第438話 「もう一人の継承者」
美術館・屋上。
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夜風が吹き抜ける。
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銀色の仮面を付けた男は、
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街を静かに見下ろしていた。
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# ◆アルト
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屋上へ姿を現す。
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◆小さく
「ここまで呼んだのは、お前か。」
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# ◆???
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ゆっくりと振り返る。
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◆一言
「初めまして。」
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「怪盗アルト。」
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# ◆カイザー
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アルトの隣に立つ。
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◆低く
「気を付けてください。」
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「彼からは、嫌な気配がします。」
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# ◆???
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穏やかに笑う。
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◆続き
「安心してください。」
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◆一言
「今日は戦いに来たわけではありません。」
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# ◆アルト
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「なら何をしに来た。」
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# ◆???
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懐から黒い予告状を取り出す。
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アルトの持つ始原の予告状と、
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ほぼ同じ意匠。
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だが、
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中央の紋章だけが異なる。
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# ◆???
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◆静かに
「私も継承者です。」
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◆続き
「あなたと同じように。」
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# ◆クロ
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『もう一人!?』
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# ◆セラ
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『始原の予告状が二枚あるなんて……。』
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# ◆キーパー
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屋上へ姿を現す。
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◆驚愕
「まさか……。」
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◆続き
「本当に残っていたとは。」
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# ◆???
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キーパーへ軽く頭を下げる。
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◆一言
「お久しぶりです。」
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# ◆キーパー
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◆低く
「君は……。」
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「《アーカイブ》。」
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# ◆全員
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「アーカイブ?」
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# ◆アーカイブ
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銀色の仮面を外す。
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現れたのは、
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二十代後半ほどの青年。
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落ち着いた瞳。
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どこか寂しげな笑み。
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# ◆アーカイブ
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◆静かに
「私は盗みません。」
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◆続き
「私は記録します。」
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◆一言
「歴代すべての怪盗を。」
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# ◆ノワール
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息をのむ。
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◆小さく
「怪盗の記録者……。」
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# ◆アーカイブ
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頷く。
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◆続き
「あなたたちの活躍も。」
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「失敗も。」
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「最後も。」
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◆一言
「すべて見届けてきました。」
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# ◆アルト
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目を細める。
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◆静かに
「なら答えろ。」
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「何のために。」
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# ◆アーカイブ
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少しだけ空を見上げる。
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◆続き
「怪盗という存在が。」
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◆一言
「消えようとしているからです。」
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# ◆静寂
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誰も言葉を発しない。
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# ◆アーカイブ
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「人はもう。」
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「予告状を必要としない。」
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「宝にも興味を失い始めている。」
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「怪盗は時代から忘れられようとしている。」
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# ◆アルト
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◆笑う
「それなら。」
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◆一言
「俺たちの仕事が減るだけだ。」
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# ◆アーカイブ
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首を横に振る。
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◆低く
「違います。」
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◆続き
「怪盗が消えれば。」
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◆一言
「世界から『約束』も消える。」
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# ◆ラスト
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怪盗とは、
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ただ盗む者ではない。
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予告をし、
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正面から挑み、
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最後まで責任を負う者。
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その文化そのものが、
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今、静かに消えようとしていた。
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――続く。




