第461話 「黒い予告状」
静寂。
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誰も言葉を発しない。
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アルトの手には、
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黒い予告状が握られていた。
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# ◆クロ(通信)
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『紙を解析する!』
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『インク、紙質、指紋……』
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数秒後。
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『……何もない。』
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# ◆レイン
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「何も?」
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# ◆クロ
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『紙自体が、この世界の物質じゃない。』
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『データとして認識できない。』
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# ◆フットノート
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予告状を一瞥する。
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◆静かに
「文字にも脚注が存在しません。」
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「誰にも編集されていない文章です。」
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# ◆オーサー
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眉をひそめる。
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◆低く
「私の原稿にも存在しない。」
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「つまり……。」
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# ◆アルト
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◆一言
「初めて見る"本物の予告状"ってわけか。」
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# ◆異変
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その瞬間。
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予告状の文字が、
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ひとりでに書き換わる。
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> **追記**
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> 怪盗アルトへ。
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> あなたには、一つ勘違いがあります。
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# ◆アルト
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目を細める。
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> **あなたは"物語を守る怪盗"ではない。**
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> **あなた自身も、誰かに盗まれた存在です。**
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# ◆静寂
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空気が凍りつく。
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# ◆クロ
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『……どういう意味?』
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# ◆オーサー
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表情が変わる。
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◆小さく
「まさか……。」
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# ◆アルト
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「知ってるのか。」
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# ◆オーサー
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ゆっくりとうなずく。
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◆静かに
「あなたが初めて私の前に現れた日……。」
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「原稿には。」
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◆一言
「あなたの名前がありませんでした。」
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# ◆アルト
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「……。」
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# ◆オーサー
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「誰が書いたのか分からない。」
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「どこから来たのかも分からない。」
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◆続き
「それでも、あなたは存在していた。」
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# ◆フットノート
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眼鏡を押し上げる。
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◆低く
「つまりアルトは……。」
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◆核心
「物語の登場人物ではない可能性があります。」
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# ◆レイン
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「そんな馬鹿な!」
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# ◆境界執行者
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静かに口を開く。
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『観測記録を照合』
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『該当データなし』
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『怪盗アルト』
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『起源、不明』
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# ◆アルト
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帽子のつばを下げる。
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少しだけ笑う。
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◆一言
「だから何だ。」
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# ◆全員
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「?」
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# ◆アルト
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「俺が誰に作られたかなんて。」
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「今さら関係ねぇ。」
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◆続き
「俺が盗みたいものも。」
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◆核心
「守りたいものも。」
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「全部、自分で決めた。」
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# ◆予告状
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最後の一文が浮かぶ。
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> **その答えで正しい。**
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> だからこそ、あなたに会う価値がある。
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> **三日後。**
>
> **《忘却図書館》で待っています。**
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> **――怪盗ノーネーム**
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# ◆ラスト
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初めて名乗った敵。
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その名は――
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**怪盗ノーネーム**。
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名前を持たない怪盗。
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そして、
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アルトが対峙する、
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"怪盗対怪盗"の物語が幕を開ける。
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――続く。




