181 閑話(カルポとある地下での話)
「あらー!ソーマじゃないか!久しぶりじゃないか!元気そうだねぇ!」
「ミンさんも元気そうだね。」
「当たり前さ!元気なだけが取り柄さね!ドーラも元気そうで良かったよ。あの子等が心配してたよ。」
「あ、うん。元気にやってんで。後でおとんに手紙送っといてや。」
「はいよ。任せときな!」
「お!ソーマじゃないか!やってるか?イヒヒ。」
「ムンさん。ぼちぼちですよ。」
「そうかい。そうだ。レンズの材料が欲しいっての奴が言っておったぞ。」
「ああ。そうですよね。そっちも後で持っていっておかないとな。シールドの魔法道具の追加を卸しに来たんですよ。あまり頻繁に来れないから、多めに置いていこうかと思って。」
「そいつは助かるな。在庫無い無いってうるさかったからな。一人じゃそっちまで手が回らんからな。」
「そうですよね。これからはもう少し安定して供給できるように考えますよ。」
「無理せんようにな。イヒヒ。」
変形馬車アーク2号でも造って誰かに運搬を頼むかな。
流石に雪が深くなると無理だから、春までに用意しておけばいいかな。
「俺は卸しとギルドに顔出してくるから、みんなは自由にしてていいよ。」
「じゃあわたしは"猫の宿"に行ってみますね。」
「ああ。・・・。」
何か大切なことを忘れている気がする・・・。
いや、きっと気のせいだ。
「ルカくんにも会えるかなー?行って来ます。」
気のせいったら気のせいだ。
カルポの冒険者ギルドに来るのも数ヶ月ぶりだ。
とはいえ数ヶ月では特に変わったようには見えない。
良くも悪くもここはのんびりとしていて変化に乏しい。
その反面、みんな優しくまさしく"平穏"そのものだ。
昼前ということもあってギルドの中は閑散としていた。
開いている受付に声を掛ける。
「しばらくぶりです。」
「あんれまあー、ゾーマざんでねえですがぁ。ずぶがげづぶりでねえ!ぜえのびまじだねえ!」
「あ、はい。」
相変わらず訛りがひどい、というか酷くなってないか?この人。
「おじごどですが?」
「おじ・・・?お仕事!いや、また明日にも出るので、挨拶だけでもしておこうかなと思って、寄っただけです。キサラさんは?」
「ギザラざんはぎょうばおやずみよ。」
「休みか。仕方ないな。よろしく伝えといて下さい。」
「はーいー。」
ランクが上がったことを報告したかったのだが、いないものは仕方が無い。
また来た時に寄ればいいな。
◇
「え!?ソーマくんが来たのですか!?いつ!?昨日!?呼び出してくれれば良かったのにー!」
◇◇◇
「おい!ノミ取ってくれ!」
パシッ
「おうっ。・・・。次、小さいヤツ!」
パシッ
「おうっ。・・・。こいつを持ち上げてくれ!もっと人数連れてこい!」
ポニュポニュポニュポニュ・・・
「そうだ!ゆっくりだぞ!いい感じだー!!今度はこっちだー!」
「進んでるっすか?」
「ニャー!」
「ニャー!」
「ニャ!」
「ニャニャニャ。」
ポニュポニュポニュ・・・
「白だんゴーレム達がいて助かるっすねー。」
「あ、チルダさんお疲れさまです!」
「ん?タロスくんじゃないっすか。休憩っすか?」
「はい。白だんゴと訓練してました。ハズゥとカズゥはまだやってますけど。」
「あの人たちはやる気満々っすねー。」
ポニュポニュポニュ・・・。
「あ、ありがとっす。ゴクゴク・・・。冷たい果実水はうまいっすねー。」
「ですねー。・・・。白だんゴたちって何でもしますよね。」
「そうっすね。大工仕事に、荷物運び、戦闘、工作、料理・・・。あたしたち要らなくないっすか?」
「えー!?」
「ま、冗談っすけど。」
「はー、なんだー。」
「なんでそんな驚いてるっすか?」
「え、だって、役立たずだと捨てられるかもしれないじゃないですか・・・。」
「ソーマさんに?・・・無い無いっす。ソーマさんはお人好しで寂しがり屋っすよ。自分から繋がりを切るようなことは無いっすね。」
「寂しがり屋・・・。」
「そうそう。だから、しっかりと帰る場所を守っておかないとっす。」
「そうですね!」
「そうっすよ。」
「そういえばさっきの白だんゴ達が何でもできるって話ですけど、できない事ってあるんですか?」
「あれ?知らないんすか?白だんゴーレムたちは元々は何も出来なかったんすよ。」
「え?」
「今もそうっすけど、基本的に指示をしないと何もしないし、出来ないんすよ。逆に指示さえすれば大抵のことはやってしまうんすけど。ま、スキル持ちの方が出来も良くなるから白だんゴーレムも良し悪しっすね。」
「へー。そうなんだ。」
「マザーも指示がなければ動かなかったっすし。」
「・・・マザー?」
「マザー白だんゴーレムっす。」
「マザー白だんゴーレム?」
「そうっす。白だんゴーレムのマザーっす。」
「そ、そうなんですか・・・。」
◇
サクセスルーム弐の制御室の隣で着実に数を増やしている影があった。
ポニュン!
ポニュポニュポニュ
うず高く積まれた素材を取り込み、白だんゴーレムを生み出していく。
生まれた白だんゴーレムはシュタッとマザーに敬礼をしてから、持ち場に向かっていく。
そしてまた素材を取り込み、生み出していく。
いつまでもいつまでも、マスターの指示に従って忠実に任務をこなす白だんゴーレム軍団が少しずつだが確実にその勢力を伸ばしていくのだった。
ポニュポニュポニュ・・・。
◇◇◇
「姫様、調子はどうだい?」
「リリアステル様、ようこそいらっしゃいました。」
「邪魔するよー。あれ?トリアストの小僧は居ないのかい?」
「お父様は南の農村に視察に出ております。」
「そうかい。私が来ると聞いて逃げたかと思ったよ。」
「お父様に御用ですか?」
「いんや。ただの世間話だよ。たまには町のトップとは情報共有でもしといた方がいいかと思ってね。」
「ギルドマスターが何か気になることでもありまして?相変わらずうちの財政は火の車ですけど。」
「ソーマ君の所が荒稼ぎしてるみたいだから、そこそこ入ってきてるんじゃないのかい?」
「ノーコメントで。」
「ふふふっ。まあそっちは良いんだけどね。」
「では何か?爺は何か聞いてる?」
「南の小国家群について、でしょうか?」
「!何だ、掴んでたのかい。」
「いえ、詳しい事は何も。ただ少しきな臭い動きがあるとしか・・・。」
「少しどころじゃないみたいだよ。」
「というと、戦争、ですか。」
「そうだね。ここ最近も頻繁に小競り合いが起きてはいたみたいだけど、特に小国家郡の南の方で大きな戦が起きてるみたいだね。」
「・・・そうですか。」
「まだ北方の地域までは広がってないみたいだけど、ここまで噂が届いて来ているくらいだし、情報は集めておいた方がいいかもね。」
「なるほど。情報ありがとうございます。お父様にも伝えておきますわ。」
「そうしておいてね。」
「ところでソーマ君はいつ頃帰ってくるか聞いてるかい?」
「!い、いえ!存じませんわ。」
「何だい?焦り過ぎじゃない?そんなに顔を赤くして、何かあるの?んー?」
「い、いえ!な、何もないですわ!」
「ふふふっ。」
「・・・。お嬢様、それでは何かあると言っているようなものです。」
「!ーーーー///」
「お姫様にも春かねー。」
「・・・///」
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とある国のとある地下
「まだだ。まだ足りない。もっとだ、もっと人を、生け贄を、魂を集めなければ・・・。おい!剣鬼!もっともっともっともっと集めるのだっ!!」
「・・・。」
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