187 保存カプセル
「これは何でしょうか?何か入っているんでしょうか?」
「これ全部金属製やで。すごい加工技術やな。これなんか継ぎ目がないで。」
「これもタッチパネルかニャ?大きいニャー。」
「なんだか薄暗くて気味が悪いですわね。」
ミリアが気味悪がっていたら突然辺りが明るくなった。
「きゃあ!」
可愛らしい悲鳴と共に俺の腕は幸せに包まれた。物理的に。
ミリアが揺れるたびに恐ろしいくらいに形を変える魅惑のふくらみを確かに感じながら周囲を見回すとゼンが入り口近くのスイッチを押していた。
「ゼン。びっくりするからいきなりスイッチとか触るなよ。罠だったらどうするんだ。」
「う、ごめんなさい。」
「次は気をつけてな。ミリア、大丈夫だから離れてくれ。」
「嫌ですわ。」
「嫌って・・・。」
「別にこのままでも歩けますわよね?」
「いやまあそうだけどさ。」
「ではいいではないですか。私はこのままがいいですわ!というかここ、なんだか気味が悪いですし。」
ミリアは頑固なところがあるから、害は無いので放置だ。
べ、別に、し、下心なんて無いんだからねっ!
ゼンが明かりを点けてくれたおかげで部屋の中がよく見えるようになった。
部屋には金属製のカプセルが10個くらいと停止した操作盤があった。
カプセルは人ひとりが入れそうなくらいの大きさで、水素カプセルのような形ものだった。
名前:保存カプセル
種類:カプセル
等級:普通
品質:普通
説明:汎用型生体調査機の為の汎用型保存カプセル。
庫内の温湿度、空調、時間を制御し、状態を保持するもの。
鑑定をしてみても何かを保存するためのものというくらいしか分からなかった。
近くのカプセルを開けてみたが空だった。
汎用型生体調査機ってなんだ?
「あ!兄貴!こっちのなんか入ってそうだよ!」
「こらー!ゼン兄!また勝手に触って!さっきソーマ様に怒られたばっかりでしょ!」
「い、いやまだ触ってないよ。み、見てただけだよ。本当だよ!」
「ですです!わたしも見てただけですます!」
お子様たちがわいわいやっているのを横目にゼンが言っていたカプセルを確認する。
確かに他のカプセルと違い電源が入った状態であることが分かる。
プシューーー
「え?」
「ゼン兄、何したの!?」
「えええーー!?何もしてないよー!!」
「ウソー!」
ゼンの言う通り、ゼンは何もしていない。
もちろん俺も隣にいたミリアもカプセルには触っていない。
周りも見回しても誰も操作しているような様子はない。
という事は勝手に動いたということになる。
シューーーー
空気が抜けるような音が収まり、カプセルのフタがゆっくりと開く。
白い煙がカプセルから溢れ、足元を覆い、中の煙が薄くなるにつれてカプセルの中が見えるようになる。
「わぁ。女の子や。」
「きれいな髪の毛・・・。」
「ニャんニャこれ!?」
「・・・。」
カプセルの中に眠っていたのは小麦色の長い髪が美しい中性的な顔立ちをした、人だった。
全体的に起伏がないスラリとした身体つきをしているが、辛うじて胸のふくらみが見られ、足の付け根の間には男の象徴が存在していないため、女の子であることが分かる。
一糸纏わぬ姿である為、つるつるの肌がよく見える。
肌がな。
もう一度言うぞ。
肌がな。
俺の葛藤などお構いなく、開いたカプセルの中で眠っていた女の子は、ゆっくりとその瞼を
クワッ!
「ニャニャッ!ニャんニャ!?ビ、ビックリしたニャ!」
俺もびっくりした。
ゆっくり開くかに思われた瞼が突然クワッと見開かれた。
『起動確認・・・データロード・・・・・インストール・・・・・失敗、再インストール・・・・・失敗、データ破損を確認・・・・リペア実行・・・・・一部のデータが消失、動作に問題なし、起動・・・・・』
「なななななんやの!?訳の分からんこと言うてるけどどういうことなん!?」
ドーラが何か言っているが、その答えは誰も持っていない。
見開かれた金色の瞳がわずかに発光しているように見える。
その間、機械的な口調でソフトのインストールをしているかのようにしゃべっている。
データ?
「わわっ!お、起きたよ!何っ!?」
機械の様にしゃべっていた女の子が黙り込み、ゆっくりと起き上がってきた。
『データの一部が破損していました。リペアを実行し、初期化しました。登録情報の更新をお願いします。』




