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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第452話 「作者の原稿」

 白い空間。


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 脚注の文字が消え、


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 世界は一度、静寂を取り戻した。


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 しかし。


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 その静けさは、


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 次の瞬間に崩れる。


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# ◆オーサー


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 ゆっくりと一冊の本を開く。


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 表紙には、


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 何も書かれていない。


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# ◆アルト


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 目を細める。


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◆一言


「それが……。」


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「お前の本か。」


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# ◆オーサー


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 頷く。


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◆静かに


「はい。」


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「世界の初稿。」


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# ◆レイン(通信)


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「初稿……?」


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# ◆アーカイブ(通信)


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 息をのむ。


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◆低く


「そんなものが存在するはずが……。」


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# ◆オーサー


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 ページをめくる。


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 そこには、


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 無数の文字。


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 人々の人生。


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 歴史。


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 未来。


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 すべてが記されている。


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# ◆オーサー


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◆続き


「私は創造者ではありません。」


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◆一言


「ただ。」


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◆続き


「書かれた悲劇を見てきただけです。」


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# ◆アルト


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「だから消すのか。」


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# ◆オーサー


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 静かに答える。


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「ええ。」


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「失敗する未来。」


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「誰かが傷つく未来。」


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「後悔する未来。」


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「すべてを。」


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# ◆アルト


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 首を振る。


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◆一言


「それじゃあ。」


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---


◆続き


「人間じゃなくなる。」


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# ◆オーサー


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 わずかに表情が揺れる。


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# ◆アルト


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「間違えない奴なんていない。」


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---


◆続き


「でも。」


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◆一言


「間違えた後に何をするかで変わる。」


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# ◆オーサー


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「あなたは……。」


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---


「失ったものを取り戻せると思っているのですか。」


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# ◆アルト


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 少し黙る。


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---


 そして、


---


 答える。


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◆静かに


「全部は無理だ。」


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# ◆オーサー


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 驚く。


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# ◆アルト


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「戻せないものもある。」


---


---


「消えない傷もある。」


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◆続き


「だから。」


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◆一言


「今を盗る。」


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# ◆オーサー


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「……今を?」


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# ◆アルト


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 帽子を深くかぶる。


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◆笑う


「未来を変えたいなら。」


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---


◆続き


「まず、今ここにあるものを守る。」


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# ◆オーサー


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 初めて、


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 怒りではなく、


---


 悲しそうな顔をする。


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# ◆オーサー


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◆小さく


「あなたは……。」


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「なぜ、そこまで不完全な世界を肯定できるのですか。」


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# ◆アルト


---


 静かに答える。


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◆一言


「簡単だ。」


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---


◆続き


「俺が。」


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◆核心


「その不完全な世界で生きてきたからだ。」


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# ◆異変


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 その瞬間。


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 オーサーの本が、


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 勝手にページをめくり始める。


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# ◆フットノート


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「……?」


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# ◆オーサー


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 表情が変わる。


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◆低く


「これは……。」


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# ◆本の中


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 新たな一文が浮かぶ。


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> **作者の知らない一行が追加されました。**


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# ◆全員


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「!!」


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# ◆アルト


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 笑う。


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◆一言


「どうやら。」


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◆続き


「物語は。」


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◆核心


「お前一人のものじゃないらしい。」


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# ◆ラスト


---


 作者の原稿に、


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 存在しないはずの文章が刻まれる。


---


 それを書いた者は誰なのか。


---


 そして、


---


 なぜ世界は自ら新しい未来を書き始めたのか。


---


 オーサーの完璧な物語に、


---


 初めて予測不能な一行が生まれた。


---


――続く。


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