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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
光の国へ編
182/200

180 トレジャーハンター

ブルアリゲーターの死骸をエナジーウィップで掴み、川に沈めてからストレージリングに格納した。

まじ便利である。

鑑定の結果、内臓が破裂してしまったようだが、解体はストレージリングの機能を使うので問題ない。

血抜きの必要すらないので、まじ便利だ。


ブルアリゲーターの処理はいいとして、一乗客に討伐を投げた船長と兵士には思うところがあったが、めんどくさくなったので放置した。

"ミリアンヌお嬢様"の手前、感謝の言葉はあったがそれだけだ。

ミリアも特に謝礼とかを要求はしなかったので、それでお終いだ。

ブルアリゲーターの肉が楽しみだ。

照り焼きとかどうかな?





予想外の巨大な水龍を召喚してしまった"大水龍リヴァイアサン"の魔法だが、性能としては満足のいくものだった。

魔法は生物の形を模すことで特殊な動きを取らせることが出来ることが分かった。

矢や槍もある程度は制御することは可能だ。

追尾する矢とかは今のところは出来ていない。

せいぜいが曲がる矢だ。

あらかじめ指定しておいた通りに曲げて動かすことは出来るが、発射した後に変えることは難しい。

発射した後は術者の手を離れてしまうのだろう。

これをコントロールするには繋げていれば簡単だが、例えば手から何本も魔力の線が出ていたら邪魔だろう。

その点、生物の形を模すことで繋げていなくてもある程度後出しで魔法に指示を出すことが出来る。

"射出"というよりは"召喚"の魔法なのだろう。

たぶんその辺りに鍵があると睨んでいるが、まだ確証はない。

要研究だ。


そうそう、三体出現したのは俺のミスだった。

コードの中に意図しないコードが残っていて、それが奇跡的に作用してしまったようだ。

デバッグをしていないコードをぶっつけで使用したため仕方がないが、奇跡的に作用したコードはしっかりメモしておく。

かなり魔力を使ったが、上級魔術のせいなのかこの"三重"のコードのせいなのか分からない。

これも後で性能の比較をしてみる必要があるだろうな。




「兄貴の魔法すごかったなー。」

「ですです!わたしもあんな魔法が使ってみたいですます!」

「さーちゃんなら出来るんと違う?スフィアも貰ったやん。」

「まだまだです。光属性だから使える魔法が少ないのです。」

「あ、そっか。属性魔法は自分のと合ってないと上手くいかないんやっけ。」

「そうなのです。ソーマ様が作ってくれたので増えましたけど、わたしも上級の魔法が使ってみたいですます!」

「兄ちゃんに期待やな!」

「はいですます!」

「おいおい。光は情報が少なくて難しいんだぞ。」

「そこを何とかするのが兄ちゃんやん!よっ!天才魔術師!」

「調子のいいことを。」

「にひひ。」

「でも流石ソーマさんですわ。あの魔法を使われるのは初めてなのですよね?」

「ああ。俺もびっくりしたよ。」

「すごかったです!流石はソーマ様です!」

「ええ。流石は(わたくし)のソーマさんですわ!」

「ありがと、イチ、ミリア。」



ミリアの最後の発言はスルーだ。

スルーが一番。

言い返しても勝てる気がしないのだ。

こういう時は逃げるに限る。

逃げるのは恥じゃない!

勇気を持って逃げよう!





「ねえねえお兄さん。ちょっといいかな?」

「ん?」



みんなと話していたら声をかけられた。


声の主は猫耳を生やし、長い尻尾を揺らした猫の獣人の女の子だった。

その後ろには2m近い身長の右に眼帯をした人間の男が佇んでいた。



「どちらさん?」

「ニシシ。そう邪険にしないでニャ。別に怪しいものじゃないニャ。お兄さんたちとちょっとお話がしたいだけニャ。な?」

「・・・ああ。」



「ニャ」ですって。

猫の獣人ってニャって本当に付けるんだと、ある種の感動を覚えた。

猫又の長老はニャって言ってたけど、あれは猫だからな。

後ろの男はどうやら無口なようだ。

眼帯で無口とかちょっと怖い。

逆に猫獣人の子は少し癖がありそうだが、明るい雰囲気でバランスを取っているのだろうか。



「ニシシ。あたしはテッサ、後ろのデカいのはボルグっていうんだ。よろしくねー。」

「・・・。」


オレンジ色の短い髪を揺らして猫獣人のテッサが自己紹介をしてきた。

後ろの男は本気で無口のようだ。


「俺はソーマだ。で、何の用だい?」

「ニシシ。お兄さんせっかちだねー。まあ嫌いじゃないけどねー。用ってほどのものでもないんだけど、お兄さんたち強そうだからちょっと挨拶しておこうかなと思ってね。」


先ほどの戦闘(俺が魔法を放っただけだが)を見ていて、俺たちが若いから与しやすしと考えたか?

怪しい話を持ってくるくらいだ、度胸はあるのだろうが、ちょっと脅かしてみるか?


「まあまあ、ニシシ。そう邪険にしなくてもさー。ニシシ。」


軽く睨んでみたが、軽く受け流された。

まあ俺が睨んでも怖くないのだろうけど、ちょっとは効果が合ってもいいと思うんだ。

まあまだまだ若いから貫禄なんてものは欠片も持ち合わせていないのだけどな。


逆にボルグの貫禄はやばいな。

睨んだついでに二人を鑑定してみたがそこそこレベルが高く、どちらもまだ驚きの16歳だった。

テッサの方はまあ分かるが、ボルグの方の16歳は詐欺だろ。

身長が2m近くあり、眼帯をしており、大剣を背負っている寡黙な戦士だ。

ヴァルチャー隊長並みの貫禄だ。


まあただ二人を鑑定した結果は特に後ろ暗いことをしてきたという経歴は見当たらなかった。

どうやら二人はトレジャーハンター系の冒険者のようだ。

トレジャーハンターは古い遺跡の調査(盗掘)や迷宮の調査(探索)をメインに活動している冒険者のことだ。

フラムウェル王国出身のDランク冒険者で遺跡の調査をメインにやっているらしい。

まあ見た感じ悪人ではなさそうだから、話くらいは聞いてやってもいいか。



「挨拶ねえ。」

「そうそう。あたしらこの辺りでトレジャーハンターをやってるんだけどね、たまにだけどあたしらだけだと手に負えない時があるからね。そんな時のために強くて信用できそうな人とは知り合いになっておくことにしてるのさ。お兄さんだけじゃなくて周りの子たちも中々強そうだし。」

「あら、なかなか見る目がありますのね。」

「でしょー。ニシシ。」

「トレジャーハンターって何ですか?」

「おっ!お嬢さん、ご存じない?トレジャーハンターというのは、冒険者の中でも夢とロマンを追い求める未知への挑戦者なのさ!」

「夢!」

「ロマンです!」

「未知・・・!」

「挑戦者!」

「「「「かっこいい(です)ー!!」」」」

「ニシシ。そうでしょー?ニシシ。」


ゼンとサーシャとドーラがテッサの魔の手に嵌まってしまったようだ。

加えてミリアも興味津々で話に加わっている。

特に世間話のようだし、好きにさせておこう。



「・・・。」



隣の寡黙な眼帯男が気になるが、気にしたら負けな気がする。


残り少ない船旅をのんびりと過ごしたのだった。


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