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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第451話 「脚注のルール」

 白い空間。


---


 文字が舞い続ける。


---


 フットノートが書き加えた脚注によって、


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 世界の法則そのものが変化していた。


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# ◆フットノート


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 万年筆を回す。


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◆静かに


「世界には、表に出ない決まりがあります。」


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◆続き


「誰も気付かない。」


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「しかし、確かに存在する。」


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# ◆アルト


---


 胸の痛みをこらえながら立つ。


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◆一言


「だから脚注。」


---


# ◆フットノート


---


 頷く。


---


---


◆続き


「ええ。」


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---


「作者が物語を書く。」


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「編集者が修正する。」


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◆一言


「私は、その隙間を管理する。」


---


# ◆アルト


---


「隙間……。」


---


# ◆フットノート


---


 万年筆を動かす。


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 空中に文字が浮かぶ。


---


> **※怪盗アルトは、次の一歩を踏み出せない。**


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# ◆異変


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 アルトの足が止まる。


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 動かそうとしても、


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 身体が言うことを聞かない。


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# ◆レイン(通信)


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「アルト!」


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# ◆クロ


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『能力じゃない!』


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---


『行動そのものを禁止してる!』


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# ◆フットノート


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◆静かに


「脚注とは。」


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「物語の端にある、小さな補足。」


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◆続き


「ですが。」


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「端にあるからこそ。」


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◆一言


「本文を縛れる。」


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# ◆アルト


---


 動けない状態で、


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 周囲を見渡す。


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# ◆アルト


---


◆小さく


「面倒な能力だな。」


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# ◆フットノート


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「諦めますか?」


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# ◆アルト


---


 笑う。


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◆一言


「まさか。」


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# ◆フットノート


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「動けない。」


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「攻撃できない。」


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---


「逃げられない。」


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「それでも?」


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# ◆アルト


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 ゆっくりと手を動かす。


---


# ◆フットノート


---


「……?」


---


# ◆アルト


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 ポケットから、


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 一枚の紙を取り出す。


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# ◆フットノート


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 目を細める。


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◆一言


「予告状……。」


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# ◆アルト


---


 動かせるのは、


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 身体ではない。


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 意思だけ。


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 震える手で文字を書く。


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# ◆予告状


> **予告**

>

> どんな脚注を書かれても、

>

> 俺の物語は盗ませない。

>

> ――怪盗アルト


---


# ◆静寂


---


 その瞬間。


---


 脚注の文字が揺れる。


---


# ◆フットノート


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「……?」


---


# ◆アルト


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◆笑う


「気付かなかったか。」


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# ◆フットノート


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「何を。」


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# ◆アルト


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◆一言


「お前は。」


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◆続き


「俺の行動を書き換えた。」


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◆核心


「でも。」


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◆笑う


「俺が何を思うかまでは書けない。」


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# ◆異変


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 空中の脚注が、


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 一文字ずつ消えていく。


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# ◆オーサー


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 静かに見つめる。


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◆小さく


「やはり……。」


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# ◆フットノート


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 初めて表情を崩す。


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「意思が。」


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「脚注より強い……?」


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# ◆アルト


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 ゆっくり立ち上がる。


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◆一言


「違う。」


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◆続き


「脚注も。」


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◆核心


「物語の一部なんだ。」


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# ◆ラスト


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 フットノートは、


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 初めてアルトを敵ではなく、


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 一人の作者と同じ領域に立つ存在として見る。


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 そして、


---


 オーサーが静かに告げる。


---


# ◆オーサー


---


「ならば。」


---


---


「次は私が書きます。」


---


---


 世界を書き換える作者と、


---


 未来を盗む怪盗。


---


 最後の対決が、


---


 始まろうとしていた。


---


――続く。


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