第455話 「計算できない答え」
白い空間。
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巨大な瞳――観測者が、
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静かにアルトを見つめている。
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# ◆観測者
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『質問』
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『なぜ選択する』
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『最適解は一つ』
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『迷う必要は存在しない』
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# ◆アルト
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帽子のつばを軽く上げる。
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◆一言
「だから、お前には分からない。」
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# ◆観測者
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『解析』
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『回答不能』
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# ◆アルト
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ゆっくり歩き始める。
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◆続き
「人はな。」
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「正しいから選ぶんじゃない。」
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「信じたいから選ぶ。」
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# ◆観測者
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『非合理』
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『成功率が低下する』
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# ◆アルト
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笑う。
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◆一言
「合理的なら。」
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◆続き
「怪盗なんてやってない。」
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# ◆静寂
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オーサーは、
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その会話を黙って聞いていた。
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# ◆オーサー
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◆小さく
「私も……。」
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「昔は同じことを言っていました。」
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# ◆アルト
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「だったら。」
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◆続き
「何で変わった?」
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# ◆オーサー
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目を閉じる。
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◆静かに
「救えなかったからです。」
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「一度。」
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「たった一度の選択で。」
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「大切な人を失いました。」
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# ◆アルト
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何も言わない。
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# ◆オーサー
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「だから私は。」
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◆続き
「選択そのものをなくそうとした。」
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# ◆フットノート
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静かに視線を落とす。
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初めて、
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オーサーの過去を聞いた。
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# ◆観測者
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『理解』
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『感情が判断を歪めた』
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『修正対象』
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# ◆アルト
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すぐに否定する。
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◆一言
「違う。」
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# ◆観測者
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『?』
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# ◆アルト
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「感情があるから。」
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「誰かを守ろうと思える。」
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「感情があるから。」
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「後悔する。」
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「後悔するから。」
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◆核心
「次は間違えないように生きる。」
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# ◆静寂
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観測者は、
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返答しない。
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ただ、
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無数の光が瞳の奥で流れていた。
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# ◆観測者
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『再計算』
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『未知の変数を確認』
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『名称』
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『意志』
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# ◆アルト
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短剣を構える。
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◆笑う
「やっと覚えたか。」
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# ◆異変
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その瞬間。
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白い空間に、
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一本の黒い亀裂が走る。
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# ◆アーカイブ(通信)
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『アルト!』
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『その反応はまずい!』
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# ◆レイン
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「何が起きる!」
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# ◆アーカイブ
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焦った声で叫ぶ。
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◆一言
「世界の境界が崩れます!」
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# ◆観測者
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『境界維持不能』
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『世界を保護する』
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# ◆異変
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巨大な瞳が、
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ゆっくりと閉じる。
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同時に、
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白い空間そのものが崩れ始める。
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# ◆オーサー
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驚いた表情で空を見上げる。
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◆小さく
「……まさか。」
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# ◆ラスト
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世界を守るため、
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観測者が初めて自ら動き出す。
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その決断は、
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アルトにも、
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オーサーにも予想できなかった。
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そして、
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物語は新たな局面へと突入する。
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――続く。




