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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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615/632

第473話 「予告状の夜」

 夜。


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 世界中の空へ、


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 黄金の予告状が舞う。


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 誰が配ったのか。


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 誰も知らない。


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 それでも、


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 カードは必要な人の手にだけ届いていた。


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# ◆少女


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 病室の窓際。


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 震える手で予告状を開く。


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> **あなたの絶望を、今夜いただきます。**


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 少女は苦く笑う。


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「そんなこと……。」


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「できるわけない。」


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# ◆青年


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 就職活動に失敗し続けた青年。


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 机に突っ伏していた視線の先に、


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 一枚の黄金のカードが落ちる。


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# ◆老人


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 写真立てを抱え、


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 一人で涙を流す老人。


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 その肩にも、


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 静かに予告状が舞い降りる。


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# ◆世界


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 同じ夜。


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 何万枚もの予告状が、


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 世界中へ届いていた。


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# ◆忘却図書館


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 アルトは静かに目を閉じる。


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# ◆オーサー


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「本当にやるんですね。」


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# ◆アルト


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 笑う。


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◆一言


「予告したからな。」


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# ◆フットノート


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「ですが。」


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「絶望は宝石ではありません。」


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「どうやって盗むのですか。」


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# ◆アルト


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 帽子を押さえる。


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◆静かに


「盗みってのは。」


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「相手から奪うことじゃない。」


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◆続き


「相手が手放したくなるようにすることだ。」


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# ◆オーサー


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 その言葉に目を見開く。


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# ◆アルト


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「だから俺は。」


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◆核心


「誰の心にも、無理やり手は突っ込まない。」


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「絶望を捨てるかどうかは。」


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◆一言


「本人が決める。」


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# ◆静寂


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 その瞬間。


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 世界中の黄金の予告状が、


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 一斉に白い光へ変わる。


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 しかし、


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 光ったカードもあれば、


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 何も変わらないカードもあった。


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# ◆アーカイブ


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「反応が違う……?」


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# ◆境界執行者


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『解析完了』


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『受け入れた者には変化が発生』


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『拒絶した者には変化なし』


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# ◆アルト


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 静かにうなずく。


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◆一言


「それでいい。」


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# ◆ラスト


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 怪盗は強奪しない。


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 心の奥底にある扉を開く鍵を示すだけ。


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 絶望を手放すか。


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 抱え続けるか。


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 その選択は、


---


 誰にも盗めない。


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 アルトは夜空を見上げる。


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「さて。」


---


「次は、俺自身の絶望を盗みに行く。」


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 その言葉を残し、


---


 アルトは静かに歩き出した。


---


――続く。


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