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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
光の国へ編
199/200

197 夢見がち

それはさておき。



「イーリン・ラ・ストラトラス。」

「ハイ!・・・あ。イヤァァァーー!!フルネームまでぇぇー!!もう終わりだわーー!!」



ええぇぇー。

泣き出したし。

名前呼んだだけなのに大袈裟な・・・。

そう言えば、名前がバレなきゃ大丈夫とか言ってたな。

バレたら悪さが出来ないとかか? いやまさか服従するのか?



「名前がバレたらどうなるんだ?」

「ひゃっ!?いやー、えっとー、それはー、どうだったかなー?あれー?ど忘れしちゃったかなー?・・・あれー?」

「そうかー、ど忘れしちゃったかー。それは仕方無いねー。」

「そうでしょー?ねー?」

「で、どうなんだ?イーリン、答えてくれよ。」

「ハイ!名前がバレたら夢淫魔は解放されるまで逆らえなくなります!あ・・・。」

「隷属契約みたいなものかな?」

「うぅ・・・ハイそうです。種族特性で夢魔の真名は魂と直結していて、真名を握られると隷属してしまうのです・・・。」

「そんな種族があるのか・・・。ところで何で突然敬語になったんだ?」

「魂に刻まれた上下関係が無意識にそうさせるのです。」

「あー、そうなんだ。とりあえず、さっきみたいな話し方でいいよ。話しにくそうだし。質問なんだけど、何で俺の夢に出てきたの?」

「久しぶりにいい匂いがしたから!」

「いい匂い?」

「うふふっ!」



不意にいたずらっ子のような笑みを浮かべたイーリンが首に巻き付くように抱きついてきた。



「アナタの精気、すごいいい匂いするの!」



そう言ったイーリンが俺の首に顔を近づけて鼻をスンスンとさせて、顔を蕩けさせる。



「はぁぁ、やっぱりいいー!ねぇねぇちょうだい!ちょっとでいいからさぁ。」

「いや精気が何か分からないけど、干からびるのは勘弁だよ。ここ数ヶ月間の突然死事件の犯人ってイーリンだろ?」

「え?突然死?何それ?ワタシそんなに吸ってないよ!?ワタシは夢の中でその人の見たい夢を見せて漏れ出した精気を吸ってるの。この前なんか女の子に鞭で叩かれたいっていうムキムキ男がいたわよ。アレは流石のワタシでもちょっと引いちゃったかなぁ。あとはー、小さい女の子に・・・」

「いやもういいから。」

「そう?」



見知らぬ男どもの性癖暴露とか聞きたくない。

精気というのが何かがよく分からないが、生命力とか体内魔力とかそんな類のものだろう。

イーリンのやり方は夢で精気を活性化させて、漏れ出した余剰分を貰っているというスタンスのようだ。

イーリンは俺に嘘はつけないから本当の話だろう。

なら他に突然死を起こしているヤツがいるって事だ。

犯人探しは兵士たちに任せるとして、イーリンが犯人でなくてよかった。

既に俺の庇護下にある女の子を捕まえたくは無いしな。



くりっとした瞳で小首をかしげてよく分かっていない風のイーリンを眺めているとそう思ってしまった。



「ねぇねぇ本当にちょっとだけだからさぁ。ちょっとだけアナタのちょうだい?」



うむ。普通にかわいい。

かわいいは正義だよね。



「ちょっとだけだぞ。」

「やったー!じゃあいただきまーす!」

「いや何する気だよ!」

「うふふふっ!ちゅー!」



首に抱きついていたイーリンが首に顔をうずめてくる。

首筋にキスをされている。

というか、吸われている。



「ぷふぁぁっ、ああぁぁぁああんんんん!!」

「いや何でぇ!?」



体から少し力が抜けた感覚があった後、イーリンが喘ぎ声をあげだした。



「すごいぃぃぃぃーー!!美味しいーーー!!」



美味しかったらしい。

紛らわしいな。



「コレよコレ!さっきのはアレはアレで良かったけど、コレに勝るものは無いわぁ!さっきは全然漏れ出して無かったし。ハァァ、イイ!」



もうなんかこのテンションについていくのがどっと疲れた。

精気が美味しいって言われても意味分かんないし。



「ハァハァ、美味し過ぎて結構吸っちゃったのにまだまだ全然平気そうだし、アナタ最高ね!」

「おいっ!ちょっとじゃ無かったのかよっ!」

「テヘッ。だって全然漏れ出して無いんだもの。勢い良く吸ったら沢山取れちゃっただけだから、事故よ事故。ごめんなさい。でもまたちょうだいね!」



こいつ味をしめやがったな。



「お詫びにイイコトしてあげるから許してね!」



まあ、悪い子では無いから考えなくも無いかな。うん。

この子も生きる為にやってるんだろうし、協力するのは悪いことではないよな。

うん。



「うふふふっ。ご主人サマ!うふふふっ。」

「どうしたんだ突然?」

「だってワタシご主人サマには逆らえないし、ご主人サマの精気無しじゃもう生きていけないし、ご主人サマの精気美味しいし、ご主人サマの奴隷だし、ご主人サマのオモチャにされたいし、ご主人サマの気持ち良かったし、そもそもご主人サマの隷属だし!もう離れないもんねー!」

「離れないって付いてくるのか?」

「うん!あ、ちゃんと実体もあるから現実でもイイコト出来るわよ!」



それはラッキー、いやいや俺には心に決めた人が居るんだ!

ま、惑わされないぞ!



「うふふふっ、なんかいつもより敏感になってる気がするわ。ご主人サマの精気を吸ったからかしら?うふふふっ!」

「敏感って・・・。(どこがだろう?)」

「確かめてみる?うふふふっ!」

「お、おおぅ。」



アホのくせにドキッとさせられてしまった。

ここはどちらが上かハッキリさせておかないとな。

まあ、ここは夢だし。

夢の中では、夢見ることなら誰にも負けない俺は無敵なのだ。




【夢見がち】

夢見ることに関しては誰にも負けない。

重度中二病患者。(プククッ)

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