第422話 「怪盗の矜持」
市立美術館。
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黄金の王冠。
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二枚の予告状。
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そして、
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二人の怪盗。
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# ◆警部
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「カウント開始!」
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「三!」
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「二!」
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「一!」
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「始め!」
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# ◆瞬間
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アルトとカイザーが、
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同時に駆け出す。
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# ◆警備システム
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赤外線レーザーが、
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展示室を埋め尽くす。
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天井から防犯シャッターが降下する。
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床には感圧センサー。
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一歩でも踏み間違えれば、
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館内全体が封鎖される。
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# ◆クロ
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『この警備を突破するの!?』
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# ◆セラ
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『普通なら無理だよ!』
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# ◆アルト
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壁を蹴り、
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レーザーの隙間を滑るように駆け抜ける。
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◆笑う
「悪くない。」
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# ◆カイザー
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一方で、
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歩くような速度で前へ進む。
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しかし、
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レーザーは一本も反応しない。
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# ◆レイン
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「避けてない……?」
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# ◆黄昏
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◆解析
『違います。』
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◆続き
『警備装置の作動タイミングを完全に読んでいます。』
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# ◆アルト
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ちらりとカイザーを見る。
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◆小さく
「やるな。」
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# ◆カイザー
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微笑む。
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◆続き
「ありがとうございます。」
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◆一言
「ですが、まだです。」
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# ◆突然
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展示ケースの上から、
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一筋のワイヤーが降りる。
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第三の影。
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# ◆???
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黒いフードを被った人物が、
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一瞬で王冠へ手を伸ばす。
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# ◆警部
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「第三の侵入者だ!」
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# ◆クロ
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『えぇぇ!?』
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# ◆セラ
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『聞いてないよ!!』
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# ◆アルト
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目を細める。
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◆小さく
「……そういうことか。」
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# ◆カイザー
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静かに笑う。
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◆一言
「試験は、ここからです。」
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# ◆アルト
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「お前が呼んだな?」
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# ◆カイザー
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◆頷く
「ええ。」
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◆続き
「王冠は餌。」
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◆一言
「本命は彼です。」
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# ◆レイン
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「どういう意味だ……?」
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# ◆カイザー
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第三の怪盗を見据える。
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◆静かに
「彼は最近――」
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◆続き
「盗んだ宝を闇市場へ流し、人命さえ売り渡している。」
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◆一言
「怪盗の名を利用する犯罪者です。」
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# ◆アルト
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表情から笑みが消える。
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◆小さく
「……なるほどな。」
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# ◆カイザー
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「私は王冠を盗みに来たのではありません。」
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◆続き
「彼を表舞台へ引きずり出すために、この舞台を用意しました。」
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# ◆アルト
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帽子を深く被る。
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◆笑う
「最初からそう言え。」
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# ◆カイザー
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苦笑する。
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◆一言
「あなたが来るか、確信が持てませんでしたので。」
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# ◆ラスト
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黄金の王冠を狙う者は三人。
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しかし、本当の標的は一人。
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伝説の怪盗と怪盗王は、
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初めて同じ敵へと視線を向ける。
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――続く。




