第462話 「忘却図書館」
夜
---
三日後。
---
予告状に記された場所。
---
**忘却図書館**。
---
そこは地図にも、
---
記録にも存在しない図書館だった。
---
# ◆アーカイブ
---
巨大な扉を見上げる。
---
---
◆低く
「ここは……。」
---
---
「私の記録にも残っていません。」
---
# ◆オーサー
---
静かに目を細める。
---
---
◆一言
「当然です。」
---
---
「ここは記録される前の本が集まる場所。」
---
# ◆フットノート
---
「本文にも。」
---
---
「脚注にも載らない世界……。」
---
# ◆アルト
---
大きな扉へ手をかける。
---
---
◆笑う
「だったら。」
---
---
「怪盗には都合がいい。」
---
# ◆開門
---
重い音を立て、
---
図書館の扉が開く。
---
---
中には、
---
果ての見えない本棚。
---
---
天井まで積み上げられた無数の本。
---
---
しかし。
---
どの本にも、
---
題名が書かれていない。
---
# ◆クロ
---
『全部、白紙……?』
---
# ◆オーサー
---
首を横に振る。
---
---
◆静かに
「違います。」
---
---
「まだ書かれていない物語です。」
---
# ◆静寂
---
図書館の奥から、
---
ゆっくりと足音が響く。
---
……コツ。
---
……コツ。
---
……コツ。
---
# ◆???
---
「時間どおりですね。」
---
# ◆アルト
---
振り向く。
---
# ◆???
---
黒いシルクハット。
---
黒いロングコート。
---
白い仮面。
---
その姿は、
---
どこかアルトと似ていた。
---
# ◆???
---
軽く帽子を持ち上げる。
---
---
◆名乗る
「ようこそ。」
---
---
「忘却図書館へ。」
---
# ◆アルト
---
笑みを浮かべる。
---
---
◆一言
「お前が。」
---
---
「怪盗ノーネームか。」
---
# ◆怪盗ノーネーム
---
小さく笑う。
---
---
「ええ。」
---
---
「もっとも。」
---
---
◆続き
「その名も仮のものですが。」
---
# ◆フットノート
---
万年筆を握る。
---
---
◆低く
「目的は何です。」
---
# ◆怪盗ノーネーム
---
本棚へ歩いていく。
---
---
一冊の白紙の本を手に取る。
---
---
◆静かに
「私は盗みに来たわけではありません。」
---
# ◆アルト
---
「予告状には。」
---
# ◆怪盗ノーネーム
---
ページを開く。
---
---
真っ白だった本に、
---
一行だけ文字が現れる。
---
> **怪盗アルトは、この本を読む。**
---
# ◆異変
---
その瞬間、
---
アルトの身体が、
---
意思とは無関係に本へ手を伸ばす。
---
# ◆アルト
---
「……っ!」
---
# ◆オーサー
---
「未来を書いた……!?」
---
# ◆怪盗ノーネーム
---
静かに首を振る。
---
---
◆一言
「違います。」
---
---
◆核心
「私は未来を書けません。」
---
---
「私は。」
---
---
「まだ誰も選んでいない可能性を、盗むだけです。」
---
# ◆静寂
---
アルトは、
---
初めて表情を変えた。
---
---
「可能性を……盗む?」
---
# ◆ラスト
---
オーサーは未来を書く。
---
フットノートは世界を補足する。
---
そして怪盗ノーネームは――
---
**選ばれるはずだった未来そのものを盗む怪盗**だった。
---
アルトの常識を覆す、
---
新たな怪盗との駆け引きが始まる。
---
――続く。




