第476話 「白紙の一頁」
# シャドウシーフ:レガシー 第二部
## 第38話「白紙の一頁」
――パラリ。
---
図書館中の本が、
---
一斉にページをめくる。
---
風は吹いていない。
---
それでも、
---
何万冊もの本が、
---
まるで誰かに読まれるのを待つように開いていく。
---
# ◆オーサー
---
静かに本を開く。
---
---
そこには、
---
新しい文章が綴られていた。
---
> **怪盗アルトは、宝を盗まなかった。**
---
> **だから、怪盗として完成した。**
---
# ◆オーサー
---
微笑む。
---
---
◆小さく
「これが……。」
---
---
「あなたが選んだ物語。」
---
# ◆アルト
---
帽子をかぶり直す。
---
---
◆笑う
「大げさだな。」
---
# ◆フットノート
---
万年筆を閉じる。
---
---
◆静かに
「もう私が補足することはありません。」
---
---
「この先は。」
---
---
◆一言
「あなた自身が本文になります。」
---
# ◆静寂
---
その言葉とともに、
---
フットノートの姿が、
---
紙片のような光へと変わり始める。
---
# ◆クロ
---
「待って!」
---
---
「消えるの!?」
---
# ◆フットノート
---
穏やかに笑う。
---
---
「脚注は。」
---
---
「本文を支えるためにあります。」
---
---
「本文が一人で立てるなら。」
---
---
◆続き
「私は必要ありません。」
---
# ◆オーサー
---
静かに目を閉じる。
---
# ◆オーサー
---
「ありがとう。」
---
# ◆フットノート
---
軽く一礼する。
---
---
「こちらこそ。」
---
---
「良い物語でした。」
---
# ◆消失
---
光は静かに舞い上がり、
---
無数の文字となって、
---
図書館中の本へ溶け込んでいく。
---
# ◆アルト
---
しばらく黙ったまま、
---
その光景を見送る。
---
---
◆小さく
「……またな。」
---
# ◆異変
---
その時。
---
アルトの懐から、
---
一枚の白紙の予告状が落ちる。
---
# ◆アルト
---
「?」
---
---
拾い上げる。
---
---
何も書かれていない。
---
だが、
---
少しずつ文字が浮かび始める。
---
> **依頼人:不明**
---
> **依頼品:一つの物語**
---
> **対象:怪盗アルト**
---
# ◆アルト
---
表情が変わる。
---
# ◆クロ
---
「依頼人が……いない?」
---
# ◆オーサー
---
その予告状を見つめ、
---
静かに首を振る。
---
---
◆低く
「違います。」
---
---
「依頼人はいます。」
---
# ◆アルト
---
「誰だ?」
---
# ◆オーサー
---
アルトを見つめる。
---
---
◆核心
「まだ会っていない、未来の誰かです。」
---
# ◆静寂
---
アルトは白紙の予告状を胸ポケットへしまう。
---
---
そして、
---
いつものように笑った。
---
◆一言
「依頼があるなら。」
---
---
「受けるしかないな。」
---
# ◆ラスト
---
忘却図書館の扉が、
---
静かに開く。
---
その先には、
---
見慣れた夜の街。
---
屋根の上を渡る風。
---
街の灯り。
---
人々の笑い声。
---
アルトは屋根へ飛び乗る。
---
ひらりとコートを翻し、
---
月明かりの中へ姿を消した。
---
怪盗の物語は終わらない。
---
なぜなら、
---
誰かの心に、
---
盗まれてほしい絶望がある限り。
---
そして、
---
誰かが取り戻したい希望がある限り。
---




