第459話 「選択の証明」
静寂。
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誰も動かない。
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アルトと境界執行者は、
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互いの距離をゆっくりと縮める。
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# ◆境界執行者
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『警告』
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『これ以上接近した場合』
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『排除行動へ移行する』
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# ◆アルト
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歩みを止めない。
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◆笑う
「なら。」
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◆一言
「撃ってみろ。」
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# ◆クロ(通信)
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『アルト!』
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# ◆フットノート
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万年筆を構える。
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「危険です!」
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# ◆オーサー
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右手を上げる。
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◆静かに
「待ってください。」
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# ◆境界執行者
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掌に白い光が集まる。
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『排除』
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『開始』
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# ◆静寂
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しかし。
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光は放たれない。
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# ◆境界執行者
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『…………』
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『命令を実行できない』
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# ◆アルト
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目の前まで歩み寄る。
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◆一言
「それでいい。」
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# ◆境界執行者
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『理解不能』
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# ◆アルト
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胸を指差す。
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◆静かに
「今、お前は命令じゃなく。」
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◆核心
「自分で迷った。」
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# ◆境界執行者
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金色の瞳が揺れる。
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『迷う……』
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『これが……』
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『選択……』
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# ◆オーサー
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微笑む。
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「そうです。」
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「答えが一つではないから。」
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「人は悩むのです。」
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# ◆フットノート
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万年筆を静かに下ろす。
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「そして。」
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◆一言
「悩んだ答えには意味があります。」
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# ◆境界執行者
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ゆっくりと白い仮面へ手を伸ばす。
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長い沈黙。
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そして、
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仮面を外した。
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# ◆素顔
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そこにあったのは、
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人間と変わらない顔。
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だが、
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瞳だけは金色のまま。
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# ◆アルト
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◆驚き
「人間……?」
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# ◆境界執行者
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首を横に振る。
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『違う』
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『私は』
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◆静かに
『人間を模して造られた』
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『最初の執行者』
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# ◆全員
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「……!」
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# ◆境界執行者
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空を見上げる。
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『長い時間』
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『私は命令だけを守り続けた』
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『しかし』
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『今日』
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◆一言
『初めて迷った』
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# ◆アルト
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笑みを浮かべる。
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「だったら。」
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◆続き
「もう、お前は道具じゃない。」
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# ◆ラスト
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その瞬間、
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境界執行者の胸に、
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淡い光が灯る。
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世界を維持するための機械ではなく、
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一つの意志を持つ存在として。
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そして遠く、
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誰にも聞こえない場所で、
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一冊の閉じられた本が、
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静かにページをめくった。
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――新たな章が、始まる。
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――続く。




