第480話 「赤い予告状」
午前二時。
---
アルトの事務所。
---
窓から差し込む月明かりだけが、
---
部屋を照らしていた。
---
# ◆クロ
---
机の上へ飛び乗る。
---
『依頼が一件、終わったね。』
---
# ◆アルト
---
コーヒーを一口飲む。
---
---
◆小さく
「依頼人が満足したなら、それでいい。」
---
# ◆レイン
---
端末を操作していた手が止まる。
---
---
◆低く
「アルト。」
---
---
「妙なものが届きました。」
---
# ◆アルト
---
「請求書なら捨てとけ。」
---
# ◆クロ
---
『払ってから言って。』
---
# ◆レイン
---
首を横に振る。
---
---
「予告状です。」
---
# ◆静寂
---
部屋の空気が変わる。
---
# ◆アルト
---
封筒を受け取る。
---
---
封蝋は赤。
---
紙も赤。
---
文字だけが、
---
黒く書かれている。
---
> **予告状**
>
> 今夜。
>
> 怪盗アルトから、
>
> "怪盗"を盗みます。
---
# ◆クロ
---
『……え?』
---
# ◆レイン
---
「差出人はありません。」
---
---
「ですが。」
---
---
「指紋も、筆跡も、一切残されていません。」
---
# ◆アルト
---
静かに笑う。
---
---
◆一言
「面白い。」
---
# ◆オーサー
---
予告状を見つめる。
---
---
◆低く
「これは普通の依頼ではありません。」
---
# ◆フットノート
---
「"怪盗"を盗む……。」
---
---
「肩書きを奪うという意味でしょうか。」
---
# ◆アルト
---
赤い予告状を裏返す。
---
---
そこには、
---
一枚の地図が描かれていた。
---
# ◆地図
---
目的地は、
---
街外れの廃遊園地。
---
---
営業を終えて十年以上。
---
今は誰も近づかない場所。
---
# ◆レイン
---
「監視カメラはありません。」
---
---
「電気も止まっています。」
---
# ◆クロ
---
『完全な罠だね。』
---
# ◆アルト
---
コートを羽織る。
---
---
◆笑う
「怪盗は。」
---
---
「罠があるから盗みが面白い。」
---
# ◆ラスト
---
廃遊園地。
---
止まった観覧車。
---
錆びたメリーゴーランド。
---
風もないのに、
---
園内放送が突然流れ始める。
---
『ようこそ。』
---
『怪盗アルト。』
---
『あなたの最後の盗みを始めましょう。』
---
アルトは静かに口元を緩めた。
---
「依頼は受けた。」
---
「今度は俺が、お前の正体を盗む。」
---
――続く。




