第446話 「選ばれなかった」
影の回廊。
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無数の扉が、
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静かに揺れていた。
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その一枚一枚に、
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アルトの"もしも"が映し出されている。
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# ◆フットノート
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◆静かに
「人は一つを選ぶたびに。」
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「無数の未来を捨てています。」
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# ◆アルト
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「当たり前だ。」
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# ◆フットノート
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ゆっくりとうなずく。
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◆続き
「ですが、その捨てられた未来にも。」
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◆一言
「確かに生きた可能性があります。」
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# ◆アルト
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最も近い扉へ近づく。
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そこには、
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幼い自分が映っていた。
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怪盗ではなく、
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家族と穏やかに暮らす少年。
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# ◆アルト
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小さく笑う。
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◆一言
「悪くない人生だ。」
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# ◆フットノート
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「では。」
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「その未来を選びますか?」
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# ◆アルト
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首を横に振る。
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◆静かに
「選ばない。」
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# ◆フットノート
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「後悔は?」
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# ◆アルト
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しばらく沈黙する。
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そして、
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静かに答えた。
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◆続き
「あるさ。」
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「もっと上手くできたことも。」
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「救えなかった人もいる。」
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◆一言
「でも。」
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# ◆フットノート
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「……。」
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# ◆アルト
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◆力強く
「後悔まで盗まれたら。」
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「俺は俺じゃなくなる。」
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# ◆静寂
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その言葉と同時に、
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一枚の扉が光を放つ。
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幼いアルトの姿が、
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ゆっくりと消えていく。
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# ◆フットノート
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目を見開く。
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◆小さく
「消えた……。」
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# ◆アルト
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「違う。」
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◆一言
「前へ進いただけだ。」
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# ◆異変
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次々と扉が光り始める。
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会社員だった未来。
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怪盗を辞めた未来。
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一人で戦い続けた未来。
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すべてが、
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静かな光となって空へ昇る。
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# ◆フットノート
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◆驚き
「そんな……。」
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「可能性を否定したのではない。」
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「受け入れたのか。」
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# ◆アルト
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歩き出す。
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◆静かに
「選ばなかった未来は。」
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「失敗じゃない。」
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◆続き
「今の俺を作った道だ。」
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◆一言
「だから盗ませねえ。」
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# ◆回廊
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一本道だった影の回廊に、
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出口が現れる。
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その先から、
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白い光が差し込んでいた。
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# ◆フットノート
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深く頭を下げる。
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◆静かに
「……失礼しました。」
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「あなたは確かに。」
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◆一言
「主が最も会いたがっている人物です。」
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# ◆ラスト
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アルトは光の中へ歩き出す。
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その先に待つのは、
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すべての事件の黒幕。
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《オーサー》。
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ついに、
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両者は対面の時を迎えようとしていた。
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――続く。




