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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
152/200

150 マソジニウム

毒に侵されていると聞いて急いで奥に向かった。

ドタドタと奥に上がり込むと更にガラクタが増えていった。

ガラクタを掻き分けて入り込んだ部屋にうなされながら気絶しているドワーフがのたうち回っていた。

カオス。


「兄ちゃんコレやばくない?」

「ああ。やばい。死に欠けてるな。」

「ええっ!!?だってお酒飲んだら治るって・・・。」

「そんなんで治るわけないやん!チルちゃん騙されとるよ!」

「ええええええっーー!!!」


この子も面白い子だなぁ。


「とりあえず、解毒ポーションを飲ませよう。サーシャ印の高品質ポーションだ。」


ストレージから取り出した中級解毒ポーション(高品質)をドワーフのおっさんの口に突っ込む。

1本だと不安だったから解毒ポーション2本と中級ポーション1本を突っ込んだ。

飲めのめー。


「大丈夫かいなぁ。」


ドーラの心配を余所にポーションの効果でどんどん顔色がよくなっていく。

うなされてのたうち回っていたドワーフのおっさんはすやすやと・・・。


グゴゴゴゴゴォォォォ、グガアアアァァァァ、グゴゴゴ・・・・


大きないびきをかいて寝こけている。


「大丈夫そうやね・・・。」

「ああ。」

「うるさーい。」


ゼンとシロが耳を畳んで騒音苦情を言っているが、その通りだ。

とりあえず、うるさいので居間に移動することにした。

この工房はどうやら古くてボロくてガラクタが多くてスペースが少なく感じるが、広さはかなり有るらしく、部屋も1つ2つではなかった。

店部分、店内倉庫(ガラクタ)、工房、居間、寝室×2、空き部屋(ガラクタ)×4、裏倉庫(ガラクタ)とかなり倉庫が多い。

ガラクタ部屋が大半だが・・・。

生活スペースである居間にもガラクタが侵食してきている。


「何だろうこれ?」

「ん?ゼン、どうした?」

「これ何かなって思って。あ!崩れちゃった。」

「おいおい大丈夫か?」

「あ、大丈夫っす。それはもう使い物にならないんすけど、暗いところで魔力を込めると緑っぽい光を放つんすよ。光を当てると白くなって光らなくなってしまうっすけど。それは光を与えた後のやつだから大丈夫っす。元々崩れやすいんす。」

「そっか。よかったー。壊したかと思った。」

「光が当たると性質が変わるんだな・・・。どれどれ。」



名前:マソジニウム(粉体)

種類:鉱物

等級:普通

品質:普通

属性:闇

説明:感光魔素物質。

日光などの光が当たると白く、脆くなり、粉になる性質がある。

鉱物状態では魔力に反応して青緑色に光る性質があるが、粉体では微弱になる。

発光は感光する光とは波長が異なる。

粉体になったマソジニウムは魔石と竜の血液と合成することで魔力を蓄積する性質を持つ。



「ブフッ!!なんじゃこれ!?」

「どしたん兄ちゃん?汚いで。」

「これ!これだよ!」

「これが何なん?白い鉱物?粉?やろ。なんか珍しいものやったん?」

「これはやばい。まじでやばい。産業革命が起きるレベルでやばい!」

「はぁ?」

「まあいいからちょっと聞け。」


ドーラに鑑定結果をそのまま教える。


「ブフォッ!!何それ!!?やばいやん!超やばいやん!ワクワクするやん!」

「だろ!?これはやばいぞ!」

「なあ兄貴、何がやばいんだ?すごい粉なのか?」

「そうだ。カルポで作った魔畜器の性能アップが出来る!かもしれない。」

「ああ。あれかぁ。兄貴が無いよりはいいって言ってたやつだね。」

「そうそれだよ。あれが実践利用できるようになるかもしれない。」

「それが出来たらごっつい出来ることが広がるやんなぁ。魔石の代用になるかもしれへん。」

「それに、これは感光物質なんだ。」

「なんだそれ?」

「簡潔に言うと、光に感応して性質が変わる物質のことだよ。チルダちゃんが言ってた光を当てると白くなるってやつだね。」

「へー。それが何なん?」

「ドーラ。分かって無かったのか?」

「魔力溜めれるとこだけかと思ってん。で、何なん?」

「これも可能性でしかないけど、魔法道具を作るのに必要な魔法板があるだろ?」

「うん。今はうちが成形して焼き付けてるやつな。」

「いや悪かったって、任せきりにして。」

「別にええねんけどな。作るんは楽しいから。ほんで魔法板がどしたん?」

「今ドーラがやってる成形のところを自動化できるかもしれない。」

「自動化・・・って手作業で作らんでええってこと?誰がやるん?もしかしてそれ用の魔法道具?」

「そうだ。魔法板の素体にマソジニウムを重ねて、上から小さく絞った光を照射して、部分的に崩して魔法文字列(コード)を書くんだ。」

「へー。うちでなくても出来るんはええな。まだ猫達じゃあ細かいのは難しいし。」

「将来的にはドーラでも出来ない微細な文字も書けるだろうしな。」

「おおーー!すごいやん!もっとちっさい道具も作れそうやなぁ。」


「ドーラちゃんのお兄さんもすごい人なんすね。」

「あ。チルちゃんごめん。ついつい夢中になってもうて。」

「ごめんなさい。」

「ううん。大丈夫すよ。お父さんの薬まで貰っちゃって申し訳ないし。」

「そうやそうや。それや。何で毒なんてもろうとるん?昨日はそんなこと無かったやん。」

「えっと・・・。」



チルダの説明をまとめると、ドーラから話のあった素材採取に一人で向かったらしく、そこで毒を食らい、近くを通りがかった知り合いの冒険者に引きずられて帰ってきたらしい。

素材の採取も出来ておらず踏んだり蹴ったりだ。

しかも借金があるらしく、その借金を返すための道具製作に必要な素材だったようだ。

期限は明日。



「明日って!?」

「そうなんす。もう無理っす。素材はないし、お父さんはあんなだし・・・。せめて素材があれば・・・。」


色々と立て込んだ状態になってるなぁ。


「それでドーラ、どうするんだ?」

「え?うち?」

「そりゃそうだろ。ドーラが言い出したことだぞ。発言には責任を持とうな。」

「う、うん。えーっと。チルちゃん!素材があったら間に合うん?オジンはポーション飲ませたからその内起きると思うけどその時に素材があったら間に合うん?」

「え?うん。大丈夫だと思うっす。そこまで難しい加工じゃないから、すぐ出来ると思うっすけど・・・。」

「よし。ならその素材はうちが取ってきたる!チルちゃんは加工の準備しといて!」

「ええ!?でもそんな悪いっすよ。」

「でもオジン置いたままにしておけへんやろ?なら誰かが代わりに行かんと間に合わへんやろ。任しとき。これでもプロやからね!」

「ドーラちゃん・・・。」


「兄ちゃん、ええよね?」

「ああ。いいよ。ゼンもいいよな?」

「うん、いいよー。」

「ありがと。」



という訳で予定とは少し違ったが素材の採取に向かうことになった。

ただし時間制限付きだ。

クロの爆走だな。

ツラいぜー。

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