第464話 「怪盗の流儀」
忘却図書館。
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鎖に閉ざされた巨大な扉。
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その前で、
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アルトと怪盗ノーネームが向かい合う。
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# ◆静寂
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どちらも武器を抜かない。
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先に口を開いたのは、
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アルトだった。
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# ◆アルト
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◆静かに
「一つだけ聞かせろ。」
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「お前は今まで、何を盗んできた。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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少し考え、
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静かに答える。
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「消えた未来です。」
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「夢を諦めた画家。」
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「誰にも届かなかった手紙。」
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「あと一歩で救われた命。」
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「忘れられた約束。」
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◆続き
「誰にも必要とされなかった可能性。」
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# ◆アルト
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ゆっくりとうなずく。
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◆小さく
「そうか。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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「あなたは?」
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# ◆アルト
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帽子のつばを上げる。
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◆笑う
「俺は。」
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「希望だけだ。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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少しだけ目を見開く。
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# ◆アルト
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「金でもない。」
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「宝石でもない。」
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「世界そのものでもない。」
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◆核心
「誰かが前を向くための希望だけを盗む。」
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# ◆静寂
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図書館の空気が揺れる。
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本棚に並ぶ白紙の本が、
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一冊ずつ淡く光り始める。
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# ◆アーカイブ
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『本が反応しています!』
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# ◆オーサー
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静かに本棚へ近づく。
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一冊の本を開く。
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白紙だったページに、
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文字が浮かぶ。
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> **選ばれなかった物語は、終わった物語ではない。**
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# ◆フットノート
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その続きを読む。
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> **誰かが覚えている限り、
> 物語は眠っているだけである。**
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# ◆怪盗ノーネーム
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表情が変わる。
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◆小さく
「そんな記述……。」
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「この図書館には存在しなかった。」
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# ◆アルト
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笑みを浮かべる。
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◆一言
「物語は増える。」
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「誰かが信じた瞬間にな。」
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# ◆異変
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突然、
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封印された巨大な扉から、
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鈍い音が響く。
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ゴォン――。
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# ◆境界執行者
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金色の瞳が鋭くなる。
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『警告』
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『封印内部に超高密度エネルギーを確認』
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『封印解除まで残り六十秒』
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# ◆クロ
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『勝手に開き始めた!?』
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# ◆怪盗ノーネーム
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驚いた表情を見せる。
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◆一言
「違う……。」
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「私はまだ何もしていない。」
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# ◆オーサー
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原稿を開き、
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急いでページをめくる。
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◆低く
「まずい……。」
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「封印は外から開くものではありません。」
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# ◆アルト
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「どういうことだ?」
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# ◆オーサー
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顔を上げる。
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◆核心
「中にいる誰かが、開けているんです。」
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# ◆静寂
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全員の視線が、
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巨大な扉へ集まる。
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鎖が一本、
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音を立てて砕け散る。
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バキン――。
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# ◆???
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扉の向こうから、
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誰かの笑い声が響く。
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「……やっと。」
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「外へ出られる。」
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# ◆ラスト
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忘れられた物語を封じた扉。
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その奥にいたのは、
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救いを待つ者ではなかった。
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"誰にも語られてはならなかった物語"が、
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ついに目を覚まそうとしていた。
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――続く。




