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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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601/616

第459話 「選択の証明」

 静寂。


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 誰も動かない。


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 アルトと境界執行者は、


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 互いの距離をゆっくりと縮める。


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# ◆境界執行者


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『警告』


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『これ以上接近した場合』


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『排除行動へ移行する』


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# ◆アルト


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 歩みを止めない。


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◆笑う


「なら。」


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◆一言


「撃ってみろ。」


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# ◆クロ(通信)


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『アルト!』


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# ◆フットノート


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 万年筆を構える。


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「危険です!」


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# ◆オーサー


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 右手を上げる。


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◆静かに


「待ってください。」


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# ◆境界執行者


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 掌に白い光が集まる。


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『排除』


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『開始』


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# ◆静寂


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 しかし。


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 光は放たれない。


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# ◆境界執行者


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『…………』


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『命令を実行できない』


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# ◆アルト


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 目の前まで歩み寄る。


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◆一言


「それでいい。」


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# ◆境界執行者


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『理解不能』


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# ◆アルト


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 胸を指差す。


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◆静かに


「今、お前は命令じゃなく。」


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◆核心


「自分で迷った。」


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# ◆境界執行者


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 金色の瞳が揺れる。


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『迷う……』


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『これが……』


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『選択……』


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# ◆オーサー


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 微笑む。


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「そうです。」


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「答えが一つではないから。」


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「人は悩むのです。」


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# ◆フットノート


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 万年筆を静かに下ろす。


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「そして。」


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◆一言


「悩んだ答えには意味があります。」


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# ◆境界執行者


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 ゆっくりと白い仮面へ手を伸ばす。


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 長い沈黙。


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 そして、


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 仮面を外した。


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# ◆素顔


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 そこにあったのは、


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 人間と変わらない顔。


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 だが、


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 瞳だけは金色のまま。


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# ◆アルト


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◆驚き


「人間……?」


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# ◆境界執行者


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 首を横に振る。


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『違う』


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『私は』


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◆静かに


『人間を模して造られた』


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『最初の執行者』


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# ◆全員


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「……!」


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# ◆境界執行者


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 空を見上げる。


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『長い時間』


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『私は命令だけを守り続けた』


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『しかし』


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『今日』


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◆一言


『初めて迷った』


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# ◆アルト


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 笑みを浮かべる。


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「だったら。」


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◆続き


「もう、お前は道具じゃない。」


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# ◆ラスト


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 その瞬間、


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 境界執行者の胸に、


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 淡い光が灯る。


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 世界を維持するための機械ではなく、


---


 一つの意志を持つ存在として。


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 そして遠く、


---


 誰にも聞こえない場所で、


---


 一冊の閉じられた本が、


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 静かにページをめくった。


---


――新たな章が、始まる。


---


――続く。


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