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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第448話 「予告なき決闘」

 静寂。


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 白い空間で、


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 アルトとオーサーが向かい合う。


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 互いに武器を抜かない。


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 それでも、


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 張り詰めた空気が流れていた。


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# ◆オーサー


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◆静かに


「怪盗には予告状がある。」


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「だから人は準備ができる。」


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「逃げることも。」


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「守ることも。」


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# ◆アルト


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「それが怪盗の流儀だ。」


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# ◆オーサー


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 小さく首を振る。


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◆一言


「今日だけは違う。」


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# ◆アルト


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「……?」


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# ◆オーサー


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 白い本を閉じる。


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◆続き


「私は。」


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◆一言


「予告状を書かない。」


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# ◆静寂


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 アルトの表情が変わる。


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# ◆アルト


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◆低く


「怪盗じゃないって言った理由か。」


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# ◆オーサー


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「ええ。」


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「予告は相手に選択肢を与える。」


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「私は選択肢を残さない。」


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# ◆アルト


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 帽子のつばを押さえる。


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◆小さく


「だから編集者。」


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# ◆オーサー

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 静かにうなずく。


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# ◆瞬間


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オーサーが、


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 指を鳴らす。


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# ◆異変


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 白い空間が崩れ始める。


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 本棚。


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 時計台。


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 美術館。


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 夜の街。


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 アルトが歩いてきた場所が、


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 次々と現れては消えていく。


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# ◆オーサー


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◆静かに


「ここは世界の下書き。」


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「まだ確定していない場所です。」


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# ◆アルト


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「下書きなら。」


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◆笑う


「消しても問題ないってか。」


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# ◆オーサー


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「違います。」


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◆一言


「書き直せるのです。」


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# ◆アルト


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 短剣を抜く。


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◆続き


「俺は書き直さない。」


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◆一言


「守る。」


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# ◆初撃


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 アルトが踏み込む。


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 鋭い一閃。


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# ◆オーサー


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 避けない。


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 短剣は、


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 その体をすり抜ける。


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# ◆アルト


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「……!」


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# ◆オーサー


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◆静かに


「私はまだ。」


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◆一言


「確定していません。」


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# ◆異変


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 オーサーの姿が、


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 何人にも分裂する。


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 一人は青年。


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 一人は老人。


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 一人は少女。


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 一人は仮面だけ。


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# ◆クロ(通信)


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『アルト!』


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『全部存在反応がある!』


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# ◆アルト


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 目を細める。


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◆小さく


「どれも本物か。」


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# ◆オーサーたち


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 一斉に口を開く。


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「人は。」


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「一つの可能性だけで生きているわけではない。」


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「だから私は。」


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「一つに決めない。」


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# ◆アルト


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 ゆっくりと短剣を下ろす。


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# ◆オーサー


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「戦わないのですか?」


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# ◆アルト


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 不敵に笑う。


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◆一言


「違う。」


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◆続き


「盗む相手を決めた。」


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# ◆ラスト


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 アルトの視線は、


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 分身ではなく、


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 白い本へ向けられていた。


---


 編集者の力の源。


---


 世界を書き換える"原稿"。


---


 怪盗が狙う宝は、


---


 いつだって一つだけ。


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 アルトは静かに、


---


 その本へ向かって駆け出した。


---


――続く。


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