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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第303話 「空白の主役」



 数日後。


---


 世界は、何もなかったように動いていた。


---


 人は笑い、


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 物語は進み、


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 誰も“あの出来事”を知らない。


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# ◆セラ


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 いつもの道を歩く。


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◆小さく

「……平和だね」


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# ◆少年(観測者)


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「まあな」


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◆続き

「観測が解放されたからな」


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# ◆意味


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 もう、


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 外からの強制はない。


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 すべては、


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 内側で決まる。


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# ◆セラ


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 少しだけ、


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 安心したように笑う。


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# ◆だが


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 その時。


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◆違和感


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 足が止まる。


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# ◆セラ


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「……あれ?」


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# ◆視線


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 前を歩く人。


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 普通の学生。


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 普通の会話。


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 普通の風景。


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# ◆だが


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 “何かが足りない”。


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# ◆セラ


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「……この人……」


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◆小さく

「物語が……ない……?」


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# ◆異常


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 感じる。


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 “主役の流れ”が存在しない。


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# ◆少年


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 表情が変わる。


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◆低く

「……おい、それ……」


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# ◆確信


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 これは、


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 “奪われた”のとは違う。


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# ◆定義


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 “最初から存在しない”。


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# ◆セラ


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「……そんなの……あり?」


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# ◆少年


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「……普通は、ない」


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◆一言

「物語がない存在なんて」


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# ◆その瞬間


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 その人物が、


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 ゆっくり振り向く。


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# ◆目


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 空っぽ。


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 何も映していない。


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# ◆一言


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「……ああ」


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◆静かに

「やっと見つけた」


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# ◆セラ


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「……え……?」


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# ◆核心


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「“観測されない主役”」


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# ◆衝撃


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 空気が、


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 一瞬で変わる。


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# ◆少年


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「……なんだそれ……」


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# ◆存在


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 その人物は、


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 笑う。


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◆一言

「誰にも書かれない」


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◆続き

「誰にも奪われない」


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◆核心

「完全な自由」


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# ◆違和感


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 違う。


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 これは自由じゃない。


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 “孤立”。


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# ◆セラ


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「……あなた……何者……?」


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# ◆答え


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 その存在は、


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 一歩、近づく。


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◆一言


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「――空白」


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# ◆ラスト


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 物語の外側でもない。


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 内側でもない。


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---


 “どこにも属さない存在”。


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# ◆最後の一文


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 新たな敵は、


---


 “物語そのものを持たない”。


---


---


 そしてそれは――


---


 最も対処が難しい。


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---


――続く。


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