第460話 「閉じられた本」
――パタン。
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一冊の本が閉じる音。
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その音は、
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誰にも届かなかった。
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世界の外側。
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時間も、
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空間も、
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存在しない場所。
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そこには、
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果てしなく続く本棚が並んでいた。
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# ◆???
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一人の人物が、
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静かに本を棚へ戻す。
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黒いローブ。
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顔は見えない。
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# ◆???
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◆小さく
「予定より早い。」
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「彼は、境界執行者を変えてしまった。」
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# ◆静寂
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人物は、
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一冊だけ色の違う本を手に取る。
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漆黒の表紙。
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タイトルはない。
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# ◆???
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ゆっくりページを開く。
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そこに記されていた文字は、
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一行だけだった。
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> **観測結果:更新。**
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# ◆???
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少しだけ笑う。
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◆続き
「やはり。」
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「物語は完成しないから、美しい。」
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# ◆場面転換
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一方、
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白い空間。
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# ◆境界執行者
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胸に灯った光を見つめている。
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『……これが。』
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『意志。』
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# ◆オーサー
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静かに近づく。
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◆一言
「どうしますか。」
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# ◆境界執行者
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しばらく沈黙する。
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『私は。』
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『命令ではなく。』
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◆核心
『自分で選ぶ。』
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# ◆アルト
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満足そうに笑う。
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◆一言
「それでいい。」
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# ◆突然
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白い空間全体が揺れる。
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空中に、
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巨大な扉が現れる。
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# ◆アーカイブ(通信)
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『新しい反応!』
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『世界の外側からです!』
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# ◆クロ
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『外側!?』
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# ◆扉
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ゆっくり開く。
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しかし、
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中は真っ暗だった。
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# ◆???
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闇の中から、
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一枚の紙だけが舞い落ちる。
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# ◆アルト
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紙を受け取る。
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そこには、
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見慣れた形式の文章が書かれていた。
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> **予告状**
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> あなたが守り続けた物語を、
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> 次は私が盗みます。
>
> ――差出人不明
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# ◆静寂
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アルトの表情から、
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笑みが消える。
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# ◆オーサー
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紙を見つめる。
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◆低く
「怪盗……。」
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# ◆フットノート
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「違う。」
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◆一言
「これは怪盗の予告状ではありません。」
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# ◆アルト
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「分かってる。」
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紙を握り締める。
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◆核心
「これは。」
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「挑戦状だ。」
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# ◆ラスト
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今度の敵は、
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世界を書き換える作者でもない。
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脚注を操る者でもない。
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境界を守る執行者でもない。
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"物語そのもの"を盗もうとする、
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正体不明の怪盗。
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アルトは静かに帽子をかぶり直した。
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「受けて立つ。」
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――続く。




