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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
163/200

161 開店!

眼福だ。

遂に俺たちの城が完成した。

何が眼福ってそれは店員ですよ旦那!

うへへへ。

開店準備に動き回る店員たちのセーラー服を眺めながら、俺は満足感を噛み締めていた。

店の制服は俺の趣味だ。

趣味以外の何物でもない。

男も女もみんなセーラー服だ。

女子高生の着るセーラー服だ。

最高だ。


とはいえ、男がスカートを穿くのは見たくないのでパンツタイプも用意している。

もちろんスカート丈も自由としているし、パンツタイプを穿くのも自由だ。

膝上が好みだが無理強いはよくない。

パワハラ禁止。


色はスタンダードな紺だけでなく、水色、赤、黄色、ピンクと色とりどりで好きな色をそれぞれ選んでもらった。

その代わりにスカーフは青色で統一した。

魔猫たちとお揃いだ。

シンボルカラーとかあった方がいいかと思ったのだ。



開店準備を始めてからひと月の間に、元工房の店舗部分を片付けて改装した。

売り物としては小物類が多いため壁際一面に棚を設置し、片側はサンプル展示用のディスプレイとした。

中級ポーションや魔法道具、魔術書なんかは本物を店頭に並べておくと盗難のリスクが高い。

どれも高額商品となっている為、レプリカと説明書きを展示して、商品カードをカウンターに持って来てもらうようにした。

倉庫に繋がる扉を別に設けて、カウンターは完全に店内とは別けた。

カウンター内にいれば安心だ。

レベルだけは全員がDランク冒険者並みだが、女性や子供が多いので防犯には気を使ったレイアウトにしている。


「ご主人様、いらっしゃいませ。開店準備が整いました。」


赤毛未亡人のセドナが準備が出来たことを知らせてくれた。

35歳のセドナは夫を魔物に殺されてふさぎ込んでいたが、子供たちに囲まれているうちに少しずつ活力を取り戻していった。

引き取った直後は痩せ細り、目の下に隈を作って顔色が悪くゾンビのようだったが、今では肌ツヤもよくなり健康そのもの。

人の良さそうな優しい顔立ちで、普通に美人の部類だった。

短く切りそろえた赤い髪のおかげで余計に若く見え、娘のマリと並ぶと姉妹と言われても納得してしまう程だ。

物静かな性格だが、他のみんなのことも気にかけられるほど劇的に回復してくれた。

時々意味ありげにこちらを見てくるのだが、いったい何だろう?


セドナの制服も膝丈スカートのセーラー服だ。

元農民だったとは思えないスラッとしたきれいな足をしていた。

別に強要はしていないぞ。

本人の希望だ。

日本ではコスプレだが、ここにはセーラー服など存在しない。

だからかわいいが正義なのだ。

中身がおじさんで悪かったな。ケッ



「じゃあみんなよろしく!」

「「「「はい!!」」」」


みんなの元気な声が響き渡る。

なんだなんだと職人街に朝からやってきていた人々の視線がこちらに向く。

同じ意匠のセーラー服を纏った店員たちが整列していると流石に目を引く。

明るい性格だったマリが元ストリートチルドレンの羊獣人ルアと兎獣人のスーラとニール、アルマジロ獣人のタロスを引き連れて店の前で客引きを始めた。


「本日開店の道具屋でーす!」

「魔法のポーション、売ってますー!」

「魔法の道具も売ってますー。」

「冒険のお供にー!」

「冒険の合間にできる玩具もあるよー!」


元気に駆け回る獣人の子供たちとすっかり艶やかになった赤毛を靡かせた看板娘。

セーラー服が眩しいね!


早速興味を持った冒険者っぽい人がご来店。

職人街だけあって装備の修理や道具を買いに来ている人が朝から多くいる。

扱っている物が物なのである程度まとまった金を持った冒険者がねらい目かな。

シールドや魔畜器が売れ出すと利益がでかいから助かるんだけどな。



店内はトスカーナとセドナが纏めている。

熊獣人のノン、牛獣人のネーネ、アライグマ獣人のキース、ナマケモノ獣人のジオ、リス獣人のセスタが店内を整理したり、接客したりしている。

小さい子供が一生懸命に説明しているのは微笑ましい。

説明不足なところはトスカーナとセドナが上手くフォローしてくれる。

みんなが慣れてくればもう少し人を減らしてシフト制にでもするつもりだ。

週休二日のホワイト企業を目指します。


ハイエナ獣人のハズゥとカズゥは用心棒だ。

一応接客の練習もしてあり、問題は無いのだが、武骨な義手義足の為、ちょっとばかり威圧感がある。

いやというかヤバイ。

俺が見た時はプレートアーマーの手や足といった感じだったのだが、いつの間にか角が生えている。

あれは何だ。


「ロマンや!」


ロマンだそうだ。

本人たちは目をキラキラさせて「かっこいいですよね!」と言っていたので気に入っているようなのだが、女の子が常時装備していていいものではないと思う。

義手義足だと分からないような外観の物を作るようにドーラには言っておいたが、いつになったら出来るのか・・・。

段々やる気の方向性がおかしくなっていっているドーラであった。


「セレス、どうだ?」

「あ、ご主人様・・・。おはようございます。」

「おはよう。大丈夫そうかい?」

「はい・・・。」

「怖かったら奥に引っ込んでてもいいからな。」

「はい、いえカウンターに座ってる、だけなので、がんばります・・・。」

「わかった。あんまり無理はしないようにな。」

「はい。ありがとうございます。」


セレスの心の傷は思いの外ひどく、俺たちには大分慣れてくれたようだが、外に連れ出したり、大きな声が聞こえたりすると身体が硬直してしまうことがある。

まだまだ時間がかかりそうだが、ひと月でここまで回復したのだ。

時間が解決してくれることを祈ろう。

いつか心から笑える日が来ればいいね。

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