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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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604/640

第462話 「忘却図書館」

 夜

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 三日後。


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 予告状に記された場所。


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 **忘却図書館**。


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 そこは地図にも、


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 記録にも存在しない図書館だった。


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# ◆アーカイブ


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 巨大な扉を見上げる。


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◆低く


「ここは……。」


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「私の記録にも残っていません。」


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# ◆オーサー


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 静かに目を細める。


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◆一言


「当然です。」


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「ここは記録される前の本が集まる場所。」


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# ◆フットノート


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「本文にも。」


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「脚注にも載らない世界……。」


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# ◆アルト


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 大きな扉へ手をかける。


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◆笑う


「だったら。」


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「怪盗には都合がいい。」


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# ◆開門


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 重い音を立て、


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 図書館の扉が開く。


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 中には、


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 果ての見えない本棚。


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 天井まで積み上げられた無数の本。


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 しかし。


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 どの本にも、


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 題名が書かれていない。


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# ◆クロ


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『全部、白紙……?』


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# ◆オーサー


---


 首を横に振る。


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◆静かに


「違います。」


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「まだ書かれていない物語です。」


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# ◆静寂


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 図書館の奥から、


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 ゆっくりと足音が響く。


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 ……コツ。


---


 ……コツ。


---


 ……コツ。


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# ◆???


---


「時間どおりですね。」


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# ◆アルト


---


 振り向く。


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# ◆???


---


 黒いシルクハット。


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 黒いロングコート。


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 白い仮面。


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 その姿は、


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 どこかアルトと似ていた。


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# ◆???


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 軽く帽子を持ち上げる。


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◆名乗る


「ようこそ。」


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---


「忘却図書館へ。」


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# ◆アルト


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 笑みを浮かべる。


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◆一言


「お前が。」


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「怪盗ノーネームか。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 小さく笑う。


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「ええ。」


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---


「もっとも。」


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◆続き


「その名も仮のものですが。」


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# ◆フットノート


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 万年筆を握る。


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◆低く


「目的は何です。」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 本棚へ歩いていく。


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 一冊の白紙の本を手に取る。


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◆静かに


「私は盗みに来たわけではありません。」


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# ◆アルト


---


「予告状には。」


---


# ◆怪盗ノーネーム


---


 ページを開く。


---


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 真っ白だった本に、


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 一行だけ文字が現れる。


---


> **怪盗アルトは、この本を読む。**


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# ◆異変


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 その瞬間、


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 アルトの身体が、


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 意思とは無関係に本へ手を伸ばす。


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# ◆アルト


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「……っ!」


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# ◆オーサー


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「未来を書いた……!?」


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# ◆怪盗ノーネーム


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 静かに首を振る。


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◆一言


「違います。」


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◆核心


「私は未来を書けません。」


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「私は。」


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「まだ誰も選んでいない可能性を、盗むだけです。」


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# ◆静寂


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 アルトは、


---


 初めて表情を変えた。


---


---


「可能性を……盗む?」


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# ◆ラスト


---


 オーサーは未来を書く。


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 フットノートは世界を補足する。


---


 そして怪盗ノーネームは――


---


 **選ばれるはずだった未来そのものを盗む怪盗**だった。


---


 アルトの常識を覆す、


---


 新たな怪盗との駆け引きが始まる。


---


――続く。


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