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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
166/200

164 大口径魔動砲

俺は今、馬車の中でイチと一緒に優雅に紅茶を飲んでいる。


「ソーマ様、すごいですね。全然揺れませんよ。」

「ああ。そうだね。」


ドーラとオジイの悪ノリで作られた変形馬車アークの乗り心地は最高だった。

今走っているのは舗装された道路ではなく荒れ地の真ん中を時速100km以上の速度で爆走中だ。

だが、取り入れたギミックのおかげか車内はまったくと言っていい程に平和だった。

車内は。


「フハハハ!ええでええで!最高やー!」

「ガハハハ!どんどん来いやー!」

「おー!スゲー!」

「わー!速いですー!」

「ブルルルー!!!」


車外からは楽しそうな声が漏れ聞こえる。


バシュッバシュッ!

ウガッ!

キャイイン!

ウィィィーン!ボガーン!


普通の馬車では聞こえるはずのない音も聞こえてくる。


「あの"バシュッ"っていう音は何ですか?」

「ああ、あれは魔動銃だろう。実弾を飛ばしているんだろうね。」

「ドーラちゃんとかが使ってるのよりも音が大きいですね。」

「たぶん威力を上げてるからサイレンスウォールでも遮音しきれないんだろうね。改良しないとな。・・・!」

「どうしたのですか?」


驚くべきことに気が付いた。

魔動銃は練成銃と魔法銃の二つの機能を両方取り入れた銃で、使い勝手と威力をアップさせたものだ。

その大口径版の魔動砲(マジックキャノン)がこいつには付いている。

魔動銃の口径で音が漏れてしまっているという事は大口径版の魔動砲(マジックキャノン)なんて使った日にはどうなるか・・・。



「フハハハ!よーし!次行ってみよー!」

「ガハハハ!いよいよ出番じゃー!目標!前方の岩山ー!!」

「あいあいさー!!準備よーし!」

「準備よーし!」

「準備よしですー!」

「ガハハハ!発射じゃー!」

「いやちょっと待てーー!」

「フハハハ!いけー!!」

「イチ!耳塞げー!」



バジュドーーーーーンンンンッッッ!!!!!



「うわっーー!!!!」

「ひぃぃーー!!!!」


ガガガっと地面を削りながら、車体が後ろに滑り、車内にいながら結構な衝撃を受けた。

車内にいた俺とイチがシロの体に突っ込み、もつれる。

咄嗟に耳を塞いだために三半規管は無事だったが、受け身を取り損ねてシロがいなかったら色々ぶつけていた。

栄養をしっかり取って年頃の女の子になったイチの柔らかい身体を堪能する暇もなく、運の悪いことに顔面でイチの身体を受け止める羽目になった。

鼻が地味に痛い。

俺とイチを受け止めたシロもちょっと痛そうだ。

今は1m程の中くらいサイズでいたことが功を奏した。

俺の制止の声を聞かずに魔動砲(マジックキャノン)をぶっぱした外の連中はどうなっただろうか。


「フハハハ!流石の威力やー!ロマンやー!」

「うひぃーー。」

「うみゃー。」

「ブルゥゥー。」


ひとりを除いて目を回して倒れている。

オジイなんて完全に白目をむいて倒れてしまっている。

大丈夫かよ。

とりあえず。


ゴンッ!!


「いったーーー!!!な、何すんの!?に、兄ちゃん!?」

「何すんのじゃないわ!危ないだろうが!みんな目を回してるじゃないか!」

「へ?あ、ほんまや。何で?」


がしっ


「ふやぇ!?」


俺はドーラのほっぺたを鷲掴みしてバシバシした。

お仕置きである。


「あんなでかい音と衝撃をこんな近距離で浴びたらこうなるだろ!前にもやったじゃないか!反省しろー!しかも自分だけイヤーガード付けやがって!」

「はぁんにんひぃへぇー。ひぃぎぃれふぅー。」

「反省のない子は千切れてしまえー!!」

「ひょんひゃぁーー。」

「うりゃうりゃうりゃうりゃー!!」

「ほぉへぇんふぁふぁぃぃぃー。あぅっ!」

「まったく。反省したか?」

「ふぁい。はんへいしまひた。」


ずんと沈んだドーラを放置して目を回したゼンとサーシャとクロの様子を診て休ませる。

レベルも高いから少し休めば回復するだろう。


「しかし、やばいなこれは。」


俺は魔動砲(マジックキャノン)の弾丸が激突した岩壁を眺めながら呟いた。

500m程離れた岩壁には直径20m程の穴が開いていた。

飛ばしたのは土魔法で練成したただの金属弾だが、その衝突の威力だけで巨大な穴を開けていた。

この威力でも単純な城壁ならば簡単に破壊し尽くすだろう。

しかも普通の金属弾だけではなく、加工した特殊弾も発射できる。

炸裂弾とか爆裂弾とか榴弾とか魔法弾とか。

このサイズなら超電磁砲(レールガン)に改造するのもありかも。

据え置きタイプなら重くてもいいし、回転台座とかに置いて。


「ソーマ様?」

「はい!ソーマです!」

「もう。何やってるんですか?音に驚いた魔物が寄って来てるみたいですよ?」

「え?あ、ほんとだ。」


ついついトリップしてしまったので、変な返しをしてしまった。

イチにも少し白い目で見られた。

ごめんなさい。

人里からは大分離れた場所だから、集まった魔物は放っておいて帰ろう。

魔動砲(マジックキャノン)は改良の余地ありだったが、馬車としての乗り心地は満足のいくものだった。

これで旅に出る準備は整ったと言えるだろう。

さあ新たな冒険の始まりだ!





後日、町の北の方で魔物が集まっているのが見つかり、スタンピード騒ぎが起きた。

討伐隊が組まれそうになったので、急いで片付けました。

ごめんなさい。

これで何とか一区切りです。

話のテンポが悪くて申し訳ありません。

今後はもう少しテンポがはやくなると思いますので、応援よろしくお願いします。

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