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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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574/596

第432話 「消えた病室」

深夜。


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 総合病院。


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 アルトたちは少女に案内され、


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 病室へ駆け込む。


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# ◆病室


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 ベッドは乱れていない。


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 点滴も途中のまま。


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 窓には内側から鍵が掛かり、


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 扉も監視カメラも異常はなかった。


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# ◆警部


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「完全な密室……。」


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# ◆クロ


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『監視映像を解析中!』


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◆続き


『午前一時十三分までは異常なし!』


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『その次のフレームでは……。』


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# ◆セラ


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『患者さんが消えてる……。』


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# ◆レイン


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「映像の改竄か?」


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# ◆クロ


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 首を横に振る。


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◆続き


『改竄の痕跡はない。』


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◆一言


『映像そのものが正常なんだ。』


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# ◆アルト


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 病室をゆっくり歩く。


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 机。


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 椅子。


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 窓。


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 床。


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 そして、


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 ベッドの横で足を止める。


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# ◆アルト


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◆小さく


「……あるな。」


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# ◆警部


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「何がだ?」


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# ◆アルト


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 床を指差す。


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 誰も気付かなかった、


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 ごく小さな擦り傷。


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# ◆レイン


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「ベッドを動かした跡?」


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# ◆アルト


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 静かに頷く。


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◆続き


「しかも一度だけじゃない。」


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# ◆ノワール


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 しゃがみ込み、


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 傷を指でなぞる。


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◆小さく


「ベッドごと運び出した……?」


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# ◆アルト


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「いや。」


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◆一言


「運び込んだ跡だ。」


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# ◆全員


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「!?」


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# ◆アルト


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◆続き


「最初から誰も連れ去ってない。」


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◆静かに


「ここにいたはずの患者が。」


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◆一言


「最初から別人だった。」


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# ◆少女


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「え……?」


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# ◆警部


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「どういう意味だ?」


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# ◆アルト


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 少女の手にある写真を見る。


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◆続き


「この写真。」


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◆一言


「いつ撮った?」


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# ◆少女


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「昨日……。」


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「病室で……。」


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# ◆アルト


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 写真を見つめる。


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◆小さく


「そうか。」


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◆続き


「なら答えは簡単だ。」


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# ◆レイン


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「分かったのか!」


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# ◆アルト


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 病室の窓へ歩く。


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◆静かに


「犯人は。」


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◆続き


「人を盗んだんじゃない。」


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◆一言


「"入れ替えた"。」


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# ◆静寂


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 全員が息をのむ。


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# ◆クロ


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『病院の入退室記録を確認!』


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『患者搬送の履歴が一件ある!』


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# ◆セラ


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『搬送先は……』


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『記録が消されてる!』


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# ◆ノワール


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 目を閉じる。


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◆小さく


「これが第二の試練……。」


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◆続き


「守るべきものは、宝ではない。」


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◆一言


「人そのもの。」


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# ◆ラスト


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 アルトは病室を後にする。


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 その目には、


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 怪盗ではなく、


---


 一人の救出者としての決意が宿っていた。


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 そして遠く離れた場所では、


---


 少女の母親が静かに目を覚ます。


---


---


 薄暗い部屋。


---


 目の前には、


---


 一枚の黒い予告状だけが置かれていた。


---


> **迎えに来られるか。**


---


――続く。


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