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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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445/459

第304話 「触れられない存在」


 “空白”。


---


 そう名乗った存在が、


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 ゆっくりとこちらへ歩いてくる。


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---


# ◆セラ


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「……止まって」


---


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 無意識に、


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 手を伸ばす。


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# ◆発動


---


 “書き換え”。


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 いつも通り、


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 観測の線を掴む。


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# ◆だが


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 ――掴めない。


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# ◆違和感


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 何もない。


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 あるはずの“線”が、


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 存在しない。


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# ◆セラ


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「……え……?」


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# ◆再試行


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 もう一度。


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 集中する。


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 外側を見る。


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---


 流れを探す。


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# ◆結果


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 “ゼロ”。


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# ◆理解


---


 この存在には、


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 最初から“物語”がない。


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# ◆空白


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「言っただろ」


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◆静かに

「何もないって」


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---


# ◆セラ


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「……そんなの……」


---


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◆震え

「どうやって……」


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# ◆少年(観測者)


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 一歩前に出る。


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◆警戒

「……関わるな」


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◆一言

「これは異常だ」


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# ◆空白


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 少年を見る。


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◆興味

「観測者か」


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◆一言

「でも、見えないでしょ?」


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# ◆少年


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 歯を食いしばる。


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◆事実

「……観測できない……」


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# ◆核心


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 観測者ですら、


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 認識できない存在。


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# ◆セラ


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「……じゃあ……」


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◆絶望

「どうすればいいの……」


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# ◆空白


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 近づく。


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 距離が、


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 ゼロになる。


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# ◆セラ


---


 動けない。


---


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# ◆空白


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 そっと、


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 セラの胸に手を当てる。


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# ◆一言


---


「これ、いいね」


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# ◆異変


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 その瞬間。


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◆喪失


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 “何か”が、


---


 抜け落ちる。


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# ◆セラ


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「……っ……!?」


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# ◆感覚


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 軽い。


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 でも、


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 怖い。


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# ◆理解


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 “選択の重み”が、


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 消えている。


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# ◆少年


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「やめろ!!」


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# ◆介入


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 掴もうとする。


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# ◆だが


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 すり抜ける。


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# ◆空白


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「安心して」


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◆笑う

「全部消すわけじゃない」


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◆一言

「ちょっと借りるだけ」


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# ◆離れる


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 手を離す。


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# ◆セラ


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 その場に、


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 崩れる。


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◆小さく

「……なに……今の……」


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# ◆異常


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 何かが、


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 足りない。


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 でも、


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 何がなくなったか分からない。


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# ◆空白


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 振り返る。


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◆一言

「また来るよ」


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◆続き

「面白いから」


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# ◆消失


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 その存在が、


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 “薄れていく”。


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 消えるのではない。


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 最初からいなかったように、


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 認識から外れる。


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# ◆沈黙


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 残されたのは、


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 重い空気。


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# ◆少年


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「……最悪だ……」


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◆一言

「“奪う”でも“消す”でもない……」


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# ◆核心


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「“意味を抜く存在”だ」


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# ◆セラ


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 ゆっくりと顔を上げる。


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◆違和感

「……私……」


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◆一言

「何を……失ったの……?」


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# ◆ラスト


---


 答えは、


---


 まだ分からない。


---


---


# ◆最後の一文


---


 新たな敵は、


---


 “奪うことすらしない”。


---


---


 ただ、


---


 “存在の意味”を削る。


---


---


――続く。


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