第465話 「語られてはならない物語」
――バキン。
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二本目の鎖が砕ける。
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忘却図書館全体が揺れた。
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# ◆アーカイブ
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血の気が引く。
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◆低く
「そんな……。」
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「封印が保ちません。」
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# ◆境界執行者
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金色の瞳に無数の文字が流れる。
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『封印維持率』
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『二七%』
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『急速低下』
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# ◆アルト
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巨大な扉を睨む。
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◆一言
「中にいるのは誰だ。」
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# ◆オーサー
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原稿をめくる。
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しかし、
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どのページも真っ白だった。
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# ◆オーサー
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◆震える声
「書かれていない……。」
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「いいえ。」
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◆訂正
「書けない。」
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# ◆フットノート
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万年筆を走らせる。
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> **※封印は維持される。**
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# ◆異変
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文字が浮かぶ。
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だが、
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一瞬で黒く塗り潰された。
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# ◆フットノート
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「……!」
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◆驚愕
「脚注が拒絶された。」
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# ◆???
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扉の奥から、
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静かな声が響く。
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「脚注は読んだ。」
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「原稿も読んだ。」
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「だから。」
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◆一言
「もう必要ない。」
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# ◆轟音
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三本目の鎖が砕ける。
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# ◆怪盗ノーネーム
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表情が変わる。
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◆低く
「まさか……。」
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「本当に存在したのか。」
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# ◆アルト
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「知ってるのか?」
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# ◆怪盗ノーネーム
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ゆっくり頷く。
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◆静かに
「怪盗なら。」
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「一度は耳にする都市伝説です。」
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◆続き
「世界中の怪盗が。」
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「決して盗もうとしなかった宝。」
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# ◆アルト
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「宝?」
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# ◆怪盗ノーネーム
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扉を見つめたまま答える。
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◆核心
「『結末』です。」
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# ◆静寂
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誰も意味を理解できなかった。
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# ◆オーサー
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青ざめる。
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◆小さく
「まさか……。」
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「結末そのものを。」
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「盗んだ存在……。」
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# ◆扉
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ゆっくり開く。
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暗闇の奥から、
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一人の人物が歩み出る。
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黒い燕尾服。
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白い手袋。
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顔には、
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何もない。
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目も、
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口も、
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鼻もない。
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それでも、
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確かに笑っている気配だけがあった。
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# ◆???
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静かに一礼する。
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◆名乗る
「はじめまして。」
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「私は。」
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◆間
「エンディング。」
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# ◆全員
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「……!」
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# ◆エンディング
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両手を広げる。
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◆静かに
「物語には。」
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「始まりがあります。」
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「途中があります。」
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◆一言
「ならば。」
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◆核心
「終わりにも意思がある。」
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# ◆アルト
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短剣を構える。
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◆低く
「お前は何者だ。」
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# ◆エンディング
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顔のない頭を少し傾ける。
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◆静かに
「私は役ではありません。」
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「人物でもありません。」
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◆続き
「私は。」
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◆核心
「すべての物語が最後に辿り着く概念です。」
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# ◆ラスト
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作者ですら書けない。
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怪盗ですら盗めない。
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物語の"終わり"そのものが、
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ついに姿を現した。
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アルトは初めて、
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"概念"を相手に盗みを挑むことになる。
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――続く。




