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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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446/463

第305話 「失われたもの」


 夜。


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 静まり返った部屋。


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 窓の外では、


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 街の灯りが淡く揺れている。


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# ◆セラ


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 ベッドの端に座ったまま、


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 動かない。


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◆違和感


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 何かが、おかしい。


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 ずっと、


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 引っかかっている。


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# ◆少年(観測者)


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「……大丈夫か」


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 少し距離を置いて、


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 様子を見る。


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# ◆セラ


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「……うん」


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◆小さく

「平気……」


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 そう言いながら、


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 胸を押さえる。


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# ◆異常


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 痛みはない。


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 でも、


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 “空洞”がある。


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# ◆沈黙


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 数秒。


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 そして――


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# ◆セラ


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「……ねえ」


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◆一言

「私ってさ」


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◆続き

「なんで戦ってるんだっけ」


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# ◆少年


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 固まる。


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# ◆理解


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 それは、


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 “ありえない問い”。


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# ◆少年


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「……は……?」


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# ◆セラ


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「なんか……」


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◆困惑

「理由が……思い出せない……」


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# ◆衝撃


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 空白が、


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 “奪ったもの”。


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# ◆少年


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「……まさか……」


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◆一言

「それか……」


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# ◆核心


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 “動機”。


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 “願い”。


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 “選び続ける理由”。


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# ◆セラ


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「……私……」


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◆震え

「何を取り戻したかったんだっけ……」


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# ◆崩れ


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 感情が、


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 薄い。


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 怒りも、


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 悔しさも、


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 曖昧になる。


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# ◆少年


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 歯を食いしばる。


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◆一言

「最悪だ……」


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# ◆説明


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「“空白”は……」


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◆続き

「お前の“核”を抜いた」


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# ◆セラ


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「……核……?」


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# ◆少年


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「そうだ」


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◆一言

「お前が“選ぶ理由”そのものだ」


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# ◆沈黙


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 重い。


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 致命的すぎる。


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# ◆セラ


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「……じゃあ……」


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◆一言

「もう……私……」


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◆続き

「選べないの……?」


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# ◆答え


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 言えない。


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 否定できない。


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# ◆その時


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 ドアが、


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 静かに開く。


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# ◆アルト


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 何事もなかったように、


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 入ってくる。


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◆一言

「なるほどな」


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# ◆少年


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「……お前……気づいてたのか」


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# ◆アルト


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「まあな」


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◆淡々

「見りゃ分かる」


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# ◆セラ


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 顔を上げる。


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◆小さく

「……どうすればいいの……」


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# ◆アルト


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 一瞬だけ考えて、


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◆一言

「簡単だ」


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# ◆間


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 短い沈黙。


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# ◆答え


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「もう一回、作れ」


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# ◆セラ


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「……え……?」


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# ◆アルト


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「理由なんて」


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◆続き

「最初からあるもんじゃねえ」


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◆一言

「選んで作るもんだ」


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# ◆核心


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 失ったなら、


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 作り直せばいい。


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# ◆セラ


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 目を見開く。


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# ◆アルト


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「奪われた?」


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◆鼻で笑う

「関係ねえよ」


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◆一言

「今、何を選ぶかだろ」


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# ◆沈黙


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 その言葉が、


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 深く刺さる。


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# ◆セラ


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 ゆっくりと、


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 拳を握る。


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◆小さく

「……じゃあ……」


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◆一言

「今、決める」


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# ◆再定義


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 弱くてもいい。


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 曖昧でもいい。


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 それでも――


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# ◆セラ


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「……あいつを止めたい」


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◆続き

「理由は……それでいい」


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# ◆アルト


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 少しだけ、


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 笑う。


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◆一言

「それでいい」


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# ◆ラスト


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 失ったものは戻らない。


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---


 でも、


---


 選び直すことはできる。


---


---


# ◆最後の一文


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 少女は再び、


---


 “自分の物語”を選び始めた。


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---


――続く。


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