第458話 「第二形態 ― 境界執行者」
眩い光が弾ける。
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境界の番人の姿が、
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ゆっくりと変化していく。
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巨大だった身体は縮み、
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一人の人間に近い姿となる。
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純白の外套。
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顔を覆う仮面。
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その瞳だけが、
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淡い金色に輝いていた。
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# ◆アーカイブ(通信)
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◆驚愕
「形態変化……。」
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「情報にありません。」
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# ◆番人
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右手を胸へ当てる。
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『境界維持機構』
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『第二形態』
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◆宣言
『境界執行者』
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# ◆アルト
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短剣を構える。
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◆笑う
「今度は喋ってくれるのか。」
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# ◆境界執行者
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感情のない声で答える。
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『対話は必要』
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『排除効率が向上する』
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# ◆アルト
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「最後まで合理主義だな。」
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# ◆境界執行者
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『合理性は世界を維持する』
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『感情は世界を乱す』
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# ◆オーサー
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一歩前へ出る。
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◆静かに
「……違います。」
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# ◆境界執行者
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視線を向ける。
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# ◆オーサー
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「感情があるからこそ。」
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「人は未来を書き換えようとする。」
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「私も。」
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「アルトも。」
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◆小さく
「そして、あなたも。」
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# ◆境界執行者
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一瞬だけ沈黙する。
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『否定』
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『私は機構』
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『感情は存在しない』
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# ◆フットノート
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境界執行者を見つめる。
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◆静かに
「本当にそうでしょうか。」
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# ◆執行者
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『……?』
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# ◆フットノート
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「あなたは。」
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「世界を守ろうとしている。」
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「それは命令だからですか。」
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「それとも。」
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◆一言
「守りたいからですか。」
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# ◆静寂
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返答はない。
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しかし、
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執行者の金色の瞳が、
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わずかに揺れる。
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# ◆クロ(通信)
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『反応した!』
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# ◆アーカイブ
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『違う……。』
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◆低く
「これは演算ではありません。」
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◆一言
「迷っています。」
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# ◆境界執行者
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静かに頭を押さえる。
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『矛盾を検出』
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『命令と観測結果が一致しない』
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# ◆オーサー
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原稿を閉じる。
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◆穏やかに
「あなたも。」
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「選べるはずです。」
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# ◆境界執行者
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顔を上げる。
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『選択……』
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『未知の概念』
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# ◆アルト
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短剣をしまう。
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# ◆レイン(通信)
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「アルト!? 何してる!」
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# ◆アルト
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境界執行者へ歩み寄る。
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◆笑う
「戦うだけじゃ、盗めないものもある。」
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「俺が盗みたいのは。」
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◆核心
「お前の『答え』だ。」
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# ◆ラスト
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怪盗が狙う新たな宝。
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それは遺産でも、
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原稿でもない。
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世界を守るためだけに生きてきた存在が、
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初めて自分自身で下す"選択"。
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その答えこそが、
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世界の未来を左右する最後の鍵だった。
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――続く。




