第268話「終わりを終わらせる」
触れた。
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“絶対の終わり”に。
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◆静止
音が消える。
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光が止まる。
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時間が――
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“終わる”。
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◆無
何もない。
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空間も、
存在も、
意味も。
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◆アルト
その中で、
ただ一人、立っている。
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「……ここが、“終わり”か」
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◆声
「いいや、違う」
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◆振り向く
そこにいたのは――
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“終端観測者”。
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だが、
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先ほどとは違う。
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より曖昧で、
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より本質に近い姿。
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◆終端観測者
「ここは、“すべての終わりの集合”だ」
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◆空間
周囲に、
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無数の終わりが浮かぶ。
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人の終わり。
世界の終わり。
物語の終わり。
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◆アルト
「……全部まとめて保管してるってか」
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◆終端観測者
「そうだ」
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◆核心
「終わりは、管理されなければならない」
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◆理由
「無秩序に終われば――」
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一拍。
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「世界は成立しない」
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◆アルト
少しだけ笑う。
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「逆だろ」
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◆否定
「決められてる方が、つまらねえ」
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◆終端観測者
「……理解できないな」
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◆宣告
「ならば、お前はここで終わる」
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◆発動
無数の“終わり”が、
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アルトへ向かって収束する。
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◆包囲
逃げ場はない。
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◆アルト
だが、動かない。
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「なあ」
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一歩、前に出る。
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「これ全部、“決まってる終わり”なんだろ?」
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◆終端観測者
「そうだ」
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◆アルト
「じゃあさ」
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◆核心
「“終わり方”を変えればいい」
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◆理解不能
「……何?」
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# ◆再定義
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アルトが、手をかざす。
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◆宣言
「終わりってのは――」
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◆定義
「“そこで終わる”ことじゃない」
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◆続き
「“次に進めないこと”だ」
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◆変化
周囲の“終わり”が揺れる。
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◆さらに
「だったら――」
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◆核心
「進める限り、終わりじゃねえ」
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# ◆破壊
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無数の終わりが、
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崩れ始める。
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◆終端観測者
「……やめろ……」
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◆否定
「終わりは固定されている!」
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◆アルト
「されてねえよ」
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◆一歩
踏み出す。
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「今、変わってる」
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# ◆外側
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その瞬間――
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現実世界。
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◆ファントム
「……っ!」
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アルトの身体が、
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光を放つ。
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◆異常
周囲の“終わり”が、
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崩れ始める。
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◆依頼人
「な、何が……!」
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◆ファントム
「……やってるわね」
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◆理解
「“終わりの定義”を書き換えてる」
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# ◆内側
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終端観測者が、
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初めて後退する。
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「……やめろ」
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◆恐怖
「それは、“終わりの否定”だ」
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◆アルト
「違うな」
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◆笑み
「“終わりの自由化”だ」
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# ◆核心
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「終わりは――」
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◆最終定義
「“選べるもの”だ」
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# ◆確定
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その瞬間。
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すべての“終わり”が、
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形を変える。
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固定された結末から、
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“分岐する可能性”へ。
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# ◆崩壊
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終端観測者の身体が、
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崩れ始める。
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「……管理……不能……」
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◆アルト
「悪いな」
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◆最後
「もう盗んだ」
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# ◆帰還
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光が弾ける。
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アルトの意識が、
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現実へ戻る。
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◆外側
目を開ける。
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◆ファントム
「……おかえり」
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◆アルト
「ただいま」
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◆結果
空間にあった“終わり”が、
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すべて消えている。
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◆新世界
代わりに、
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“選択できる終わり”が存在している。
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◆依頼人
「……これで……」
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◆問い
「終われるんですか……?」
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◆アルト
少しだけ考える。
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◆答え
「選べ」
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◆ファントム
「あなたが決めるの」
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# ◆ラスト
男が、静かに目を閉じる。
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そして――
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ゆっくりと、笑った。
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「……終わります」
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その瞬間、
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彼の身体が、
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静かに光に溶けていく。
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◆余韻
風が、吹く。
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◆アルト
「……終わったな」
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◆ファントム
「ええ」
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一拍。
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「でも――」
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「これ、広がるわよ」
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◆理解
“終わりが選べる世界”。
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それは――
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新たな混乱の始まりでもある。
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そして、
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どこか遠くで――
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“終わりを拒む者”が、
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再び目を覚ます。
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