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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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607/616

第465話 「語られてはならない物語」

 ――バキン。


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 二本目の鎖が砕ける。


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 忘却図書館全体が揺れた。


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# ◆アーカイブ


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 血の気が引く。


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◆低く


「そんな……。」


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---


「封印が保ちません。」


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# ◆境界執行者


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 金色の瞳に無数の文字が流れる。


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『封印維持率』


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『二七%』


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---


『急速低下』


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# ◆アルト


---


 巨大な扉を睨む。


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◆一言


「中にいるのは誰だ。」


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# ◆オーサー


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 原稿をめくる。


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---


 しかし、


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 どのページも真っ白だった。


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# ◆オーサー


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◆震える声


「書かれていない……。」


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「いいえ。」


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◆訂正


「書けない。」


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# ◆フットノート


---


 万年筆を走らせる。


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> **※封印は維持される。**


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# ◆異変


---


 文字が浮かぶ。


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---


 だが、


---


 一瞬で黒く塗り潰された。


---


# ◆フットノート


---


「……!」


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◆驚愕


「脚注が拒絶された。」


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# ◆???


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 扉の奥から、


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 静かな声が響く。


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「脚注は読んだ。」


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「原稿も読んだ。」


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---


「だから。」


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◆一言


「もう必要ない。」


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# ◆轟音


---


 三本目の鎖が砕ける。


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# ◆怪盗ノーネーム


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 表情が変わる。


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◆低く


「まさか……。」


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---


「本当に存在したのか。」


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# ◆アルト


---


「知ってるのか?」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 ゆっくり頷く。


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◆静かに


「怪盗なら。」


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「一度は耳にする都市伝説です。」


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◆続き


「世界中の怪盗が。」


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---


「決して盗もうとしなかった宝。」


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# ◆アルト


---


「宝?」


---


# ◆怪盗ノーネーム


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 扉を見つめたまま答える。


---


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◆核心


「『結末』です。」


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# ◆静寂


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 誰も意味を理解できなかった。


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# ◆オーサー


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 青ざめる。


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◆小さく


「まさか……。」


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---


「結末そのものを。」


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「盗んだ存在……。」


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# ◆扉


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 ゆっくり開く。


---


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 暗闇の奥から、


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 一人の人物が歩み出る。


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 黒い燕尾服。


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 白い手袋。


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 顔には、


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 何もない。


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 目も、


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 口も、


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 鼻もない。


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 それでも、


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 確かに笑っている気配だけがあった。


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# ◆???


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 静かに一礼する。


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◆名乗る


「はじめまして。」


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「私は。」


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◆間


「エンディング。」


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# ◆全員


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「……!」


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# ◆エンディング


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 両手を広げる。


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◆静かに


「物語には。」


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「始まりがあります。」


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「途中があります。」


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◆一言


「ならば。」


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◆核心


「終わりにも意思がある。」


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# ◆アルト


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 短剣を構える。


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◆低く


「お前は何者だ。」


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# ◆エンディング


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 顔のない頭を少し傾ける。


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◆静かに


「私は役ではありません。」


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「人物でもありません。」


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◆続き


「私は。」


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◆核心


「すべての物語が最後に辿り着く概念です。」


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# ◆ラスト


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 作者ですら書けない。


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 怪盗ですら盗めない。


---


 物語の"終わり"そのものが、


---


 ついに姿を現した。


---


 アルトは初めて、


---


 "概念"を相手に盗みを挑むことになる。


---


――続く。


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