第467話 「終わりのない世界」
静寂。
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一枚の紙。
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アルトのポケットに収まった、
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"終わり"。
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その瞬間だった。
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# ◆異変
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世界中の時計が止まる。
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海は波を止め、
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風は吹くことを忘れる。
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人々は歩き続ける。
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だが、
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誰一人として、
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目的地へ辿り着けない。
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# ◆アーカイブ
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震える声。
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◆低く
「終端が……。」
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「消えています。」
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# ◆クロ
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「どういうこと?」
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# ◆アーカイブ
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大量の画面を見つめる。
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◆続き
「何も終わらない。」
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「朝が昼にならない。」
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「戦いが終結しない。」
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「傷が治らない。」
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「涙も止まらない。」
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◆核心
「終わりがないことで、始まりも成立しなくなっています。」
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# ◆静寂
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アルトの表情から笑みが消える。
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# ◆アルト
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◆小さく
「……そういうことか。」
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# ◆エンディング
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静かに歩き出す。
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◆穏やかに
「怪盗。」
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「あなたは盗みに成功しました。」
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「ですが。」
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◆一言
「代償も盗んだ。」
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# ◆アルト
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ポケットに触れる。
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中の紙は、
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微かに脈打っていた。
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# ◆オーサー
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静かに近づく。
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◆低く
「アルト。」
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「返してください。」
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# ◆アルト
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「……。」
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# ◆フットノート
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珍しく焦った表情を見せる。
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◆続き
「終わりは、誰かが持ち続けていいものではありません。」
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「それは世界全体のルールです。」
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# ◆境界執行者
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静かに告げる。
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『終端喪失』
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『世界維持率』
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『一九%』
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# ◆怪盗ノーネーム
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アルトの前へ歩み出る。
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◆静かに
「私も怪盗です。」
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「だから分かります。」
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◆続き
「盗んだものには。」
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◆核心
「必ず返す日が来る。」
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# ◆アルト
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少しだけ笑う。
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◆一言
「分かってる。」
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# ◆異変
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その時、
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アルトのポケットから、
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黒い光が漏れ始める。
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# ◆エンディング
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初めて表情を変える。
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◆低く
「……遅かった。」
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# ◆全員
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「?」
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# ◆終わり
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ポケットの中の紙が、
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一人でに開く。
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誰も触れていない。
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それでも、
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最後のページに、
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新しい文章が浮かび始める。
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> **終わりを盗んだ怪盗は、**
>
> **やがて終わりに盗まれる。**
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# ◆アルト
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息をのむ。
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# ◆エンディング
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◆静かに
「それは私が書いた文章ではありません。」
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# ◆オーサー
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原稿を確認する。
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「違う……。」
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「この筆跡は。」
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◆小さく
「見たことがない。」
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# ◆ラスト
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世界を書いた作者でもない。
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終わりという概念でもない。
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そのどちらでもない"誰か"が、
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アルトの盗みを見届けていた。
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そして、
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物語はさらに大きな謎へと繋がっていく。
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――続く。




