第469話 「最後の金庫」
――ギィ……
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忘却図書館最奥。
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最後の扉が、
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ゆっくりと開く。
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中は暗闇ではなかった。
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どこまでも続く、
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真っ白な部屋。
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部屋の中央には、
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たった一つだけ、
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黒い金庫が置かれていた。
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# ◆アルト
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目を細める。
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◆小さく
「……金庫?」
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# ◆怪盗ノーネーム
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静かに息をのむ。
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「まさか……。」
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「本当に存在したのか。」
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# ◆オーサー
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原稿を確認する。
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どのページにも、
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この部屋は書かれていない。
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# ◆フットノート
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脚注を書き込もうとする。
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しかし、
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紙には何も現れない。
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# ◆フットノート
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◆低く
「本文にも。」
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「脚注にも属していません。」
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# ◆境界執行者
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『世界外領域を確認』
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『管理権限なし』
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# ◆アルト
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金庫へ歩み寄る。
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古びた黒い扉。
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鍵穴は一つ。
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だが、
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鍵は見当たらない。
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# ◆エンディング
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静かに告げる。
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◆一言
「開ければ戻れません。」
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# ◆アルト
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「中身は?」
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# ◆エンディング
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短く答える。
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◆核心
「あなたです。」
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# ◆静寂
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誰も声を出せない。
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# ◆アルト
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笑みが消える。
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「俺……?」
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# ◆エンディング
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「違います。」
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「あなたの人生でもありません。」
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「あなたの記憶でもありません。」
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◆続き
「怪盗アルトという存在の"本当の姿"です。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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小さく呟く。
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「だから誰も盗めなかった……。」
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# ◆オーサー
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ゆっくりとうなずく。
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「作者にも書けない。」
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「観測者にも見えない。」
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「脚注にも残らない。」
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◆一言
「存在の原典。」
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# ◆アルト
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金庫へ手を伸ばす。
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# ◆異変
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鍵穴が淡く光る。
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その瞬間、
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アルトのポケットに入っていた、
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"終わりのページ"が宙へ浮かぶ。
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ページは折りたたまれ、
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一つの鍵へと姿を変えた。
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# ◆クロ
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『ページが……鍵になった!?』
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# ◆エンディング
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静かに目を閉じる。
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◆一言
「終わりは。」
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「始まりを開く鍵でもあります。」
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# ◆アルト
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鍵を手に取る。
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◆笑う
「なるほど。」
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「最後の宝は。」
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◆核心
「俺自身ってわけか。」
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# ◆ラスト
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アルトは鍵を鍵穴へ差し込む。
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カチリ――。
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静かな音が響く。
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だが、
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金庫が開くよりも先に、
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部屋全体が白い光に包まれた。
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その光の中で、
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アルトは誰かの声を聞く。
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「――ようやく、ここまで来たね。」
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その声は、
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どこか懐かしく、
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初めて聞く声だった。
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――続く。




