176 俺は異常、、、認めたくない!
サヴァスは鎧を剥がされ、牢屋に入れられた。
意気消沈しており、魂が抜けたかの様に呆然としているようだ。
サヴァスの持っていた剣が魔剣であることは誰も知らなかったらしく、訓練時すらも帯刀していたことを訝しむ者はいたものの剣の重みに慣れるためというそれらしい理由で切り抜けていたようだ。
恐らくは魔剣の力を知っていて常に強化していたのだろうが、その反動で気力が落ちてしまったのだろう。
魔剣バーサクソードはブライトン伯爵に渡しておいた。
少し調べてみたけど、魔法道具系ではなく迷宮産の魔剣だった。
迷宮産の魔剣には特殊なものが多いが今回の物もこれだった。
その後、捕まえた盗賊の中に内通者がいたことが分かり、厳重な取り調べが行われた。
しかし、相手が子爵家の嫡男と言うこともあり、普通の犯罪者と同じ扱いをする訳にもいかず、中央に判断を委ねることになった。
正直なところ貴族間の駆け引きとかよく分からないし、あまり関わりたくもないのだが、巻き込まれてしまい、足止めをくっている。
それほど急ぐ旅でもないのだが、足止めされると逃げたくなってしまうのは人の性ではないだろうか。
え?
俺だけ?
時間ができたのでエルドウェルの町に繰り出してみた。
城塞都市エルドウェルの冒険者ギルドはあまり盛況では無いらしい。
付近に迷宮も無いし、魔の森は近くにあるがもっとアクセスのいい場所が他にあるため、わざわざこの町に留まる必要がないようだ。
騎士団の戦力が高く、周辺の魔物の討伐や間引きは訓練の一環として定期的に討伐が行われている。
そのため、冒険者に求められる仕事が採取や町中での雑用程度となっていた。
魔術書店にも行ってみたが目ぼしいものはなかった。
国外に近い都市なのであまり上位の魔術書は置いていないそうだ。
欲しければもっと中央の都市に行く必要があるのだが、上級の魔術書の購入には中央が発行する許可証が必要となるらしい。
魔法証明のため偽造不可能となっていて、許可証の発行は国民であることと推薦が必要らしい。
推薦は伯爵に頼めばいいとしても国民では無いので、そもそも条件を満たせない。
国民というのは、この国で生まれた者、もしくは10年以上納税した者だそうだ。
無理である。
魔術書店では成果は無かったが、伯爵家の書庫に上級の魔術書(水)が所蔵されていた。
広域氷結魔法ブリザード、広域水流魔法タイダルウェイブ、大水龍リヴァイアサン、上級回復魔法アクアトリートメントと高威力、広域魔法が特徴の魔術書だった。
他に生物を模ることで独特な動きをさせることができるらしい。
巨大な水龍リヴァイアサンを召喚する魔法はワクワクする。
流石に持ち出しは無理なので写本した。
これでかなり時間を潰すことが出来た。
他にも魔法理論の学術書や研究論文のようなものもあり、勉強している内に伯爵家お抱えの魔術師さんたちと魔術理論談義などをして過ごしていった。
結構な頻度で新しい魔法を創ったり、効率化しているが、異常なことらしい。
そもそも魔術のコードの意味が曖昧にしか分かっておらず、体系的にまとめられてもいない。
個々人か、師弟内でしか伝えず、秘匿するのが一般的な魔術師の考えだ。
俺のようにポンポン他人に伝えたり、魔術を改造したりは出来ないらしい。
まあスキル【全言語理解】のおかげだし、せっかく創ったのなら魔術もみんなに使ってほしいと思う。
だって知識はタダだし。
魔術書に書き起こせば金貨を生むし。
とは言え攻撃的な魔術はあまり広める気はない。
生活に役立つ系の魔法の方が広く使われて儲か、みんなの生活がよくなればいいよね!




