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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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587/644

第445話 「影の回廊」

 闇。


---


 上も、


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 下も、


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 左右さえ存在しない。


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 アルトは静かに目を開けた。


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# ◆アルト


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◆小さく


「……ここが。」


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◆一言


「影の中か。」


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# ◆空間


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 足元だけが黒い床となり、


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 その先には無数の扉が並んでいた。


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 古びた木の扉。


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 鉄の扉。


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 豪華な金色の扉。


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 どれも形が違う。


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# ◆声


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「ようこそ。」


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 静かな声が響く。


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# ◆アルト


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「姿を見せろ。」


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# ◆???


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 闇の奥から、


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 一人の青年が歩いてくる。


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 黒いスーツ。


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 黒い手袋。


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 そして、


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 銀色の仮面。


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# ◆青年


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◆一礼


「初めまして。」


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◆名乗る


「私は《フットノート》。」


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◆続き


「オーサー様に仕える者です。」


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# ◆アルト


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◆笑う


「最近、名乗る奴が増えたな。」


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# ◆フットノート


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「怪盗には礼儀が必要でしょう。」


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# ◆アルト


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「お前は怪盗じゃない。」


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# ◆フットノート


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 少しだけ笑う。


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◆一言


「その通りです。」


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◆続き


「私は怪盗ではなく。」


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◆一言


「影です。」


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# ◆回廊


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 無数の扉が、


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 一斉に開き始める。


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# ◆アルト


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 中をのぞく。


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 一つ目。


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 幼い頃の自分。


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 二つ目。


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 初めて盗みに成功した夜。


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 三つ目。


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 仲間と笑い合った日々。


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# ◆アルト


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◆小さく


「記憶……。」


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# ◆フットノート


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 頷く。


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◆説明


「ここは影の回廊。」


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「人の過去。」


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「後悔。」


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「願い。」


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「すべてが保管されています。」


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# ◆アルト


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「趣味の悪い倉庫だ。」


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# ◆フットノート


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◆静かに


「ですが。」


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◆続き


「主は宝には興味がありません。」


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◆一言


「人の『可能性』を集めているのです。」


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# ◆アルト


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 眉をひそめる。


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「可能性?」


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# ◆フットノート


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 開いた扉の一つを指差す。


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 そこには、


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 怪盗にならなかった未来のアルト。


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 平凡な会社員として働く姿。


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# ◆アルト


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「……。」


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# ◆フットノート


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◆続き


「こちらは。」


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「仲間を失った未来。」


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 別の扉には、


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 一人で戦い続けるアルト。


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# ◆フットノート


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「こちらは。」


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「怪盗を辞めた未来。」


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# ◆アルト


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 静かに目を閉じる。


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# ◆フットノート


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「すべて。」


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「あなたが選ばなかった可能性です。」


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# ◆アルト


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◆笑う


「だから何だ。」


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# ◆フットノート


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◆静かに


「主は、それらすべてを守ろうとしている。」


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◆一言


「一つも失われない世界を作るために。」


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# ◆静寂


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 アルトは、


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 目の前の無数の扉を見つめる。


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 どれも、


---


 自分だったかもしれない人生。


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# ◆ラスト


---


 オーサーが盗もうとしているもの。


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 それは宝でも、


---


 人でもない。


---


---


 "選ばれなかった未来"そのものだった。


---


 アルトは初めて、


---


 敵の理想の一端を知る。


---


――続く。


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