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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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605/616

第463話 「二人の怪盗」

 忘却図書館。


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 静かな空気の中、


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 アルトと怪盗ノーネームが向かい合う。


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# ◆アルト


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 帽子を深くかぶる。


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◆一言


「可能性を盗む、か。」


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◆続き


「面白いこと言うじゃねぇか。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 微笑む。


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◆静かに


「あなたも怪盗なら。」


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「盗みの意味は知っているでしょう。」


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# ◆アルト


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「もちろん。」


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◆笑う


「だから聞いてる。」


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「何のために盗む?」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 少し考える。


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 そして、


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 白紙の本を閉じた。


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# ◆怪盗ノーネーム


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◆穏やかに


「誰かが選ぶはずだった未来。」


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「誰かが諦めた夢。」


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「誰にも届かなかった願い。」


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◆一言


「私は、それらを盗み集めています。」


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# ◆クロ


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『それって……。』


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# ◆レイン


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「悪いことなのか?」


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# ◆オーサー


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 静かに首を横へ振る。


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◆低く


「まだ分かりません。」


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# ◆アルト


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 ノーネームを見つめる。


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◆一言


「集めてどうする。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 図書館の奥を指差す。


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# ◆視線の先


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 そこには、


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 ひときわ大きな扉。


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 錆びついた鎖で、


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 何重にも封印されていた。


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# ◆怪盗ノーネーム


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◆静かに


「あの扉を開きます。」


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# ◆フットノート


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「中には何が?」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 一瞬だけ、


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 笑みが消える。


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◆低く


「……誰にも選ばれなかった物語です。」


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# ◆静寂


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 図書館が軋む。


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 本棚の本が、


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 一冊、


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 また一冊と震え始める。


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# ◆アーカイブ


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『まずい!』


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『封印が弱まっています!』


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# ◆オーサー


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 顔色が変わる。


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◆小さく


「まさか……。」


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「そこを開けるつもりですか。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 静かに頷く。


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◆一言


「ええ。」


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# ◆アルト


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「理由を聞かせろ。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 ゆっくりと振り返る。


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◆静かに


「あなたは。」


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「選ばれなかった人を知っていますか。」


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「あと一歩届かなかった夢。」


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「途中で終わった人生。」


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「語られることなく消えた物語。」


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◆続き


「私は、それらを見捨てられませんでした。」


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# ◆アルト


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 黙って聞く。


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# ◆怪盗ノーネーム


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◆核心


「だから私は盗む。」


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「忘れ去られた可能性を。」


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「誰にも読まれなかった物語を。」


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# ◆オーサー


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 目を閉じる。


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◆低く


「ですが、それらを一つにすれば……。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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「分かっています。」


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◆一言


「世界は壊れます。」


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# ◆全員


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「!!」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 悲しそうに笑う。


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◆続き


「でも。」


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◆核心


「忘れられた物語にも、生きる資格はある。」


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# ◆アルト


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 静かに息を吐く。


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◆小さく


「……なるほどな。」


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# ◆ラスト


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 正義でもない。


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 悪でもない。


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 目の前にいるのは、


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 誰にも読まれなかった物語を救おうとする怪盗だった。


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 アルトは帽子のつばに触れ、


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 静かに告げる。


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「その気持ちは分かる。」


---


「……だからこそ、止める。」


---


――続く。


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