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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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616/636

第474話 「怪盗は、自分を盗めるか」

 静かな夜。


---


 世界中へ舞った予告状は、


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 一枚、


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 また一枚と光を失っていく。


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 盗みは終わった。


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 だが、


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 アルトだけは動かなかった。


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# ◆オーサー


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 アルトの背中を見る。


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◆静かに


「まだ終わっていませんね。」


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# ◆アルト


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 振り返らない。


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◆小さく


「ああ。」


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「一番難しい盗みが残ってる。」


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# ◆フットノート


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「自分自身……ですか。」


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# ◆アルト


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 静かにうなずく。


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# ◆静寂


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 忘却図書館の床へ、


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 一枚だけ予告状が落ちる。


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 それは黄金でも、


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 白紙でもない。


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 黒い予告状だった。


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# ◆アルト


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 ゆっくり拾い上げる。


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 差出人の名前はない。


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 宛名だけが書かれている。


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> **怪盗アルトへ**


---


 裏返す。


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> **今夜。**

>

> **あなたから、あなた自身を盗みます。**


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# ◆クロ


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「誰がこんなものを……。」


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# ◆境界執行者


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『発信源』


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『不明』


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『この世界には存在しない筆跡』


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# ◆アルト


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 予告状を見つめたまま笑う。


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◆一言


「やっと来たか。」


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# ◆オーサー


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「知っていたんですか?」


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# ◆アルト


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 静かに答える。


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「怪盗にはな。」


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「最後に必ず、自分を狙う怪盗が現れる。」


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# ◆フットノート


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「そんな記録は……。」


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# ◆アルト


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 首を横に振る。


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「記録じゃない。」


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◆続き


「言い伝えだ。」


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# ◆静寂


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 その瞬間。


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 アルトの影が、


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 ゆっくりと立ち上がる。


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# ◆クロ


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「影が……動いた!?」


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# ◆影


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 影はアルトと同じ姿になる。


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 帽子。


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 コート。


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 短剣。


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 何一つ違わない。


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 違うのは、


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 瞳だけ。


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 深い銀色だった。


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# ◆影の怪盗


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 帽子を軽く上げる。


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◆穏やかに


「こんばんは。」


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「怪盗アルト。」


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# ◆アルト


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 少しだけ笑う。


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「……待ってたぜ。」


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# ◆影の怪盗


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「私は盗みに来ました。」


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「あなたという存在を。」


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# ◆アルト


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「理由は?」


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# ◆影の怪盗


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 迷うことなく答える。


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◆核心


「怪盗は。」


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「誰かのために盗む。」


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「最後だけは違う。」


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「最後の盗みは。」


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◆一言


「自分を手放せる者だけが、本当の怪盗になれる。」


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# ◆静寂


---


 アルトは短剣を抜かない。


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 影の怪盗も武器を構えない。


---


 互いに見つめ合う。


---


 その勝負は、


---


 力でも、


---


 能力でもない。


---


 **「怪盗とは何か」**を問う、


---


 最後の試練が始まろうとしていた。


---


――続く。


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