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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
光の国へ編
196/200

194 王子との会談

王子が滞在している部屋に移動した。

部屋の中では変身は解いている。

変身するには少ないが魔力消費が必要なようで1日か2日が限界だそうだ。

それだけ変身できたら十分だと思う。

調べまわしたい衝動に駆られるがグッと我慢する。

流石に国宝を弄らせてくれとは言えない。



変身中は茶色い髪と茶色の瞳で悪戯っ子のような表情の軟派な雰囲気だったが、変身を解いた王子は透き通った金髪と青い瞳が幼さの中にも気品と凛々しさを感じさせる顔立ちをしている。

護衛のビクトールも茶色い髪色をしているので変身中は"兄妹"に見えなくもない。

ビクトールはお世辞にも男には見えない。

護衛として動きやすい服装をしており、騎士鎧は着ていないが革製の鎧を身に纏っている為、服装では性別が分かり難い。

しかも手足も細く、背もライナス王子よりも低いため女と言われてもまったく違和感がない。

ぬいぐるみとか作っていそうで、イチと比べても遜色ない美少女だ。

本人は気にしているらしいが、鑑定で見てしまったスキル構成がかなり家庭的で趣味嗜好も女よりなのではと思ってしまった。

言われ過ぎて寄ってしまったのかな?



「ほう。ミリア嬢も無事でよかったじゃないか。」

「ええ。ソーマさんに出会わせてくれて今では感謝しているくらいですわ。まあ今後会うことがあったら叩き潰して差し上げますけれどね。」

「ミリア嬢も言うようになったのだな。男嫌いだっただろうに。」

「ソーマさんだけですわ。本当にかっこよかったのですわ。あの時など・・・」



いつの間にかミリアとの出会いの話をしていたらしい。

色々と脚色され、美化されている気がするが、ミリアが楽しそうだからまあいいや。

口を出すととばっちりが飛んできて恥ずかしい思いをすることになるからな。

右から左へ受け流すのがいい。



「・・・ですわよね。ソーマさん。」

「え?ああ、そうだね。」

「っほ、本当ですの!?ミリアは幸せ者ですわ!」ダキッ

「あれ?」


「あのミリア嬢が・・・。変われば変わるものだな。しかし、土蜘蛛を一撃か。相当な実力だな。」

「ええ。土蜘蛛はレベル20程度ですが、地中を移動して来ますから騎士でも複数人でかからないと逆にやられてしまいます。」

「うむ・・・。」

「あ、途中で大きな鰐も一撃でしたわよ!」

「大きな鰐?」

「まさかブルアリゲーターですか!?最近討伐の報告が入っていましたけど貴方だったのですか!?」

「いや、あれは・・・「そうですわ。」・・・ミーリーアー。」

「もう話してしまいましたもの。仕方ないですわ。」



開き直りやがった。

後でお仕置きだな。



「ブルアリゲーターはレベル30を超える騎士団一個中隊で討伐するような魔物ですよ。」

「レベル30ならそこまでの規模は必要ないだろう?」

「いえ。レベルだけ見ればそうなのですが、ブルアリゲーターは水棲生物ですから。」

「ああ。水中に逃げられたら手が出せんな。」

「はい。確実に仕留める為に一個中隊規模が動員されるのです。それを一個人で討伐してしまうとは、ソーマ殿は高ランクの冒険者であられるのですね。」

「しかも一撃という事だったな。光玉騎士団でも同じことができる者がどれだけの数いることやら。」

「たまたまですよ。たまたま発動した魔法が上手く当たっただけですよ。俺なんて大したことないで「ソーマさんはすごいですわ!」・・・いやもう分かったからミリアは黙っててくれよ。」

「ソーマ殿は愛されておるな。はっはっは。」

「殿下ったら・・・///」



もう俺からは何も言うまい。

これ以上悪化のしようがないくらいに場の空気がカオスだ。

このカオスを感じているのが俺だけというのがどうかしている。

誰かツッコミしてくれー。



「城の侍女たちから噂を聞いたのだがな、何でもここ数ヶ月の間で町で変死体が見つかっているそうだ。」

「ええっ?変死体ですの?」



俺が現実逃避をしている間に話が変わっていたらしい。

最近俺の【高速思考】スキルが役に立っていない気がする。

仕事しろー!



「若い男が中心なのだが、前日までぴんぴんしていたのに翌日になると突然部屋で倒れているのが見つかるらしい。目立った外傷もなく死因がよく分からないそうだ。しかも不思議なことに皆揃って幸せそうな顔をしているらしい。」

「それは奇怪ですわね。頻繁に起きているのですか?衛兵は動いているのですか?」

「もちろん捜査は行われているらしいが、目撃証言も無く、何者かに襲われたような痕跡もないとあってはお手上げのようだな。頻繁に起きている事件という訳でもないしな。前に起きたのはいつと言っていたかな・・・?」

「3週間ほど前と給仕の方はおっしゃってましたね。」

「おお、そうだそうだ。周期的にはそろそろ起きてもおかしくないと私は睨んでおるのだがな。」

「殿下、そのようなことを仰るのは不謹慎ですわよ。」

「そうですよ殿下。どこに耳があるか分からないのですから発言には気をつけてください。」

「むむむ。ビクトールが増えてしまった。こんな気楽な話ができる者は少ないのだ。少しくらい良いではないか。」

「ダメです。そもそも殿下は・・・・・・・・・・」

「ぐぬぬ。」



王子というのも大変だなぁ。

ビクトールの説教が始まったのを確認したミリアは俺を促して部屋を退室した。

王子の恨めしそうな視線と「聞いているのですか!」と言うビクトールの説教を尻目に俺たちは逃げ出したのだった。

ミリア曰く、「いつものことですわ。」ということらしい。

ミリアの妹が王子の婚約者という事もあって何年も前から交流があったらしい。

王子の婚約者が伯爵令嬢というのは釣り合いが取れていないような気もするのだが、王子自信が頑として譲らないらしい。

このフラムウェル王国の奇特なところだが貴族の中でも恋愛結婚が中々多いらしい。

政略結婚と恋愛結婚とその両方というのがだいたい均等であるようで、「愛ある家庭が愛ある国を作る」というのが根付いているそうだ。

国家運営に愛を持ち込むとか泥沼化しそうだけど、上手くいっているのだから分からないものだ。


これは会談だったのか?雑談?

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