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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
光の国へ編
195/200

193 変身王子

俺たちが案内されたのは「宮殿かと思うような宿」ではなく、「宮殿」だった。

サルウェル領を治めるヘイゼルロンド伯爵の居城の一室に案内されてしまった。

鑑定をしなくても贅を尽くされた部屋であることが分かる。

ソファーはふかふかだし、ドアからして細やかな彫刻が施されているし、天井にまで絵画が描かれている。

というかものすごく落ち着かない。

あの壁際の机に置いてある壺とかいくらになるんだろう。

考えたくもない。



「ゼン、サーシャ、ドーラ!部屋の物にむやみに触るなよ!壊すなよ!」

「はーい。」



返事だけはいい三人だ。


三人にはああ言ったが、入ってしまったものは仕方がない。


寛ごう。


ダラァ・・・



「流石ソーマさんですわ。先ほどまで狼狽えておられたのにすぐに順応しましたわね。」

「流石ソーマ様です!」



うむ。

苦しゅうない。


二人に甘やかされながらお茶を飲んでだらける。

さてこれからどうしようかな。


特にこの町でやりたいことがある訳ではない。

旅の途中で立ち寄っただけだが、大きな町だから新しい物が何か見つかるかもしれない。

観光をしてもいい。

魔術関係と食品関係のお店はチェックしておきたいな。









と思っていた時もありました。



俺は今、ミリアと共にサルウェル領の領主シュバルツ・サルウェル・ヘイゼルロンド伯爵と面会している。

ヘイゼルロンド伯爵はがっしりとした体格で昔はバリバリ前線で活躍した歴戦の騎士だそうだ。

流石に今ではお腹回りが弛んできているようだが、厳つい顔と鋭い視線で並の人間は震え上がることだろう。

はい。

只今絶賛震え上がっております。

この人、怖いよー。


そんな内心をひた隠しにして鋭い視線に耐える。



「ほう。冒険者か。・・・まだまだ青二才だが、いい目をしているな。ミリアンヌ嬢が認めただけのことはありそうだ。」

「うふふふ。そうでしょう?(わたくし)のヒーローですもの。」

「ふん。ヒーロー、か。」

「はい。うふふ。」



ミリアは終始ごきげんだったが、俺はヘイゼルロンド伯爵の厳しい視線に晒されて汗だくである。

ミリアに向ける目と俺に向ける目が全然違うのだ。

早く終わってー。




ヘイゼルロンド伯爵との会談を何とか乗り切った俺とミリアはメイドさんに案内されて応接室を出た。

ふぅ。



「流石のソーマさんでもヘイゼルロンド伯爵様相手では緊張されましたか?」

「あの眼力なら視線で人を殺せるね。ミリアには優しい目をしていたようだったけど知り合いなのかい?」

「ええ。前に王都にいた時にはよくして頂きましたわ。」

「そうだったのか。女性には優しいのかねぇ。男には厳しかったけど。」

「うふふふ。ソーマさんは気に入られていましたわよ。」

「ええっ!?どこが?殺されるかと思ったぞ。」

「青二才とおっしゃってましたから。」

「それ貶されてない?」

「いいえ。あの方は気に入らない方は無視しますから。青二才というのは見込みがある、ということですわ。」



ミリアは自信満々に言っているが、その解釈は無理があるのでは・・・?

とはいえ俺には判断材料がないから、この件は棚上げだな。



「あら?あの方は・・・?人違いかしら?」

「ん?どうしたんだ?」



ミリアの視線を辿ると通路の先から俺と同じ年頃の二人の男がこちらに歩いてくるのが見えた。

高価そうな服を着ていることから伯爵様の家の親族の方たちだろうか。



「あの人たちがどうかしたのか?貴族様のようだけど。知り合いか?」

「いえ。顔見知りのように見えたのですが、よく見たら人違いですわ。雰囲気が似ているような気がしたのですが、髪色が違いますし、顔立ちも違いますわ。」

「ふーん。」



普段ならそこで終わりなのだが、何となく気になった俺はついつい鑑定眼で覗いてしまった。





名前:ライナス・G・フラムウェル

レベル:21

性別:男

年齢:13

種族:人間族

職業:王子

属性:光

称号:光の一族

スキル:天運、魔術補助

説明:光の国フラムウェル王国の第二王子。




名前:ビクトール・バルムンク

レベル:26

性別:男

年齢:15

種族:人間族

職業:近衛騎士

属性:風

称号:光玉騎士団

スキル:剣術、拳術、闘気、料理、裁縫

説明:バルムンク家当主の三男。







「第二王子?」

「!?やはりそうだったのですわね!」

「え?」



俺が思わず漏らした声を拾って、ミリアが声を上げてかの二人に近づいて行った。

俺も後を追う。



「殿下、お久しぶりでございます。」

「っ聞き間違いかな?畏れ多くも殿下と間違われるとは光栄なことだが、私の名前はレオですよ。殿下などではないですよ。」

「いいえ、その右手の指輪は(わたくし)の妹アネッサが殿下に贈ったもので間違いありませんわ。あの子が手ずから作ったものですから同じ物は二つとありませんもの。」

「・・・はあ、参りました。こんなに早く見破られるなんて参ったなー。これ国宝級の魔法道具なのだがな。」


王子は両手を挙げて降参のポーズをとって言った。


「だからすぐバレますって言ったじゃないですか。見る人が見たらすぐ分かるんですよ。」

「いや、これはミリア嬢だったからだ。だから、ノーカンだ。まだ帰らんぞ。」

「ちょっ、ちょっと殿下!それはずるいですよ!約束が違いますよ!」

「ええい!帰らんと言ったら帰らんぞ!」



どうやらお忍びで遊びに来ていたようだ。

変身のネックレスと言う道具で姿を変えているらしい。

変身なんて出来たら悪用し放題じゃないか。

と思ったら、所持が見つかったら普通は監視されるらしい。

今回のはこっそり持ってきたらしい。

そんな管理でいいのか?


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