 文字だけが、


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 黒く書かれている。


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> **予告状**

>

> 今夜。

>

> 怪盗アルトから、

>

> "怪盗"を盗みます。


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# ◆クロ


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『……え?』


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# ◆レイン


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「差出人はありません。」


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「ですが。」


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「指紋も、筆跡も、一切残されていません。」


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# ◆アルト


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 静かに笑う。


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◆一言


「面白い。」


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# ◆オーサー


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 予告状を見つめる。


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◆低く


「これは普通の依頼ではありません。」


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# ◆フットノート


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「"怪盗"を盗む……。」


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「肩書きを奪うという意味でしょうか。」


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# ◆アルト


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 赤い予告状を裏返す。


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 そこには、


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 一枚の地図が描かれていた。


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# ◆地図


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 目的地は、


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 街外れの廃遊園地。


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 営業を終えて十年以上。


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 今は誰も近づかない場所。


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# ◆レイン


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「監視カメラはありません。」


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「電気も止まっています。」


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# ◆クロ


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『完全な罠だね。』


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# ◆アルト


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 コートを羽織る。


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◆笑う


「怪盗は。」


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「罠があるから盗みが面白い。」


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# ◆ラスト


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 廃遊園地。


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 止まった観覧車。


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 錆びたメリーゴーランド。


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 風もないのに、


---


 園内放送が突然流れ始める。


---


『ようこそ。』


---


『怪盗アルト。』


---


『あなたの最後の盗みを始めましょう。』


---


 アルトは静かに口元を緩めた。


---


「依頼は受けた。」


---


「今度は俺が、お前の正体を盗む。」


---


――続く。


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