第475話 「怪盗の証明」
静寂。
---
忘却図書館。
---
アルトと影の怪盗は、
---
互いに一歩も動かない。
---
# ◆影の怪盗
---
穏やかな声で言う。
---
---
「短剣は抜かないのですか。」
---
# ◆アルト
---
帽子のつばを指で押し上げる。
---
---
◆笑う
「怪盗同士だ。」
---
---
「奪い合うなら、力じゃない。」
---
# ◆影の怪盗
---
「では。」
---
---
「何で勝負を?」
---
# ◆アルト
---
一歩前へ出る。
---
---
◆静かに
「盗みで決める。」
---
# ◆影の怪盗
---
小さく笑う。
---
---
「同感です。」
---
# ◆異変
---
二人の間に、
---
ガラスのケースが現れる。
---
中には、
---
透明な宝石が一つ。
---
光を受けるたびに、
---
七色へ輝きを変える。
---
# ◆オーサー
---
「これは……。」
---
# ◆エンディング
---
静かに答える。
---
---
「怪盗の証。」
---
---
「歴代の怪盗は皆、この宝を盗んできました。」
---
# ◆フットノート
---
「名前は?」
---
# ◆エンディング
---
一呼吸置く。
---
---
◆一言
「ラストピース。」
---
# ◆ルール
---
ケースに文字が浮かぶ。
---
> **盗め。**
>
> **ただし、壊してはならない。**
>
> **誰も傷つけてはならない。**
>
> **相手から奪ってもならない。**
---
# ◆クロ
---
「え?」
---
---
「どうやって盗むの?」
---
# ◆アルト
---
ケースを見つめる。
---
---
◆小さく
「なるほど。」
---
---
「怪盗らしい。」
---
# ◆影の怪盗
---
ケースへ近づく。
---
---
鍵穴はない。
---
罠もない。
---
隠し機構もない。
---
# ◆静寂
---
数分が過ぎる。
---
---
誰も動かない。
---
# ◆アルト
---
ふっと笑う。
---
---
◆一言
「分かった。」
---
# ◆オーサー
---
「え?」
---
# ◆アルト
---
ケースに手を添える。
---
---
「盗む必要なんて、最初からない。」
---
# ◆全員
---
「?」
---
# ◆アルト
---
ケースを影の怪盗へ押し出す。
---
---
◆続き
「欲しいなら。」
---
---
「お前にやる。」
---
# ◆静寂
---
その瞬間。
---
ガラスケースが、
---
音もなく消えた。
---
---
透明な宝石は、
---
アルトの手の中へ現れる。
---
# ◆影の怪盗
---
微笑む。
---
---
「合格です。」
---
# ◆アルト
---
「試したな。」
---
# ◆影の怪盗
---
静かにうなずく。
---
---
◆核心
「本物の怪盗は。」
---
---
「宝に執着しません。」
---
---
「価値を知っていても、価値に支配されない。」
---
---
「だからこそ。」
---
---
◆一言
「誰よりも自由なのです。」
---
# ◆ラスト
---
宝石は光となり、
---
アルトの胸へ溶け込んでいく。
---
その瞬間、
---
忘却図書館に並ぶ無数の本が、
---
一斉にページをめくった。
---
新しい一章が、
---
静かに書き始められる。
---
――続く。




