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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第292話 「奪われた日常」

静かすぎる朝だった。


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 鳥の声。


 風の音。


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 すべてが、


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 “綺麗すぎる”。


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◆セラ


「……おかしい」


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◆違和感


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 何も起きない。


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 トラブルも、


 偶然も、


 出会いも。


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◆一言


「物語が……進んでない……」


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# ◆少年


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 隣で、


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 あの少年が壁にもたれている。


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◆少年


「だから言っただろ」


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◆冷静に


「主役がいないと、何も始まらない」


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# ◆セラ


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「……どういうこと?」


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# ◆説明


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◆少年


「本来なら、お前に何か起きる」


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◆続き


「事件、出会い、選択」


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◆断言


「全部、“主役に引き寄せられる”」


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# ◆核心


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「でも今は――」


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◆一言


「全部、どっかに奪われてる」


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# ◆証明


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 その瞬間。


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◆遠く


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 “爆音”。


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◆セラ


「……え?」


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# ◆本来の展開


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 振り向く。


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 煙が上がっている。


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◆場所


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 学校。


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◆セラ


「なにあれ!?」


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# ◆だが


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 体が、


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 動かない。


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◆異常


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 行こうとする意思が、


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 弱い。


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 関係がない。


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 巻き込まれない。


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# ◆現実


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 主役じゃない者には、


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 物語は寄ってこない。


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◆セラ


「……なんで……!」


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# ◆少年


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「簡単だ」


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◆一言


「お前、“関係ないキャラ”になってる」


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# ◆絶望


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 事件は起きている。


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 だが関われない。


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 見ているだけ。


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# ◆セラ


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「……そんなの……嫌だ……」


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# ◆決意


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 拳を握る。


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◆叫び


「私は――」


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◆一言


「主役に戻る!!」


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# ◆変化


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 その瞬間、


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 わずかに空気が揺れる。


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# ◆少年


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「……ほう」


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◆興味


「意志はあるか」


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# ◆条件


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◆少年


「じゃあ証明してみろ」


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◆指差す


 燃えている校舎。


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# ◆試練


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「そこに行け」


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# ◆セラ


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 一瞬迷う。


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 怖い。


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 危険。


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 でも――


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◆一歩


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 踏み出す。


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# ◆成立


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 その瞬間。


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◆変化


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 風が変わる。


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 視線が集まる。


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 世界が、


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 わずかにセラを“見る”。


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# ◆少年


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「……来たな」


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# ◆核心


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 主役とは、


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 与えられるものではない。


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 “奪い返すもの”。


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# ◆突入


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 セラが、


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 炎の中へ飛び込む。


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# ◆内部


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 崩れた廊下。


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 倒れた机。


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 そして――


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◆人影


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 誰かが、


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 立っている。


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# ◆異質


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 黒いコート。


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 見覚えのあるシルエット。


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# ◆セラ


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「……え……?」


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# ◆正体


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 その人物が、


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 ゆっくり振り向く。


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◆笑み


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「遅いよ、“元主役”」


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# ◆ラスト


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 その目は、


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 どこか歪んでいる。


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◆最後の一文


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 本物を真似た“偽物”が、


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 主役を盗み続けている。


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---


――続く。


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