第477話 「新たな依頼人」
夜。
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街を渡る風が、
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ビルの屋上を吹き抜ける。
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アルトは、
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いつものように街を眺めていた。
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# ◆アルト
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缶コーヒーを片手に笑う。
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◆一言
「平和だな。」
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# ◆クロ
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『怪盗が言う台詞じゃないけどね。』
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# ◆レイン
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双眼鏡をのぞき込む。
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「事件らしい事件もありません。」
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# ◆静寂
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その時。
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アルトのスマートフォンが震える。
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画面には、
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見覚えのない差出人。
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> **依頼がある。**
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# ◆アルト
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メッセージを開く。
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> **盗んでほしいものがあります。**
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> **報酬はいりません。**
>
> **ただ、一人だけ救ってください。**
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# ◆アルト
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「救う?」
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# ◆クロ
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『宝石じゃないの?』
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# ◆アルト
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スクロールする。
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最後に、
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一枚の写真が添付されていた。
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# ◆写真
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病院の個室。
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窓際に座る、
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一人の少年。
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年齢は十歳ほど。
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笑顔はない。
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ただ、
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窓の外を見つめている。
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# ◆メッセージ
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> **この子から、絶望を盗んでください。**
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# ◆静寂
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アルトの表情から笑みが消える。
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# ◆アルト
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◆小さく
「……本気か。」
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# ◆オーサー
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画面を見つめる。
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◆静かに
「これは予告状ではありません。」
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「依頼書です。」
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# ◆フットノート
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「依頼人の名前は?」
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# ◆レイン
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画面を確認する。
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「ありません。」
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「送信元も追跡できません。」
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# ◆クロ
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『また謎の依頼人?』
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# ◆アルト
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スマートフォンを閉じる。
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夜空を見上げ、
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静かに息を吐く。
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◆一言
「いいさ。」
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「怪盗は依頼を選ばない。」
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「ただし。」
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◆笑う
「盗めるものだけ盗む。」
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# ◆ラスト
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遠くで救急車のサイレンが鳴る。
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アルトはコートを翻し、
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病院へ向かって屋根を駆け出した。
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新たな依頼。
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新たな事件。
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怪盗アルトの伝説は、
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再び現実の夜へと帰ってくる。
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