第472話 「最後の予告状」
轟音。
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忘却図書館が大きく揺れる。
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天井に亀裂が走り、
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無数の本が宙へ舞い上がる。
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# ◆アーカイブ
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「図書館が崩壊します!」
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「この空間そのものが維持できません!」
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# ◆オーサー
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原稿を見つめる。
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文字が一行ずつ消えていく。
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# ◆オーサー
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◆静かに
「物語が……。」
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「終わろうとしています。」
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# ◆フットノート
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万年筆を握り締める。
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「脚注も維持できません!」
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# ◆境界執行者
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『空間崩壊まで』
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『残り百二十秒』
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# ◆アルト
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白紙の予告状を見つめる。
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何を書くべきか。
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その答えは、
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もう決まっていた。
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# ◆アルト
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ペンを走らせる。
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白紙に、
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一文字ずつ言葉が刻まれる。
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> **予告状**
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> 今夜。
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> 世界から"絶望"を盗み出す。
>
> 怪盗アルト
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# ◆静寂
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書き終えた瞬間。
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白紙だった予告状が、
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黄金色に輝き始める。
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# ◆男
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静かに笑う。
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「それが君の答えか。」
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# ◆アルト
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◆力強く
「俺は怪盗だ。」
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「盗めるものなら。」
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「最後まで盗んでやる。」
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# ◆異変
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黄金の予告状が、
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無数の光となって世界中へ飛び立つ。
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街へ。
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海へ。
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空へ。
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人々の心へ。
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# ◆回想
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涙を流す子ども。
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夢を諦めた青年。
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大切な人を失った老人。
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孤独にうつむく少女。
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その胸に、
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黄金のカードが一枚ずつ届く。
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# ◆カード
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> **あなたの絶望は、確かに受け取りました。**
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> **――怪盗アルト**
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# ◆ラスト
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その瞬間。
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世界中から、
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小さな光が立ち上る。
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それは希望ではない。
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絶望を失ったことで生まれた、
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"もう一度歩き出そうとする意志"だった。
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アルトは静かに帽子をかぶり直す。
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そして笑う。
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「さて。」
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「最後の仕事を始めよう。」
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怪盗アルトが向かう先は、
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世界そのもの。
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物語は、
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ついに最終局面へと進んでいく。
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――続く。




