第463話 「二人の怪盗」
忘却図書館。
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静かな空気の中、
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アルトと怪盗ノーネームが向かい合う。
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# ◆アルト
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帽子を深くかぶる。
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◆一言
「可能性を盗む、か。」
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◆続き
「面白いこと言うじゃねぇか。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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微笑む。
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◆静かに
「あなたも怪盗なら。」
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「盗みの意味は知っているでしょう。」
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# ◆アルト
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「もちろん。」
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◆笑う
「だから聞いてる。」
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「何のために盗む?」
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# ◆怪盗ノーネーム
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少し考える。
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そして、
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白紙の本を閉じた。
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# ◆怪盗ノーネーム
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◆穏やかに
「誰かが選ぶはずだった未来。」
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「誰かが諦めた夢。」
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「誰にも届かなかった願い。」
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◆一言
「私は、それらを盗み集めています。」
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# ◆クロ
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『それって……。』
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# ◆レイン
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「悪いことなのか?」
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# ◆オーサー
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静かに首を横へ振る。
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◆低く
「まだ分かりません。」
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# ◆アルト
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ノーネームを見つめる。
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◆一言
「集めてどうする。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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図書館の奥を指差す。
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# ◆視線の先
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そこには、
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ひときわ大きな扉。
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錆びついた鎖で、
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何重にも封印されていた。
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# ◆怪盗ノーネーム
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◆静かに
「あの扉を開きます。」
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# ◆フットノート
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「中には何が?」
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# ◆怪盗ノーネーム
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一瞬だけ、
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笑みが消える。
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◆低く
「……誰にも選ばれなかった物語です。」
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# ◆静寂
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図書館が軋む。
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本棚の本が、
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一冊、
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また一冊と震え始める。
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# ◆アーカイブ
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『まずい!』
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『封印が弱まっています!』
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# ◆オーサー
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顔色が変わる。
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◆小さく
「まさか……。」
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「そこを開けるつもりですか。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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静かに頷く。
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◆一言
「ええ。」
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# ◆アルト
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「理由を聞かせろ。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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ゆっくりと振り返る。
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◆静かに
「あなたは。」
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「選ばれなかった人を知っていますか。」
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「あと一歩届かなかった夢。」
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「途中で終わった人生。」
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「語られることなく消えた物語。」
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◆続き
「私は、それらを見捨てられませんでした。」
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# ◆アルト
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黙って聞く。
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# ◆怪盗ノーネーム
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◆核心
「だから私は盗む。」
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「忘れ去られた可能性を。」
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「誰にも読まれなかった物語を。」
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# ◆オーサー
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目を閉じる。
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◆低く
「ですが、それらを一つにすれば……。」
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# ◆怪盗ノーネーム
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「分かっています。」
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◆一言
「世界は壊れます。」
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# ◆全員
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「!!」
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# ◆怪盗ノーネーム
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悲しそうに笑う。
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◆続き
「でも。」
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◆核心
「忘れられた物語にも、生きる資格はある。」
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# ◆アルト
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静かに息を吐く。
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◆小さく
「……なるほどな。」
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# ◆ラスト
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正義でもない。
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悪でもない。
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目の前にいるのは、
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誰にも読まれなかった物語を救おうとする怪盗だった。
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アルトは帽子のつばに触れ、
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静かに告げる。
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「その気持ちは分かる。」
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「……だからこそ、止める。」
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――続く。




