173 サファイアパピヨン絶滅・・・
「ところでソーマ君。君、うちの騎士団に入らないかね?」
「え!?」
「盗賊たちは決して弱くは無かった。それにあの数だ。それを君たちは無傷で捕らえた。奇襲であったとしてもこれは凄いことだ。」
「えっと、ありがとうございます。」
「どうかね?悪いようにはしないが。」
「すみません。まだやらなければならない事を残しているのです。」
「部位欠損のポーションかね?」
「ご存知でしたか。」
「ウム。ミリアから聞いたのだ。流石の私もおいそれとは用意できる代物ではないが、善処してもいいと考えておる。」
「父上!?ですがあれは!!」
「分かっておる。だが、娘の命を救ってくれた礼にはそれでも足りるとは思わん。」
「それは・・・。」
ミリアは愛されているんだなと思ったが、トリスタに残しているものもある。
「有り難い申し出ではあるのですが、自分たち力で成し遂げたいと思っていますので、ご遠慮させて頂きます。」
「そうか・・・。残念だ。ならば謝礼は何がいいかな?先ほども言ったがポーションは難しいぞ。最上級のポーションですらなかなかまわって来んからな。」
「でしたら紹介状を頂けませんか?王国南部にある迷宮に向かうつもりですので、そこまでの通行証のようなものを頂ければと。」
「ウム。その程度は用意するが、他には無いのかね?紹介状を用意するなどたいした手間もかからん。」
「そうですね、ではサファイアパピヨンの鱗粉というものをご存知ですか?」
「ほう。また珍しいものを知っておるな。」
「古い文献に魔法道具を作るために必要と書いてあったのですが、知り合いの職人たちも知らなかったもので。どこに行けば入手できるでしょうか?」
「あれは今ではほとんど手に入らない貴重品で、古い倉庫や遺跡から少量が見つかるくらいだな。」
「え!?」
「サファイアパピヨン自体が既に絶滅したとされている魔物だよ。」
「ええっ!?本当ですか!?」
「ウム。ここより少し南に生息していたが、1000年以上前に姿を消したとされておる。10年ほど前にここの蔵から鱗粉の小瓶が発見されてな。それで調べたのだ。その小瓶は中央の研究所が金貨500枚で買い取っていってしまったがね。」
「金貨500・・・。絶滅、ですか。」
これは困ったな。
サファイアパピヨンの鱗粉が転移魔法陣を作るのに必要な素材だったのだが、絶滅して入手困難とは。
代用を探すとなると途方も無い研究になりそうだが、絶滅してしまったのは仕方が無い。
もしかしたら迷宮の未踏域にいるかもしれないし、迷宮の情報もこれから集めていこう。
「役に立てず、すまんな。」
「いえそんな。その情報だけでも大進歩ですよ。ありがとうございます。」
「そう言ってもらえるといいが、これでは謝礼にならんな。」
とはいえ欲しいものはあまり無いからな。
地位とか要らないし。
「ソーマ様は魔術師でいらっしゃいますよね?」
「あ、はい。」
「ほう。そうなのかね。うちにはあまり魔術師がいなくてね。抱えている者も後方支援が専らの仕事になっておるのだよ。どれくらいのレベルなんだね?」
「父上。冒険者の方にそのような質問はご法度ですよ。」
「ウム。確かにそうだな。すまなかったな。」
「いえいえそんな!俺なんか大したものではありませんよ。お気になさらないでください。」
「ウム、しかしな。」
「お父様。ソーマ様にうちの書庫をお見せして差し上げてはどうでしょうか。我が家では持て余している物ですし。」
「おお!そうだな!それに魔術師ということはスフィアも必要だろう。あれもやろう。魔術師のソーマ君の方が活用してくれるに違いないな!流石はミリアだ!なんて賢いのだ!」
書庫を見せてもらえる事になったのだが、魔術書もあるのだろうか?
上位の魔術書は国家の力そのものとされている部分があるから、その入手は簡単では無いはずだが、見せてもらえるのなら有り難いね。
最近威力不足を感じて来たところだし、そろそろ新しいコードが欲しかったのだ。
ミリアから笑顔を向けられた。
猪突猛進かと思っていたが、以外にも聡明な部分が見れた。
そういえばミリアには町に向かう途中に魔術書が欲しいとは零していたのだが、よく覚えていたものだ。
お礼として笑顔を返しておいた。




