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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第267話「選ばないという選択」

 無数の“終わり”。


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 空間に浮かぶ、それぞれの結末。


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 触れれば、そこに収束する。


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 逃げ場はない。


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◆終端観測者


「選べ」


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 冷たい声。


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「それがお前たちの“限界”だ」


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◆アルト


 少しだけ首を鳴らす。


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「……なるほどな」


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◆理解


「“選ばせる”ことで、自由を奪うってわけか」


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◆ファントム


「どれを選んでも終わる」


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 一拍。


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「完全な詰み構造ね」


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◆依頼人


「そんな……」


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◆沈黙


 普通なら、


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 ここで終わる。


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 どれかを選ぶしかない。


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◆だが


 アルトは、


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 笑った。


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◆アルト


「誰が選ぶって言った?」


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◆終端観測者


「……何?」


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◆核心


「選ばなきゃいいだろ」


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◆ファントム


 一瞬、目を見開く。


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「……まさか」


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◆アルト


「これ、“全部確定してる終わり”なんだろ?」


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◆終端観測者


「そうだ」


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◆アルト


「じゃあ――」


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◆宣言


「“確定してること”自体を盗む」


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◆理解


 ファントムの思考が一気に繋がる。


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「……“未確定に戻す”」


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◆アルト


「そういうこと」


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# ◆強奪開始


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 アルトが、一歩踏み出す。


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 最も近い“終わり”に手を伸ばす。


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◆接触


 触れた瞬間、


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 未来が流れ込む。


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 敗北。


 消滅。


 静かな終わり。


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◆だが


 アルトは、それを掴む。


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◆強奪


「これは――」


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◆宣言


「まだ決まってねえ」


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◆変化


 “終わり”が、揺らぐ。


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◆崩壊


 一つの結末が、


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 未確定へと戻る。


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◆終端観測者


「……何をした」


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◆アルト


「見りゃ分かるだろ」


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◆笑み


「盗んだ」


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# ◆連鎖


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 アルトが次々と、


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 “終わり”に触れていく。


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 掴む。


 引き剥がす。


 壊す。


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◆現象


 確定していた未来が、


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 次々と“未定義”へと崩れていく。


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◆空間


 “終わり”が減っていく。


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◆ファントム


「アルト、負荷が……!」


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◆リスク


 未来を直接触る行為。


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 その代償は大きい。


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◆アルト


「分かってる」


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 だが、止まらない。


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◆理由


「怪盗だからな」


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◆核心


「価値あるもんは――」


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◆宣言


「全部いただく」


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# ◆終端観測者の動揺


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 初めて、


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 その表情が揺らぐ。


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「……ありえない」


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◆否定


「“終わり”は確定された概念だ」


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◆アルト


「だから盗めるんだろ」


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◆皮肉


「決まってる方が、分かりやすい」


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# ◆残り一つ


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 最後の“終わり”が残る。


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◆それは


 他とは違う。


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 静かで、


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 強く、


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 動かない。


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◆ファントム


「……あれは」


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◆理解


「“絶対の終わり”」


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◆終端観測者


「それだけは、触れるな」


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 初めての“警告”。


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◆アルト


 笑う。


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「一番価値ありそうじゃねえか」


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◆踏み込み


 手を伸ばす。


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◆瞬間


 空間が、凍る。


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◆終端観測者


「やめろ!!」


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 “絶対の終わり”。


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 それは、


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 すべてを終わらせる終わり。


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 もし奪えば――


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 世界そのものが、


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 終わる可能性がある。


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◆ラスト


 アルトの手が、


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 その“終わり”に触れる。


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 世界が、


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 静かに――


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 止まった。


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